寄せ集め
@dandandadandan
黒い薔薇について書きたかっただけ
『黒薔薇畑』
とある町はずれ、そこにはひっそりと黒薔薇畑が存在していた。黒薔薇。
ただ、赤い薔薇ならロマンチックだと思うだろうが、黒い薔薇となれば、
途端に怖い、よくないイメージ、というのが強いと感じるのではないか。
でも、そんなことはなく、良いイメージなら「滅びることのない愛」「永遠の愛」と、
赤い薔薇のような素敵な意味を持っているし、反対に悪い意味だと、
皆してイメージするようなよくないイメージその通りで、「恨み・憎み」「死ぬまで憎む」と、本当に縁起でもない花言葉が存在するらしいって。
でも、そんな黒薔薇畑は一部のマニアには人気で。それは単に花や植物を愛している人たちに、ゴスロリとかそういうファッションに合うから撮影をってのもあるし、
最近なんかではコスプレだか何だかでこれまた撮影するんだとかで。
でも、この黒薔薇畑にはたった一つだけルールがあって。
それは、「その薔薇を勝手に切ってはならない」というものだった。
ここには管理者なんてのはいないはずなんだけど、ただ入り口には血で塗りたくったような赤い字でそんな風に書いてあるんだ。
それも入り口だけでなく、何か所も。その場所は柵なんかで軽く囲われているんじゃなくて、小さなドーム状になっていて、黒薔薇畑という禍々しい景色に妙にスタイリッシュな囲い、
そして真っ赤な文字。イメージの混在。
管理者なんているのか、それは誰も知らないし興味もなかったのか。
でもいつ見てもその黒薔薇たちは日の光を浴びて輝いていて、誰かしら知らない何かが
きっと管理しているのだろう。
そんな何者かがただ一言、「その薔薇を勝手に切ってはならない」って。
丁寧に、人知れず、黒薔薇を世話しているであろう何者かがただ一言、そう文字に残すのだ。
人には様々いるが、こんなところに来てまでたった一つの禁忌を犯すなんて。誰もしなかったんだ。でも、一人の女がいてね。そのことを話そうと思うよ。
その女は「立花」さんといってね。その人には、どうしても死んでほしいほどに憎々しい男がいたんだ。そいつは立花さんを小さい頃からいじめていた、ろくでもない奴さ。
その男は表では好青年を演じ、裏では立花さんをいじめていじめて。いじめていじめて。
それで立花さんはこの黒薔薇畑のことを、そしてこんな噂を耳にしてしまったんだ。
「あそこの黒薔薇を誰かに送ると、送られたその人は黒薔薇の恨みとその人の内なる気持ちによって死んでしまう」という、噂。
そんなのに確証があったわけじゃない。むしろ、怪しさしかなかったけど。
立花さんはそんな噂を信じることにして、あの黒薔薇を一本、いや。
一本じゃあいつには物足りないと、花束にしてやってあいつに送り付けたのさ。
結果として、その男はその黒薔薇を受け取った日に、変死していた。
黒薔薇が彼の体を突き破るように刺さって、結果的には失血死になるのかな。
黒薔薇のもげた花びらに赤い血が溜まって、なんとも言えなかったんじゃないのかな?
でも、同じ日に彼女も死んでいたそうだ。と言っても、彼女の死体の発見は人気者の彼より遅かったからわからないけど、
彼女も失血死で死んでいたんだ。
人を呪わば穴二つ。彼と違って黒薔薇に体を刺されたわけではないけど、同じように死んでいた。自分にも同じ呪いが返ってきたんだろうね。
それからあの黒薔薇には人を、そして自分もを殺めてしまう力があるんじゃないか、とされ、一部では有名だったけど、あくまで一部なんだよね。
途中まで書いた、供養。完結できる人、凄い。
寄せ集め @dandandadandan
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