向日葵の似合う君へ
降り続く雨の中、私はひとり、君に話をしていた。勿論、君が応えてくれる事はないけれど。
それでもでも、私は君に話たかったの。私に生きる希望をくれた大切な君に。
君が何を守ったのかわからない。
逃げる選択を捨てて、何故あの場に残ったのかもわからない。もし、違う未来があったのならって考えるけれど、でも…そうだったらきっと、私が、今此処に、多分いないんじゃないかなって、時々思うの。
「生きろ」って背中を押してくれたからこそ、今ね大好きで大切な人達に出会ったの。今、私は幸せだよ。毎日楽しいよ。だからこそ、また壊れてしまうんじゃないかって怖くなるの。
過去をずっと背負い続けて行かなければならない、私はこの先もあの人たちを許す事はできない。どれだけ願っても『前の私』には戻れないのだから。
そんな私だけど、皆はゆっくりでいいって言ってくれたの。
もう、大丈夫だよ。私は1人じゃないから…だから、ね……
君との約束を破りにきたの。
「ごめんね。本当にごめんね……」
何回も何回も許しを乞う。冷たく冷たい石の前で
涙が止まらないけれど、雨と一緒に流れてるから、きっと君にはバレないだろう。
どれだけ君の前にいたのかはわからない。気づいたら日が落ち、雨は止んでいた。
「そろそろ、帰るね。またね」
向日葵の花束置いて、私はその場を後にした。
バイバイって言わないのは、最期の別れにしたくない私の我儘。少しずつ思い出が消えてあまり覚えていないけれど、また君と一緒にあの日のように笑い合いたい。そんな願いを込めて。
「ありがとう」
ふと、後ろから元気な懐かしい、声が聞こえた気がした。振り向くが誰もいない。気の所為だろうと私は前を向いて歩いた。君と歩いた懐かしい通学路を通って。
____
「お母さん!お兄ちゃん待って!」
手に向日葵の花束を持って少女はが元気にかけて行く。あの日のように素敵な笑顔で
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