第2話 ゼノーク冒険者になる

あの後、ルシルを家に連れていった。理由は小さな女の子を一人残すという事態になりたくなかったからだ。当然連れて帰ったら両親や従者まで驚いていた。その直後、質問攻めが始まり。事情を説明したら何やら俺を除いた家族で会議を始めた。意見が一致したのかため息を吐きながらこちらを見て近づいてきた。


「よし、ゼノーク。そのルシルと言う子を養子には入れてやろうだが、衣食住の住だけしか保証しない。意味は分かるな?」


「はい、父上。私が残りの衣、食分のお金を稼いでくればいいのですね」


「ああ、そういう事だ。やっぱりお前は天才だ。たったこれだけでお父さんたちの意見を察するとは」


「ありがとうございます」


正直こうなることを予想していた。それにもう職場を決めている。そう冒険者である。冒険者ならば魔物を狩って特定の部位を提出すれば魔物のランクに応じて報酬が貰える。実践訓練もできお金も稼げるまさに一石二鳥。


「そうね。ゼノークちゃんは魔法も剣術ももうほぼ出来ているような状態だもの!ある程度の事は出来るわ!」


「はい、母上。私は冒険者になろうと思います」


「あら?それはどうして?」


「一つ目は実践を積むためです。魔物の討伐もそうですが時より盗賊団などを壊すために特別な依頼を出したりすると聞きました。これ程までに実戦経験を積むのに最適な職場は存在しないと思います。二つ目はお金です。今の私ならBまでの魔物なら倒せるでしょう。なので手っ取り早くお金を稼げると思います」


「わぁ!良くそこまで考えたわね!でも、最低でも10歳になるまでは冒険者は駄目よ」


まあ、確かに。普通に考えて五歳の子供が出来るわけがない。だが、そうなるとどうなる?お金を稼ぎたいけど稼げないなんて凄くもどかしい。実践を積みたいけど積めない。どうすればいいんだ?


「だから、ルシルちゃんがお手伝いしてくれるのならゼノークちゃんが7歳になるまでは衣・食・住の保証をしましょう!」


「本当ですか!母上!」


「ええ、いいわよ」


よし!それならまた山に行って実践を積むこともできる。心置きなく魔物を狩りまくれるという物だ!


それから五年


五年の内に色々あった。魔法も全属性上級魔法までは発動できるようになった。父の剣『剣聖流』も全部覚えた。そして明日、待ちに待った俺の10歳の誕生日。そしたらようやく冒険者デビューを果たせる。それに変わったのは俺だけではない。


「やぁ!」


「腰が入ってない!」


「ていや!」


「魔力操作がなってないぞ!」


「わかった!」


今俺に攻撃を仕掛けてきたのはルシルである。何故、ルシルが俺を攻撃している理由はあのルシルが俺に弟子入りしたからだ。俺の弟子になった理由は俺が一人で訓練してるのを見て自分も強くなりたい!って願っていたからだ。メイドとかのお手伝いを辞め、俺の指南を受けたがった。俺はOKを出したが手伝いをしないのは約束に反するので午前は手伝い、午後は俺の訓練相手になってもらっている。それにルシルは俺には育成する才能があると勘違いしそうなほど化け物みたいに成長している。最初の頃は魔力の操作すらままならなかった。なのに俺がコツを教えただけである程度形になった。それからは訓練を積み重ね。半年ほどで魔力操作はマスターした。更に獣人の虎人族って事もあり身体能力が化け物レベルになっていた。これにもし身体強化と獣人族特有の魔法『獣化』を使われたらと思うとゾッとする。


「今日はここまで!」


「ああ!今日も一発も入れられなかった!」


「ドンマイ、また明日な」


そう言い俺はルシルの頭を撫でた。その瞬間後ろの尻尾が逆立ち直後尻尾を振りながら眠りに入り始めた。なんとも可愛らしい。なんというかペットに近いな。それを見計らって森の中から二つの影が現れた。一人はエルフ、もう一人は魔族という異色の二人組だ。


「大丈夫ですか?ゼノーク様」


「大丈夫でしょ?ゼノーク様強いし」


「いやでも、身体強化を付けたルシルは十分に脅威だよ」


俺は二人に心配されたが手を振りながらため息をつきそんな事を言った。この二人は俺の仲間である。俺をゼノーク様と言いしたってくれる。エルフの方はラエル=ダイアモンド。魔法の才能があり俺が保護したハイエルフの子。身長は女性にしては高く170cmはあり。エルフ特有の青緑の髪が風に揺られ神秘的な雰囲気をかもし出し、出るとこは出て引っ込んでるとこは引っ込んでいる。まさにメリハリのある体をしている。

魔族の方はフユル=サーぺンティン。身長は150cm前後で髪色は漆黒の様に黒く所々紫が掛かっている。身体能力が高く戦闘センスがずば抜けていたので保護した。この二人は家族に隠している。流石にルシルの時みたいになりたくないし仕方ないと思っている。


「明日から俺は冒険者の仲間入りだ。そこでお金を稼いでお前らも王立学園に入学させてやる」


『ありがとうございます!』


よーし!明日から頑張るぞー!


その日の夜ゼノークは10歳になったので次の日冒険者ギルドへと足を運んだ。



全ての国にあり、何処の国にも属さない独立組織『冒険者ギルド』。仕事は魔物を狩ったり、依頼をこなしたり様々である。そこには法と言う物はなく。強さこそ正義なのだ。いくら若かろうと強ければいいのだ。その点だけは俺にとって最高だった。


冒険者にも当然階級がある


Eランク冒険者

Dランク冒険者

Cランク冒険者

Bランク冒険者

Aランク冒険者

そして冒険者最高峰である、まさに強者の象徴

Sランク冒険者


Sランク冒険者には様々な特典がある。Sランクは実質公爵家と変わらない程の権力を持ち、女性の場合は貴族の正妻になる事すらも許可されている。まあ、そこは良くも悪くも今の世界は強さこそが正義だから、強ければ国の重鎮にも成れる。要は弱肉強食なのだ。まあ、そこはどうでもいいか。

俺は今ユフルとラエルと共に冒険者ギルドに来ている。理由は簡単一緒に冒険者になってもらいパーティーを組むのだ。

街の中央にある冒険者ギルドは凄くデカかった。貴族のお屋敷と変わらないくらいの大きさであり辺りは活気に包まれていた。そして俺達は冒険者ギルド内に入った。

そこには武器などを所持している人もいれば依頼をしに来た人もいる。ギルドの中でさえも活気であふれていた。だが、妙に視線を感じる。主に俺じゃなくユフルとラエルにだ。とてもいやらしい目で見てくる輩が数人いる。そしてユフルとラエルが俺の仲間だと気づくと嫉妬の視線が俺に突き刺さった。俺はそんな事気にせずに受付へ行った


「すみません。冒険者登録をしたいんですけど」


「はい、かしこまりました。それと後ろのお二方も一緒にしますね?」


「はい、お願いします」


受付の人は営業スマイルで俺達を受け入れた。凄く丁寧に対応してくれる結構有能なのだろう。二人を見て瞬時に冒険者登録するなと気づいたあたり人を見る目もあるのだろう。そして俺は受付の人と手続きを済ませた。


「基本的にギルドは喧嘩の仲裁は致しません。やるなら訓練場でやってください。それと皆さんは最下位のEランクからになります。基本的にどの魔物も狩っていいのですが依頼だけは自分のランクと同じ難易度の依頼をしてください。どれほど失敗してもギルドは責任を負えません。すべては自己責任でお願いします」


「はい、ありがとうございます」


「それではギルドカードを渡します。この時点であなた達は冒険者です。頑張ってください」


受付の人は最後まで丁寧に対応してくれた。結構いいひとなのかもしれない。そして俺達はすぐ狩りに行こうと出入り口に進んだら変な奴が絡んできた。


「やあ、君たち。俺様はカルスBランク冒険者だ。そんな子供と居るよりも俺様とパーティーを組まないかい?」


と、気障きざっぽくイケメンスマイルをユフルとラエルに向けたが、当のユフルとラエルはガン無視をしていた。露骨に無視をされたのが嫌だったのか今度は俺を標的に決めたらしい。俺の顔を見てガンを飛ばしてきた


「おい、ガキ。その女の子たちを俺様に渡せ。そうすれば痛い目を見ないで済むぞ?」


なんだこいつは?意味不明すぎる。なんで初対面の相手にここまで言えるのだろうか。正直Bランクがどこまで凄いか良く分からない。実の母が元Sランク冒険者だからどうか?こいつの魔力量は母の魔力量の20の1にすら満たしてないぞ?前世の勘が教えてくれた。こんな奴を相手にする必要が無いと。


最上級身体強化パワルビア


俺が最上級身体魔法パワルビアを発動したらユフルとラエルどちらも上級身体強化パワルドを発動し走り出した。


「クソ!逃げるな!なんで追いつけないんだ!俺は中級身体強化を使っているんだぞ!」


「だから追いつけないんですよ。もうちょっと頑張ってくださいよ。B級冒険者さん」


毒を吐きながら俺は森に走ってった。森に着き狩りをしていたらさっきから頬を膨らませていたユフルが口を開いた。


「なんですか!あの雑魚は!よくゼノーク様にあんなこと言えましたね!今度会ったら地獄に落としてやりますよ!顔も実力も全部負けてるくせに何なんですかね!」


「ユフル・・・やるなら私も呼んでください。全力で叩き潰しましょう」


そんな事を言うユフルにラエルが近づき肩に手を乗せそんな事を言い出した。やっぱりね、言葉遣いが汚いから止めるよねと思ったんだけど止めなかったね。ラエルも不満に思ってたんだね


「まあ、仕方ないよ。見かけはただのガキなんだから」


「だとしても!相手との実力差すら分からないような!カスですよ!」


その後も永遠にさっきの冒険者の悪口を言っていたら日が落ち始めたのでギルドに行き査定をおこなってもらったが俺達が持って行った魔物がAランクばかりでギルド内はてんやわんやになった。俺はその時に自重は大事だと心に刻んだ。


また五年後


15歳になった俺は今やAランク冒険者になっていた。その間にギルド長とかには「Sランク冒険者にならなくていいのか?」と言われたが俺は自重を忘れない。俺はSランク冒険者にはならなかった。それにこの国の貴族は15歳になったら王立学園に入学することが義務付けられている。学園で目立たないためにもAランクで止めておくのだ。ちなみにユフルとラエルもAランク。一足遅れて冒険者になったルシルはBランクだ。自分だけBランクで不満がっていたがそこは上手く誤魔化した。それに俺達は頑張って全員の入学費用そして卒業するまでの学費を稼ぎきることに成功した。明日はいよいよクラス分けテストだがユフルとラエルに関しては一般市民なので先週入学試験を受けていた。結果は見事特待生として合格したので入学費用を免除になった。明日のクラス分けテストでSクラスに入れれば学費も一年無料になるようだし。明日が楽しみだな~


そして俺達は夜遅くまで訓練して眠くなり今日はゆっくり眠れたのだった


あとがき

四月中に書こう、書こうって思っていたんですけど親に勉強を強要されていて書けませんでした。本当に申し訳ない。中三になったら書く時間が減るとは予想していましたが、最悪の予想が当たってしまいました。大変心苦しい限りです。自分は勉強なんかより書いてる時間の方が楽しいのにそれができないストレスが凄いです。ずっとイライラしてました。この一か月。これからもそういう事が多々あると思いますがそれでも見ていただけると嬉しいです。

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