【闇の眷属集合】四天王で根流し→水の都攻略実況スレ (2)
1081:>>1
聖女やったわ
結界破壊して水の都に突入したら正規軍っぽいのがなんか来たからそっちは闇に任せた
土に運んでもらったゴーレム部隊も街にバラ撒いたで
阿鼻叫喚で笑える
【画像】
[いくつもの巨大な穴が放射状に空き、最早水の都として判別できなくなった街の様子]
精霊いそうな建物が見当たらんかったから適当に攻撃してたら街がもう滅茶苦茶や
こんなとこ制圧しても維持できんから別にええんやけど
1082:どこかの闇の名無しさん
はえーよ
1083:どこかの闇の名無しさん
ゴーレムワラワラで草
1084:どこかの闇の名無しさん
(聖女)やったわ。
1085:どこかの闇の名無しさん
やりましたわ!
1086:どこかの闇の名無しさん
はあ〜〜たまりませんわ。
1087:どこかの闇の名無しさん
やったわ☆ 被害者:変態糞聖女
1088:どこかの闇の名無しさん
マジで電撃戦で草
1089:どこかの闇の名無しさん
有能
1090:どこかの闇の名無しさん
すまん、部下に四天王持ってない奴おる?
1091:どこかの闇の名無しさん
どうやって聖女仕留めたんだ?
1092:どこかの闇の名無しさん
最初からやっとけ定期
1093:どこかの闇の名無しさん
有言実行
+838114点
1094:どこかの闇の名無しさん
闇の四天王扱い雑で草
1095:どこかの闇の名無しさん
残念でもないし当然
結界すら破れない四天王らしい最期と言える
1096:どこかの闇の名無しさん
なんか来たから闇に任せた(神算鬼謀)
1097:どこかの闇の名無しさん
なんか来たから闇に任せた(とりあえずビール)
1098:どこかの闇の名無しさん
>>1094
雑に使える奴がなんだかんだ一番早く昇進するぞ
1099:どこかの闇の名無しさん
雑に使える奴は早死にするんだよなぁ
1100:どこかの闇の名無しさん
俺は雑に使われてるのに昇進しないけど?
1101:どこかの闇の名無しさん
重用されても早死にする定期
1102:どこかの闇の名無しさん
ゴーレム運べるの強くね?
城壁簡単に割れるじゃん
1103:どこかの闇の名無しさん
結界破壊のトリック教えて
1104:どこかの闇の名無しさん
一人で結界割れるとか最後の四天王強すぎる
1105:どこかの闇の名無しさん
結界の破り方教えろ
1106:どこかの闇の名無しさん
「お前が泉で遊んでたせいで聖女は死んだんだぞ」って勇者煽りに行ってほしい
1107:どこかの闇の名無しさん
>>1106
ド畜生で草
1108:どこかの闇の名無しさん
>>1106
めっちゃわかる
1109:どこかの闇の名無しさん
いいねぇ
次の安価決まったな
1110:どこかの闇の名無しさん
確かに勇者の反応は見たい
1111:どこかの闇の名無しさん
酒の肴に丁度良さそう
勇者煽る時は実況してくれ
1112:>>1
泉から火柱上がっとるな
炎の四天王が能力使い始めたらしい
ステゴロで勇者と仲間抑えるのは難しかったみたいやね
まぁ聖女始末するまで勇者を隔離できたから十分な活躍や
霊殿っぽい施設見つけたから向かうで
精霊解体ショーの始まりや
1113:どこかの闇の名無しさん
炎がんばえ〜
1114:どこかの闇の名無しさん
炎の四天王やるやん
ワイの部隊に入れたってもええで
1115:どこかの闇の名無しさん
>>1114
お前の上司になるだけだぞ
1116:どこかの闇の名無しさん
なお上司の陰口を叩く模様
1117:どこかの闇の名無しさん
魔王軍の信頼関係はボロボロ
1118:どこかの闇の名無しさん
水の精霊うp
1119:どこかの闇の名無しさん
意外と早く堕ちたなぁ〜(都)
1120:どこかの闇の名無しさん
霊殿には結界とか無いの?
1121:どこかの闇の名無しさん
無いんじゃね
あっても聖女死んだし余裕だろ
1122:どこかの闇の名無しさん
都全体の結界が強力だった分中は無防備そう
1123:どこかの闇の名無しさん
精霊と話ついたら炎の四天王に合流して勇者ボコボコにして欲しい
――――――
1259:>>1
霊殿の屋根吹き飛ばして押し入ったら水の精霊が拘束されてて草
【画像】
[半透明の女性が鎖に巻かれて巨大な水槽に沈められている様子]
拘束具ごと持って帰ろうかとも思ったけど無理そう
ちゃちゃっと開放して交渉は土の四天王に任せるで
1260:どこかの闇の名無しさん
なんやこれ
1261:どこかの闇の名無しさん
エッッッッッッ……?
1262:どこかの闇の名無しさん
大事な部分が隠れとるやん(激怒)
女の縛り方も知らんのか光カスは
1263:どこかの闇の名無しさん
【悲報】ヒトカス、無能だった
1264:どこかの闇の名無しさん
ポージングが無能過ぎる
1265:どこかの闇の名無しさん
精霊捕まってて草
1266:どこかの闇の名無しさん
ヒトカスに捕まる精霊の屑
1267:どこかの闇の名無しさん
はえ〜すっごい
これが光の眷属のやり方なんすねぇ
1268:どこかの闇の名無しさん
光カスさぁ……この水槽はなんだい?
1269:どこかの闇の名無しさん
自然すら制御しようとする生物の屑
1270:どこかの闇の名無しさん
これには亜人族も苦笑い
1271:どこかの闇の名無しさん
こんな事してるからエルフとフェアリーが敵に回るんだよ
1272:どこかの闇の名無しさん
魔道具で精霊を捕らえた光の眷属
VS
安価で根流しした闇の眷属
ファイ!
1273:どこかの闇の名無しさん
>>1272
どっちも屑で草
1274:どこかの闇の名無しさん
どっこいどっこいですね
どっこいどっこい
1275:どこかの闇の名無しさん
>>1272
同点のまま延長12回までいきそう
1276:どこかの闇の名無しさん
根流しの毒は自然物で作ったんだから精霊的にセーフ判定でしょ
魔族の勝ち
1277:どこかの闇の名無しさん
魔族は動機が悪いよ動機がー
1278:どこかの闇の名無しさん
一応精霊に交渉するのか
成功するとは思えんが
1279:どこかの闇の名無しさん
土の精霊の責任重大だな
1280:どこかの闇の名無しさん
交渉失敗してもそれをダシに折檻したらええやん
1281:どこかの闇の名無しさん
四天王の折檻実況スレは絶対に立てろ
取り合えず結界破れなかった闇と交渉失敗した土には辱めを与えんとな
1282:どこかの闇の名無しさん
>>1281
交渉失敗する前提なの草
1283:どこかの闇の名無しさん
>>1282
残念だが当然
魔王軍らしい最後と言える
1284:どこかの闇の名無しさん
交渉の様子うp
1285:どこかの闇の名無しさん
精霊が二体並んでるのとか見た事ないわ
かなりレアな絵面じゃね
1286:どこかの闇の名無しさん
精霊見せたろか?
1287:どこかの闇の名無しさん
>>1286
みせて
1288:どこかの闇の名無しさん
>>1287
ここにはない
1289:>>1
すまん、交渉決裂したわ
水槽から出して話聞いたら光の眷属には呆れた様子やったけど、水の精霊が住めそうな土地が中央大陸にしか無いみたいで魔界に引っ越すのは無理らしい
じゃあせめてヒトカスに利用されるの止めろって言ったけど、同じような魔道具使われたら抵抗すんのは難しいってさ
平行線やからサクッと殺したった
1290:どこかの闇の名無しさん
草
1291:どこかの闇の名無しさん
急転直下で草
1292:どこかの闇の名無しさん
温度差で風邪ひきそう
1293:どこかの闇の名無しさん
精霊が一行で始末されてるの草
1294:どこかの闇の名無しさん
人間に捕まって利用されるか魔族に殺されるかの二択で草
1295:どこかの闇の名無しさん
救いがなさすぎる
1296:どこかの闇の名無しさん
しゃーない
最大限譲歩はした
1297:どこかの闇の名無しさん
生まれてきたのが悪い
1298:どこかの闇の名無しさん
まぁ精霊の生き死になんて誤差だよ誤差!
1299:どこかの闇の名無しさん
>>1298
精霊は星そのものなんですがそれは……
1300:どこかの闇の名無しさん
精霊サクッとやれるのが異常だわ
1301:どこかの闇の名無しさん
霊殿にいるのってイッチと土の精霊だけだよな?
戦闘力ヤバすぎる
1302:どこかの闇の名無しさん
属性の相性も悪そうなのにな
1303:どこかの闇の名無しさん
解放してやった後だし抵抗されなかった可能性もある
1304:どこかの闇の名無しさん
水の精霊ちゃんの勇姿を報告しろ
1305:どこかの闇の名無しさん
死体うp
ちなオーク
1306:どこかの闇の名無しさん
聖女の死体も頼む
ちなオーク
1307:どこかの闇の名無しさん
申し訳ないがオークの成りすましは種族問題に発展しかねないのでNG
1308:>>1
死んだ本人は清々としてたで
始末するけどええか?って聞いた時も「いいけど最後に闇の眷属の力を試してみたい」とかドヤ顔で抜かしてたし
ちょうど聖女捕まえてきた四天王と合流したから皆で囲んでボコしたら涙目で消えてったわ
やることやったからボチボチ都から引き上げて炎のとこ行くで
撤収や
1309:どこかの闇の名無しさん
は?
1310:どこかの闇の名無しさん
聖女で草
1311:どこかの闇の名無しさん
聖女?
1312:どこかの闇の名無しさん
聖女鹵獲したん?
1313:どこかの闇の名無しさん
あーもっかい言ってくれ(難聴)
1314:どこかの闇の名無しさん
唐突な三人目に草
1315:どこかの闇の名無しさん
精霊集団リンチされてて草
1316:どこかの闇の名無しさん
聖カス生きてて草
1317:どこかの闇の名無しさん
もう滅茶苦茶や
1318:どこかの闇の名無しさん
何気ない返答に爆弾仕込むのやめろ
1319:どこかの闇の名無しさん
いっぱいいっぱいBeautiful(情報量)
1320:どこかの闇の名無しさん
聖カス拷問実況の時間だあああああああ!!
1321:どこかの闇の名無しさん
聖女拷問安価はよ
1322:どこかの闇の名無しさん
聖女うp
1323:どこかの闇の名無しさん
敵の最大戦力捕まえてくるとか最後の四天王が有能すぎる
1324:どこかの闇の名無しさん
強すぎて謝謝
大正義魔王軍
1325:どこかの闇の名無しさん
あかん優勝してまう
1326:どこかの闇の名無しさん
勝ったな
風呂入ってくる
1327:どこかの闇の名無しさん
Vやねん! 四天王ーズ
1328:>>1
増援きた
勇者が一人
なにこいつ
1329:どこかの闇の名無しさん
流れ変わったな
1330:どこかの闇の名無しさん
チャンネル変えた
1331:どこかの闇の名無しさん
風呂沸いてなかったわ
1332:どこかの闇の名無しさん
お茶の間ヒエヒエで草
1333:どこかの闇の名無しさん
唐突な川柳やめろ
1334:どこかの闇の名無しさん
イッチ焦ってて草
1335:どこかの闇の名無しさん
いやこれが勇者に対する正しい反応だろ
1336:どこかの闇の名無しさん
聖女取り返しに来た?
1337:どこかの闇の名無しさん
北から空飛んで来てたのは勇者だったか
1338:どこかの闇の名無しさん
泉にいた八人組の方かもしれん
1339:どこかの闇の名無しさん
炎の四天王が勇者取り逃したんじゃね
1340:どこかの闇の名無しさん
イッチの反応的に初見の勇者やろ
幻獣とか飛行機とか言われてたやつ
1341:どこかの闇の名無しさん
勇者二人相手にするのはまずいですよ!
1342:どこかの闇の名無しさん
勇者がなんだ実害はないぞ
1343:どこかの闇の名無しさん
実害しかねーだろダボ
1344:どこかの闇の名無しさん
うーんこの怪獣大戦争
1345:どこかの闇の名無しさん
狙いはやっぱ聖女か
1346:どこかの闇の名無しさん
聖女は、ボクが、守るんだあああああッ!!w
1347:どこかの闇の名無しさん
少年漫画やめろ
1348:どこかの闇の名無しさん
>>1346
ステレオタイプの悪役きらい
1349:どこかの闇の名無しさん
どうやって聖女の居場所分かったんだろ
1350:どこかの闇の名無しさん
悪質なストーカーでしょ
1351:どこかの闇の名無しさん
いや襲撃されてる街で敵がワラワラ集まってたら何かあるって思うやろ
1352:どこかの闇の名無しさん
幹部集まってる所に一人で突っ込んでくるか普通
1353:どこかの闇の名無しさん
よっぽと自信あるんじゃね
初見殺しの魔道具持ってたり
1354:どこかの闇の名無しさん
勝算あるならヤベーな
密集してるから自爆されてもこっちが不利になる
1355:どこかの闇の名無しさん
結構まずい?
イッチ死んだらこのスレ終わりだぞ
1356:どこかの闇の名無しさん
それは困るわ
地味に最近の楽しみなのに
1357:どこかの闇の名無しさん
魔王軍の中核が一箇所に集まってるからな
全滅したら即終戦レベルの被害だろ
――――――
雷鳴と閃光――そして衝撃。
超上空から瞬きよりも速く落ちてきたそれは、周辺の全てを吹き飛ばしながら現れた。
舞い散る土煙の中から出てきたのは光の眷属。同じく莫大な力を持っている者にのみ存在を判別できる、勇ましく尋常ならざる魂を持つ存在――勇者。
魔王軍の幹部達を前にしながらも、全く迷いのない足取りでただ一点を目指して歩く。それを見る魔族達は殺気を剥き出しにして魔力を増幅させているものの、言葉を必要としない方法で伝達される指示に従い攻撃は加えずに待機していた。
「……」
つい先程まで霊殿だった場所を一人の人間がただ歩く。その姿は一言で言って異常だった。
黒の髪に濁った瞳、意思を感じない視線運び。華奢な体躯から放たれる圧倒的な存在感は、見る者全てにここが世界の中心とさえ思わせる力を持っている。
小さな感情の揺れさえ見て取れないその目は正面を見ているようで見ていない。まるで遥か上空から戦場を見下ろしているかのような足取りで、死角に寝かされていた聖女の前にまで勇者は迷いなく歩を進めた。
「……」
そして、勇者は一輪の花を取り出して聖女へと手向けた。弔いか、何か約束の品だったのか。
当然倒れ込む少女はそれを受け取る事が出来ないが、白く美しい花は構わず頭の上に設置された。
「……?」
そこから数泊置いて、勇者が初めて感情らしきものを見せた。表情こそ変えなかったものの、首を傾げ、しきりに腰の袋を漁る様子からは疑問や困惑が伺える。
暫くして勇者の腰袋から取り出されたのは一枚の紙片。掌よりやや大きいその紙は文字で埋まっており、その上から全体に及ぶ大きな丸印が捺されている。インクは緑で印影はレ点。一見して完了済みの依頼票のようだ。
それを手に持ち、勇者は目を見開いて首を撚る。まるでその紙がそこにある事が異常であるかのような反応。真意がまるで読み取れない。
勇者は聖女の側に膝を突くと、依頼票のようなものを彼女の目の前に置いた。
しかし、紙は置いたままの状態から変化しない。当然消えもしない。
「……」
一呼吸ほどの時間を経て、勇者は再び依頼票のようなものを手に取って立ち上がった。そして、静かに一度頷いた。
どこか納得したような、たったひとつの答えに行き着いたような、一切の迷いを感じさせない満点の無表情。その漆黒の瞳で見据えるは輝かしい未来か、それとも虚無か。
勇者は掴んだ紙を掲げ、まるで天に見せつけるかのようにしながら――ついに声を発した。
「【はい。】」
あまりにも短く前後関係の無い言葉。しかし、これは最大限の警戒を要する言葉だ。
神の啓示。極僅かの寵愛者にしか意思を届けないと言われる、人神による言葉――神託。
この勇者が神の命により動いているとすれば、数々の不可解な行動にも筋が通る。納得できる。
いくつもの世界を俯瞰し、操り、観測する上位存在。そんな規格外の思念体による行動指示が無意味な筈がない。今までの勇者の行動には全て意味があり、それは闇の眷属に致命的な不利益をもたらす為のものだったのだ。
「ッ……」
魔族達が息を呑む。本能が警鐘を鳴らす。増幅させ続けている魔力が空気を伝って出ていくのではないかと思うほどにまで膨れ上がり、全身を駆け巡る。
単独行動時ならとうに攻撃を加えているだろう異質な相手を目の前にして、それでも魔王軍の幹部達は動かなかった。星を司る精霊が、黒き魔剣を従える剣豪が、誰もが恐れる幻想の化身が、暴走する事なく指揮官の指示を待っている。
勇者は紙を掲げたまま暫く停止していたが、やがて諦めたように手を下ろし、それを一呼吸眺めた後に目を閉じて口を開いた。
「【依頼を完了する】」
勇者は手に持った紙を確認する。
依頼票のようなそれは、未だ握られたままだ。
「【依頼を完了する】」
勇者は手に持った紙を確認する。
依頼票のようなそれは、未だ握られたままだ。
「【クエストを完了する】」
勇者は手に持った紙を確認する。
依頼票のようなそれは、未だ握られたままだ。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
沈黙。
勇者、聖女、四天王が一堂に会していながら、場を沈黙が支配する。
恐らく歴史上一度も発生していないであろう奇怪な光景。それを作り出した勇者本人すら沈黙している。一体どうしろというのか。
皆が皆、迷っていた。分からない。この世に正解など無いと言うが、全くその通りだった。
「……」
そして、勇者はついに紙を破り捨てた。
望む結果が得られなかったであろうにも拘わらず、機嫌を損ねたようには見えない。彼女はただ少し方針を変えただけだ。虚無としか形容しようがなかった勇者の瞳に殺意の火が灯るのを見て、魔族の男はそう読み取った。
「……」
勇者が闘志を擡げさせるのと同時に、何もない空間から現れた大剣がその手に滑り込んでくる。白く美しい刃を持った、見る者の目を焼かんと強い輝きを放つ大剣。闇の眷属を魂から滅するに足る神聖を帯びているそれは猛獣と呼ぶには優しすぎる一振り。暴れ馬を思わせるその剣は、雄叫び代わりに光り輝き、この世にある邪悪の全てを消し去ろうと舌なめずりをしている。
一縷の可能性に賭けて静観を続けていたが、最早状況は覆らない。
勇者は大剣を肩に担ぐと同時、魔族の男は魔道具を通して同族へと指示を出す。
「【た――」
勇者が行動を宣言しようとするのと同時――。
遠方から高速で飛来した漆黒の渦が周囲の地形ごとその体を押し潰し、超圧縮された勇者が黒いシミとなってクレーターの中心を染める。
こうして、勇者は命を落とした。
確実に。
一度は。
◆か?
◆ますか?
◆コンテニューしますか?
[はい]
[いいえ]
儚くも聞き入れられる願い。
訪れる奇跡の瞬間。
たった今死んだはずの勇者が、黄金のヴェールを纏って霊殿へと舞い降りる。
「なんだ、これは……」
鎧姿の女性は、あまりの衝撃によろめきながらただ疑問を口にした。
「……」
勇ましき者。聖なる使者。理不尽の権化にして神の傀儡――勇者。
何度も現れて良いはずがない、単独で戦局を覆し得るあまりにも強力な駒。
それが目の前で復活した。
闇を思わせる黒い瞳に、強力無比な武装。虚無としか形容できない無表情に、輝かしい聖なる剣。
迸る強い生命力を発しながら先ほどと全く同じ姿で現れたのは、上位の存在に導かれし正義の化身。
彼女はつい先程まで自分だった地面の汚れに目もくれず、標的を探すように首を回してある一点で動きを止めた。視線の先は、掌に魔道具を浮かべている大柄な魔族の男。見るからに司令塔であるその男に挑むように大剣の切っ先を向け、敵を切り裂かんと勇者は前傾姿勢をとる。このまま何もしなければ、瞬く間すら必要としない内に魔族の男は首を取られてしまうだろう。
「……!」
それを止めるべく動いたのは、茶色の髪で片目を隠す悠然とした少女。この瞬間まで練り上げてきた莫大な魔力を星に還すと、この大地そのものが勇者を打ち据えるべく意思を持って動き出す。
巨大な岩槍が勇者の体内に直接芽吹き、内部から体を引き裂く。退廃の風が吹き荒んで肉片を磨り潰し、金砂の刃が残った肉と骨を寸断する。
「! ……、」
圧倒的な暴力が勇者を襲い、一瞬にして人としての形を奪う。母なる大地によって勇者の全身が赤茶色の塵と化したその時、復活する際に纏っていた金のヴェールが破裂するように輝きを四方に撒き散らした。
眩い光の中から現れたのは――無傷の勇者。
不死さえ思わせるその三度目の姿に、魔族達は思わず絶句した。
その隙に勇者は標的を男から少女へと変更し、剣を掲げて魔術を行使する。
「【ウォータⅢ】」
茶髪の少女の周囲に家屋ほどの大きさを持つ水球がいくつも出現し、即座に破裂する。
一帯をその飛沫で覆う聖水は不可避なもの。闇の眷属に力を貸す悪しき精霊の表面を溶かすように浸水し、その体組織を破壊した。
「……!」
虚を突かれて無防備なまま攻撃を受けてしまった少女は、破損した体の表面を岩肌へと変化させてそれを剥がすように分離させる。脱皮のように体を自浄した精霊は、その身を一回り小さくしながらも目立った損傷無くそこに立っていた。
「【ファイアⅢ】」
その様子を見て即座に追撃が加えられる。
球状の結界が茶髪の少女を包むように出現し、内部に小さく灯った炎が次の瞬間には爆発。結界が灼熱の爆風で満たされる。外部へと拡散しようとする熱を内側に反射し続ける超高熱の球体は、やがて全体の温度が下がるにつれてその色を薄れさせていく。
ようやく結界の内部が確認できるようになった時、溶岩溜まりの中にあったのは鉄紺の岩石。その石塊が内側から割れて開くと、中からは再び無傷の少女が現れた。
二度も不意を突かれる程ここにいる魔族達は甘くない。魔術に詠唱が伴うのであれば、防御する事は可能だ。
「……?」
「……」
聞き慣れない呪文――【ウォータⅢ】と【ファイアⅢ】。
その身に受けた魔術に何を感じたか、茶髪の少女は訝しむように首を傾げる。
一方で勇者は無表情のまま。二度の術を行使してなお相手に傷一つつけられていないこの状況でさえ、勇者に動揺は見られない。ここまでの攻撃において、最初からおおよその結果を知っていたかのような様子で相手の状態を観察している。
「水と火……精霊がいないから、か」
魔族の男が独り言ちる。
違和感の原因は、発現した魔術の威力だ。
ウォータとファイア。聞き覚えの無い短い詠唱から繰り出された超常現象は、名だたる魔術師と比べても遜色ない力を持っていたが、つまりそれは勇者でなくとも行使できるような、常識内に留まった破壊力だったという事に他ならない。彼女が隠しもせず垂れ流している膨大な魔力と神聖からすれば違和感を覚えるほどの威力の低さ。その原因は、恐らく精霊に協力を得られていない事――この星との不和だ。水の精霊の最大個体はつい先程消滅したし、炎の精霊は前々から魔王軍に協力している。
例えばここで勇者が土属性の魔術を詠唱したとしても、大地そのものである土の精霊と対峙しているこの場では魔術の発現すら困難だろう。
まさにそれを試していたのだろうか。勇者はどこか納得したような態度で魔術の痕跡を眺めた後、再び聖なる大剣を掲げた。
「【サンダーⅢ】」
三度目にして、ついに勇者の手に大自然の輝きが灯る。彼女に与している雷の精霊が、星の持つ力を彼女へと分け与える。
短い詠唱が終わると同時に立ち昇る魔力の奔流。精霊に強力を得られている分、先程までとは桁違いの力を持ったそれが顕現して都ごと消滅させてしまう前に――強く大地が咆哮した。
まるで星が割れるような大地震。強烈に突き上げられた地表は直前まで地上にあった全てを跳ね上げ、地殻を破壊しながら星を揺らす。
空へと跳ね上げられた勇者は体勢を崩して魔術を中断し、即座に聖剣を後ろに振り抜いて迫る凶刃を払い除けた。
「……チッ……!」
背後から迫っていた鎧姿の女性は剣を返されて舌打ちするも、その一合ですぐに飛び退いて距離を離す。連携攻撃の指示を受け、自らの手で首を取ろうと勇んでいたが、戦果を求めてギラついた欲望を瞳に浮かばせながらも追撃せず素直に引いた。
「【たたかう】」
勇者が体を捻りながら聖剣を振り上げると、追撃するべく上空から迫っていた魔族の男に一度で16回の斬撃が加えられる。対象を刻むごとにその体内に蓄積されていく聖なる力は、丁度16回目に内部から破裂して不浄なる存在を世界から消し去った。
空中で塵と化した魔族の男を見送り、勇者が次の標的へと視線を移そうとした時――彼女の世界は反転する。
「……!!」
下から首を捕まれ、浮いた状態から無理矢理地面に叩きつけられる。背中に強烈な衝撃を受け、肺が機能しなくなる。
一瞬ブラックアウトした視界が戻ると、勇者の目の前には細切れにした筈の魔族の男の顔があった。その豪腕で握り込まれた首は今にも折れそうに軋み、膝で乗られている胸からは何本もの骨が折れる音が響く。
「っ…………通った……通ったッ! 無いっ! こいつ無いっ! 耐性ッ! いッひひひひッ!! ……ハァ」
遠くで妖精が飛び回り、騒いでいる。
今や人類の敵となった幻想界の住人は、男が切り刻まれた時にはこの世の終わりかのような表情をしていたが、一転して勇者が地に落ちたと見るや八重歯をのぞかせて笑いだした。
勇者は呪文を唱えようと口を開くが、胸に膝を立てられて呼吸すら困難な状況ではうめき声すら出てこない。
聖剣を振るおうと腕に力を込めるも、即座に茶髪の少女が作り出した金砂によって肩ごと切断される。
沈みゆく意識の中で彼女が最後に見たのは、自分の体から突き出る岩槍と、再び空から落ちてくる禍々しい漆黒の渦だった。
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