閑話休題 ルシル=クオーツ

痛い、苦しい、寒くなってきた。私がなんでこんな目に。


時間は数日も前に遡る


亜人の獣人族の虎人こじん族の族長の娘として生を受けた少女名前はルシル=クオーツ。生まれながらに保有している魔力が桁違いであり、戦闘センスも素晴らしい物を持っていた。

父は族長のガルシア=クオーツ。ガルシアは優しく思慮深い賢者のような一面もあり戦闘を行う時の暴君の様な圧倒的な力を有する一面を持つまさに賢暴君主と言う二つ名にふさわしい男だった。そんなガルシアにルシルは憧れていた。

そんなある日事件が起こる。警備の者以外が眠り付く夜遅くにそれはやってきた。


「ギャハハ!死ねー!」


「金だ!金をよこせ!」


大規模な盗賊団が深い夜の中虎人族の村を襲っていた。気づいたら火の熱が伝わるほどに火災が起きていた。その熱で起きたルシルだったがもう遅い。仲間は見るも無残に殺され。女、子供を金になるからとおりの中に詰め込んでいく。そんな中でも父はルシルを逃がそうとした。それでも戦おうとするルシルだったが、族長いや父親であるガルシア=クオーツに止められた。


「戦わせてください!」


「駄目だ!お前では返り討ちになるだけだ!」


「ですが・・・」


「頼む。お前だけは失いたくなんだ!」


「お父様・・・」


ルシルは走った。自分の無力を思い知らされ唇から血があふれ出す程。強く唇を噛みながら暗い夜の中を走り抜けた。一体どれほど走ったんだろうか?足の皮はずり剥け、走っている途中で当たっていた枝に皮膚を切られルシルの体はボロボロだ。気が付くと今まで忘れていた空腹がルシルを襲い。その場にルシルは倒れた。魔物も寄ってきた。


『ああ、こんなところで死ぬのか。ごめんなさい。お父様』


生きることを諦めたルシルはその場で目を閉じた――だが、目が覚めた。傷も癒えているこの現状に対しルシルはおかしいと思った。自分は魔物の餌になって死ぬと思っていた。だが、現実は違う。その場には自分とそこまで歳の変わらなそうな少年が寝ていた。だが、オーラが違う。たかが少年を見ただけで冷や汗が止まらなった。圧倒的な強者の風格を纏っていた。自分が目覚めたのを察したのか少年は眠りから帰ってきた。さっきまでの風格は何だったのだろうか今ではただの少年にしか見えない。だが、そんな少年に救われたことを瞬時に理解した。そしてルシルはゼノークと共に道を歩むことになる。それがどれだけ厳しい道のりだとしても。

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