魔界上陸作戦:前線
竜系の魔族が吐き出す炎が、氷が、雷が、海に浮かぶ僅かな陸地に這い上がろうとする人間を焼き尽くす。
後方の船に控える無数の魔術師によって幾重にも展開された結界が竜の息吹とぶつかり合い、その多数を破壊されながらも正面を無理矢理にこじ開ける。船体を衝突させて陸に取り付いた軍船から群がるように人間が上陸し、数えるのも面倒な程の光の眷属が盾を構え中央に向けて突進する。
妖精の王が笛を吹きながら踊ると、走っていた重戦士はふらりと立ち止まった後に反転し、盾を突き出して味方を足場から弾き出しはじめた。それによって暫くの時間は稼げたが、ブレスの切れ目に船団から飛来した雷に打たれて重戦士の集団は動かなくなる。海に引き摺り落とされた彼らの後からは、再び重装備の一団が中央へとなだれ込んだ。
物量に次ぐ物量。圧倒的な数の差を前に、圧倒的な力で対抗する闇の眷属達。このまま互いの消耗戦が続くと思われる戦況だったが――そんな戦場に風が吹いた。
ふわりと肌を撫でた熱気は瞬く間に強さを増し、荒れ狂う暴風となる。重装備の兵がたたらを踏む程に強くなった風と共に、巨大な影が陸地を覆い隠した。
「……! 勇者かっ!」
中央に控えていた竜族の男が上空を見て叫ぶ。
空を覆い隠しながら降下してきたのはルフと呼ばれる怪鳥。宙に浮かぶ火球を避けながら高速で迫る巨鳥の鉤爪が炎の四天王に届く寸前で、怪鳥はその全身を細切れにされて後方の足場へと崩れ落ちる。
火竜の前には先程の男が割り入り、刀を振り切っていた。男は刀の血を払い、鞘に納め、髪を掻き上げて嘲笑する。
「フンッ……所詮はただの鳥か、今日のメインディッシュは決まりだな。愚かなる光の眷属達よ、俺の美しい戦姿に恐れ戦くがいい。さあ、ゆくぞ愛刀ラシオン。勇者共々、敵の魂を喰らい名を馳せるのだッ!」
「モデウス、最初から全力でやれ」
「はい」
自分に酔ったように口上を述べた魔族の男――モデウスは、炎の四天王に咎められると即座に頷き、力を解き放って真の姿を顕にした。全身が禍々しい光を纏い、そのシルエットは徐々に翼と尾を持つ刺々しいものへと形を変える。
人型に押し込められていた魔力がその巨体に合わせて解放され、並の生物では前に立つ事も許されないプレッシャーが全身から放たれる。
そして彼は、己の存在を誇示するかのように雄叫びを戦場に響かせた。
「グ、グ……グオオオオオオオオオオオオオオオッ!! GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA A A A A A A A ! ! ! !」
「うっせェ。普通に喋れ」
「はい」
濃紺の光の中から現れたのは一匹の巨竜。上体を起こした姿勢で小さき者を見下ろしながら棘のある翼を広げて威嚇する様は神話で語られる空の支配者に相応しい。その強靭な顎は喰らいついた獲物を両断し、大樹のような尾はただ振るうだけで立ちふさがる全ての敵を葬り去るだろう。
圧倒的な内包魔力。まさに系統樹に愛された生物的強者。誰もが恐怖し、一個人の意思で他種族を根絶し得る種の調律者たる彼は、人型だった先程も持っていた刀を摘まむようにして持ち、怪鳥に遅れて落下してきた人影から上司を護るように立ち位置を調整した。
その視線の先に音も無く降り立ったのは人間の青年――勇者シュウ。
「……見つけた。見つけてしまった。炎の四天王……イザリア」
そう独り言ちると、勇者は一度目を閉じた。それは祈りのためか、覚悟のためか。短く息を吐いた後、一人の男は剣を抜く。
剣身煌めく長剣を縦に構え、何重にも加護を付与された肉体は魔道具の鎧によって更に固められている。国が用意した最上級の装備に人々の希望を乗せ、今まで精鋭の仲間達と共に数多くの敵を屠ってきた人類の切り札――この戦いを終わらせるべくやってきた筈の勇者はしかし、どこか苦悶の表情を浮かべていた。
「人間風情がその名を気安く呼ぶなアアアアアアッ!!!」
「――ッ! ぐあッ…………!」
少年が主人の名を呼んだ事に激昂した
体格の優位を全面に押し出した力任せの振り下ろし。その速度に反応できず刀を正面から受けさせられた勇者は、続いて側面から叩きつけられた尾によって体を折りながら吹き飛び地を転がる。
「うッ、ぐッ…………カハッ……!」
「フン、やはり手負いか。何故そんな状態で前線に出てきたのかは知らんが、自殺というなら付き合ってやる。いくら勇者といえど、今の貴様であれば俺でも始末できる」
「……自殺、か。確かに最初はそうしようと思っていたけど、最期に友達の――アルラの顔を見たくなってここまで来たんだ。けど、その炎の四天王を見て気が変わった。この戦いに僕の命を賭ける。そいつを殺して、死んでいった仲間達の無念を晴らす。きっと、サーシャはこんな事望んでないだろうけど……もう決めたんだ」
「貴様……それは竜姫様への侮辱か? 死に損ないが大それた事をほざくなッ! ――≪
「≪雷脚≫ッ!」
再び吠えた竜が短く術を唱えると、何も無いはずの空間が熱を持ち、次々に収縮して破裂する。
勇者を挟み込むように八方から爆熱が迫り、中心でそれぞれが混ざり合い灼熱の火柱が上がった。視界を覆い隠す程に大きな火炎柱は、空に浮かぶ火球を突き抜けて天を焼く。
自身が炎に巻かれる直前で、勇者はその脚に雷を宿して後方へと跳ねて距離を取った。傷んだ体で無理矢理魔力を消費した事により着地時にふらついたものの、敵の詠唱から事象の顕現までの僅かな時間で回避行動をとる事ができたのは僥倖だった。とても万全とは言えない今の状態でも、やりようによっては戦えると自信が持てた。
冷や汗をかきながらも内心で落ち着きを取り戻した勇者は、側面に違和感を覚えて宙へと跳び上がる。
直後、交戦中の竜とはまた別の、近くで待機していた竜族によるブレスが足元を
空中に出る事で不意打ちを回避した勇者は、自身の次なる着地点を探して視線を動かした。目標である炎の四天王との距離を詰められ、かつ汚染していない地点を一目で発見し、そこを目掛けて雷を纏った足で宙を蹴る。
勇者が星の力により推進力を得た次の瞬間、先程の火柱の中から身を焼きながら飛び出してきた竜がその腕を掴み、城塞に向けて追い返すように地面へと叩き伏せた。
「ぐあッ……っ!」
「搦手は好かんが、貴様ら人間は卑怯な手が得意だからな。万が一も無いようここで押さえておく。その体で前線に出てきたのだ、まさか無策ではあるまい? 自爆まがいの手段があるのなら俺に対して使ってみせろ! 勇者ッ!!」
「そんなっ!? モデウス様、いけません!」
勇者の腕を砕きながら踏みつけた竜は、今にも噛み殺さんとする勢いで顔を近づけて凄む。
その内容を聞き、先程ブレスを吐いたばかりの魔族――モデウスの部下は悲痛な声を上げた。尊敬する上司を失ってはならないと一歩踏み出した彼女に、竜は手を差し向けて制する。
「ナッちゃん……分かってくれ。これは俺が、俺自身がやらなければならない事なんだ。この身、この命、全てがイザリア様に捧ぐ忠義の証。ここで散って喜びこそすれ、悲しむ事など有り得ない。だが、もし俺がこの戦いを生き残れたら……一つだけ、頼みを聞いてくれないか……?」
「気色悪ィ。さっさとやれ。それか死ね」
「はい」
安い歌劇のような台詞を語っていた男は、上司に釘を刺されると大きく翼を二回羽ばたかせた。これは合図だ。
怒号飛び交う戦場に、独特の風切り音が二度響く。最前線で光の眷属を抑えていた魔族達が一斉に反応し、強い攻勢をかけて一時的に光の眷属を押し返す。彼らは次々に空へと飛び上がり、高々度へと移動した。
それを不思議そうに眺めた妖精王は、戦場の空気が変わった事に慌てて幻想界へと身を隠す。
『――聴け。これが福音だ』
竜が顎を開き、息を吸う。戦場の音が、振動していた空気の一切が取り込まれ、先程まで捨て身で魔族に迫っていた人間の誰もがその違和感に身を縮める。
音を失った戦場に、再び訪れたのも音だった。キンと甲高い音が耳鳴りのように鼓膜を震わせたかと思えば、次の瞬間には肌を震わせ、大地を震わせ、最後には超振動が全ての命と物質を内部から揺さぶり破壊した。
竜技――≪
指向性を持った衝撃波が前線を押し流したその時、城塞から強烈な光が放たれた。魔術砲台による砲撃である。砲撃自体は開戦してから何度も行われてきたが、結果から言えば今回のそれは輪をかけて強い力を持っていた。
膨大な内包魔力によって砲身だけでなく砲塔そのものを破壊しながら発射された光の帯。何故か斜め下に着弾した魔弾によって天地の全てが白く塗り潰され、生まれた眩い光は直視した者の眼球を焼く。
「なっ……!? グオオオオォッ!!」
城塞に向き合う格好だったモデウスはその光に堪らず声を上げ、目を閉じながら顔を翼で覆い隠した。
光が戦場を駆け抜けた後、彼が見たのは大陸側から捲れ上がるように向かってくる津波と、鋭い切り口で切断された勇者の腕だった。突然の出来事によって虚を突かれた僅かな間に、最大の敵を見失っていた。
「クソッ! どこに……!? イザリア様ッ!」
「≪
振り向き、見上げた先には光の痕跡を残しながら飛び上がる勇者の姿があった。
自らの腕を切断する事で拘束を逃れ、血で汚れた長剣を腰だめに構えて進む彼の間に割って入る事のできる者はもういない。近くにいた魔族によって咄嗟に炎の四天王の前に結界が張られるも、強度より速度を重視した簡素なそれでは勇者の捨て身の特攻を防ぐには至らない。
幾層にも重ねられた結界により勇者はやや減速したものの、聖女により祝福された長剣は炎の四天王の鳩尾から背中へと切っ先を貫通させた。
「や、やった。はは……凄い力だ。この術を教えてくれた葉月さんには感謝、しないとな……」
「……ッ……やってくれたな、クソガキ……!」
「僕は死ぬ。お前は……多分、その傷じゃ死なないんだろう。首を狙ったんだけど、逸れてしまった。でも……満足だ。これで、やっと、僕はサーシャの元に逝ける」
「貴様アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
禁術に魔力を吸い尽くされ、肉体の強化と制御を失い落下する勇者。怒り狂った竜の鋭い爪がその胴体を貫き、穏やかに瞳を閉じる青年は体を引き裂かれながら地面に叩き伏せられる。
いくつかの部位に分かれた勇者が動かなくなったのを確認し、モデウスは上司の元へすがりつくように移動した。
「イ、イザリア様……イザリア様……!」
「黙れ。いいから、さっさと、これを抜け……!」
炎の四天王の腹部には今も長剣が刺さっており、剣から発せられる光により内部から体が蝕まれ続けている。
モデウスが慌ててそれを引き抜くと、彼女は怒るでもなく(余裕があれば間違い無くそうしただろうが)、苦痛を押し込めた表情で更に高く舞い上がり、火球へと取りついた。
最早集中して魔力を練る事ができる状態ではない。周囲を歪める程に凝縮された魔力が空中に霧散してしまうその前に、彼女は宙に浮かぶ火球にその全てを叩き込む。
「ッ……来い、精霊――!」
傷を押さえ、口の端から血を吹き出しながら想いと魔力を込めて叫ぶ。傷ついた体に、急な魔力の喪失。翼を羽ばたかせるのも精一杯といった状態になった炎の四天王を護るようにして、呼ばれるままに炎の精霊――星の意思が顕現した。
『――』
それは光の眷属、闇の眷属、そのどちらとも一線を画す存在。全身が燃え盛る炎で構成された人型の体を持ち、大量の魔力を受け取って活発に宙で踊る炎神。はしゃぐようにその場で回転した後に炎の四天王にサムズアップした精霊は、ステップを踏みながら火球へと入っていく。
見せかけだった二つ目の太陽に、本物の火が灯る。
「……こンくらい、か。これじゃ結界、破れるか……分かん、ねェな」
真に顕現した火球が持つ力を見て、炎の四天王は腹部を押さえながら眉を下げる。らしくない表情ではあったが、深い傷を負い、想定よりかなり早いタイミングで準備を切り上げざるを得なかった事でやや弱気になっているのだろう。
城塞の結界は強力だ。砲台が自壊した理由は不明だが、その分全ての力が防御に回されるとすればその強度はまさに未知数。炎の四天王は、この攻撃の効果が敬愛する上司の期待を下回る事を恐れていた。
『……』
その気持ちを知ってか知らずか、炎の精霊は火球の中で舞った。陽気に舞った。星が持つ核熱を身に宿し、火球を更に熱く、更に大きく。それこそ太陽と形容できる程にまで。
球の中心部が白から黒へと変化する。鉄黒が溶け出るように全体へと波及し、巨大な火球は禍々しい闇の力で満たされた。闇の眷属に伝える熱量を抑える性質を持ったそれは、存在するだけで莫大な熱を運んで周囲の人間を焼き殺す地獄の象徴だ。
戦況を決定づけるには十分な一撃を用意し、炎の精霊はもう一度炎の四天王へと親指(?)を立てた。
「……ヘッ。そんじゃ、一発、派手にいくかァ……!」
その陽気な姿を見て短く息を吐いた炎の四天王は、傷口から手を離して火球へと添えた。そのまま前方に投げつけるように腕を振り、太陽に意思を乗せる。
一拍置いてゆっくりと動き出した火球は徐々に加速し、小鳥が飛ぶ程の速さになるとその速度を維持したままスライドするように城塞との距離を詰め始めた。
遠目に対峙するだけで人を焼き、鎧を溶かし、船を燃やす大災害の行進。しかし光の眷属もただ燃えていくだけではない。後ろから津波に襲われ、死の劫火が天を覆い尽くしていてもなお、結界により生き長らえながらありったけの力を火球に叩き込む。
星の数ほどの魔術が海面から立ち昇り、天変地異さえ思わせる激しい攻撃が火球を少しずつ減衰させていくが――消滅には程遠い。海上で必死の抵抗を見せる人間達は、近辺の結界が破れ、船が発火炎上する度に数を減らしていく。
十分な戦果が得られる事を確信し、炎の四天王はゆっくりと高度を下げて不安定な足場に着地した。
駆け寄ってきた魔族達により簡易的な治療が施される中、彼女は平伏する副官の巨体を蹴り飛ばしてから指差した。
「勇者の死体を集めとけ。参謀様に献上する」
「……はっ。少し燃えてしまいましたが、部下に確保させてあります。ナーガルド!」
「はい、モデウス様! あちらに……あれ?」
上司に名を呼ばれ、背筋を伸ばして答えるナッちゃん
その違和感に周囲の魔族の視線が集中した先には、つい先程まで無かった筈の棺桶が一つ転がっていた。
――――――
「これは……死んだか?」
周囲の敵の始末を終え、城塞の司令室から外を見ていた女性――人の四天王エリゼフィーナは、真っ直ぐ自分の元へと迫りくる火球を見て呆れたような声を出した。
沖合では船から投げ出された人間達が水蒸気によって蒸し焼きにされており、その熱源である大火球から全方位に発せられている致命的な熱は、光の眷属である彼女にも確かに伝えられている。このままでは城塞内部はかなり早い段階で人間が生存できない温度となり、自身も巻き込まれて死に至る事は明白だ。
「まだ合図は出していないぞ。あの雌竜め、最初からこれが目的だったのか? 幹部の中で最もあの方と親しい私を妬んで……?」
「うーん、その自惚れはともかく、あの火球に関してはうっかりだと思うけどね。大方何かイレギュラーがあって、対応してる内にこっちの事なんて忘れてたんでしょ! これだから他のヤツらは脳筋で困る! ま、私はもう闇の眷属だし? 飛べるし? 死なないんだけど! プププッ、笑える〜」
「全く笑えん!」
大きな戦いの中でどうしても発生してしまう想定外と自己判断。普段なら指揮により回避できているような
幹部クラスの強力な魔族を、同じ戦場で運用する。その難しさと管理の必要性が浮き彫りになった状況と言える。過去の戦法において上級魔族を地域ごとに離して運用していたのは、まさにこれを嫌っての事だった。
「走って逃げても時間稼ぎにしかならん。どうにかならんか?」
「無理無理ィ! 私じゃ重~いエリゼを持って飛べないし! それに、アレを正面から防ぐ手段があるなら今頃私は四天王最強になってるって! 諦めて死のう?」
「死ねるか! 私は何も自分可愛さに言っているのではない! 参謀様の手腕によって魔王軍がようやく反撃の狼煙を上げた所だというのに、あのお方の手駒が減ってはこれからの作戦に影響するだろうが!」
「うーん? それは確かに問題だけど、無理なものは無理だし…………あれ? 何かこっちに飛んできてる……? ひひひ! もっと早いお迎えが来たかもね!」
「何?」
妖精が笑いながら指差す先――火球の向こうに浮かぶのは小さな黒点。
遠目では分かりにくいながらも高速で飛来するそれは、火球を突き抜けるように追い越し、徐々に見え方を大きくしながら城塞へと急接近する。
驚くほど正確に打ち出され、迷いない軌道を描く硬質な塊。それは結界を失った司令室の壁を破壊して勢いを弱めると、二人の近くに転がって落ち着いた。
「投石……? まさかあの精霊までもが私の命を狙って……? いや、これは…………土の精霊本人か」
『……』
城塞に穴を空け、石材と土煙を撒き散らしながら突入してきた鉄紺の塊。亀裂が入り、割れたその中から現れたのは一人の少女だった。茶色の髪で片目を隠し、白い装束に身を包んでいる姿はいつか見た格好と全く同じ。
無表情に周囲を確認する様子からは彼女の意思を読み取る事ができないが、精霊とはいえ彼女も同じ四天王だ。ここに来た目的を推察するのは容易かった。
「残念だったな、土の精霊よ。城塞の内部は私が制圧し、城塞そのものはあの火球が破壊する。つまり、もうここに貴様の手柄になるようなものは残っていななななななな」
「わわっ! なになに!?」
人の四天王の言葉にやや口を尖らせた土の精霊が、足の先で司令室の床を軽く叩いた瞬間――世界が悲鳴を上げた。
地割れと激震。大地と大地を擦り合わせた爆音と共に上下が逆転するような強い揺れが大陸北部を襲い、人の四天王が舌を噛む。城塞の足元が引き裂かれるように割れ、地中深くに光が通っていく。結界を失ってなお頑強に構えていた城塞が、足元からゆっくりと地に沈み、星に飲まれていく。
城塞は重圧に耐えながらも暫く形を保っていたが、ある地点でついに損壊し、中にいる者達を放り出しながら星の下層に吸い込まれていった。
――――
【要約】
妖精「大戦果や!これは四天王トップやろなぁ……(慢心)」
人の四天王「クソッ、出遅れた!……せや!砲撃したろ!(軽率)」
砲台「砲身、ピカッ!w」
水の精霊「」(蒸発)
モデウス「うおっまぶしっ!」
勇者「隙みーっけ!(命)いただきまーす!」
炎の四天王「オイ!?いってぇ!オイ!刺しやがったなオイ!」
火の精霊「イェイイェーイ!みんな踊れー!」
火球「今日も陽動楽しかったなー。はやく着弾して焦土にしなきゃ(使命感)」
人の四天王「ハッ…ハッ…アッー!アーツィ!アーツ!アーツェ!アツゥイ! ヒュゥー、アッツ!アツウィー、アツーウィ!アツー、アツーェ! すいませへぇぇ~ん!アッアッアッ、アツェ!アツェ!アッー、熱いっす!熱いっす!ーアッ! 熱いっす!熱いっす!アツェ!アツイ!アツイ!アツイ!アツイ!アツイ!アー・・・アツイ!」
土の精霊「こんばんは~、戦果くん、いますか~?」
人の四天王「(お前の出る幕はもう)ないです」
土の精霊「あ、そう(半ギレ)(地割れ)」
参謀「何やってんだあいつら……(戦犯)」
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