22話目 エマのバトル!
「あれっ?私なんでここにいるの?えーと、確かトラップを踏んでしまって…それで…はぐれたのね…やってしまったわ…」
私は自分のやらかしたことを思い、膝から崩れ落ちる。こんなことでイグニス様から離れたら、私が使えないやつ扱いになってしまうじゃない!
いや、私もモンスターを倒してボーナスをもらおうと思っていたの…。それで気合を入れて動いたらこんな結果…。
私もね?好きでこういうことやりたくないのよ…。
お菓子を横取りしたなんて思われてますが、横取りしてません。ちゃんと2人分のお菓子がありました。それで自分の分を取っただけなのに…。
訓練中に不意打ちで魔術を打ったのはユーラさんが私のことをおちょくってきたのが苛ついて、魔術を放つとイグニス様が射線上にいたの。
ちゃんと危ない!って言ったわよ?
それでコケて睨んできましたが、私は笑ってません。あー、こういうので誤解が生じるんだ…と幼いながらに感じてしまったからね。
私悪くないのに…。そう嘆いても仕方ないのかもね…。とりあえずイグニス様を探そうかしら。
私はスキルを使い、私のいる場所とイグニス様のいる場所を調べる。イグニス様は…『蛇の洞窟』?
難易度が高いダンジョンじゃない。学校のダンジョンでもないみたいだし…私も違うところにいるのかしら?えーと?『魔蟲の巣』?
ッ!?嫌ァァァァァァァァァァァァァァァァ!
ま、魔蟲!?なんで虫だらけで有名なダンジョンにいるのぉ?!だめ帰りたい帰りたいホントやだホントやだホントやだぁ虫いやー!
皆まで言う必要はないわ。私は…虫が嫌いよ。ユーラさんとの訓練である程度の猛獣やモンスターに耐性はあるわ。でも!虫だけはホントだめなの!まだライオンとかのほうが可愛げがあるわ。あれは…ほんとに…気色悪いの一言で完結してしてしまう存在なのよ。
確か…『魔蟲の巣』のボスはあいつだったわよね?
…戦いたくないわね…。そうね!ミカが来るのを待ちましょう!あの子ならきっと私を助けてくれるはずよ!
あれ?30分待っても来ない。
あれくらいの実力者なんだから私を助けるのも簡単だと思っていたのだけれど…。やっぱり自分で攻略する以外方法はないのかしら…。…ここで頑張らないと意味ないわね。
あまり気乗りはしないけど頑張らないとですね!
「私は!このダンジョンを攻略したら!ボーナスで新しい魔剣を買ってやる!」
こんなことになるとは思っていなかったんだもの!
備えておこう、そう思ったわ。
私は立ち上がり、目の前にある二股に別れた道のどちらかに進むのか考える。私はスキル『叡智』を使う。このスキルは世界の全てを知るなんて言われるほど強力なスキル。けど私には10%の出力でしか使用できない。
【叡智…ユニークスキル。世界の全てを知ることができるスキル。知識の把握、未来の予見などが可能。使用する際、代償を払わなければならない】
『叡智』は強い。だけど、やっぱりそれ相応の代償が必要になる。10%が代償なしで使える。けれど、10%だけだとせいぜい明日の天気の予見とか、しょうもない雑学だとか、あまり使えない。
それでも代償を払えばなんとかできる。
「どう考えてもこのスキル、使いづらいわね…」
〈別に君のために作られたスキルじゃないんだから当然でしょ〉
しかもこのスキル、喋る。とにかくうるさいし、お小言ばっかり。サポートができるのはいいことではあるが、日常生活において邪魔と言ってしまっていいほど喋る。プライバシーとかあったもんじゃないわ。
「まぁいいわ。ここからダンジョン攻略の最短ルートを教えてちょうだい」
〈わー、ブラックだなぁ。君が所属しているような王宮もびっくりのブラックさだよ〜〉
「そこまでブラックではないわ。つべこべ言わずに働いてほしいのだけれど?」
〈はーい、分かったよぅ〉
私の頭の中に現在地とダンジョンボスの部屋へのルートが浮かび上がる。場所はわかった!
〈何ストレッチしてるの?準備運動とかあんまりしないのに〉
何とでも言っていいわ。私は今から………………
〈えっ!ちょっ!ま、待って…〉
走る!
〈ふきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!〉
頭の中で『叡智』が叫んでいるが私は止まらない。ただいまの時速約100キロ。スキル『高速移動Lv10』のおかげね。
ダンジョンを怒涛の速さで駆ける。途中で現れたモンスターは速さに驚いて避けるか、私に踏み潰されて終わるという感じで殲滅しているわ。
そうして私はボスの部屋にたどり着いた。
「起きなさい、『叡智』。もう少し休憩したらボスバトルよ」
〈……おえ〜。あんなに速いなんて…。それより、もうボスに挑むのかい?流石に君でも疲れていると思うんだけど?〉
「私はこんなところから一刻でも早く抜け出して早く帰りたいの」
〈君、ほんとに虫嫌いなんだねぇ〜〉
「この世で最も嫌いなユーラさんの次に嫌いね」
私は扉に手をかけて開けた。
一歩足を踏み入れると扉が閉まる。その中にいたのは…。
上半身裸の女だった。
「露出狂?」
〈違うよ、腰から下の部分を見て。足八本だよ。どう考えてもアラクネでしょ〉
「あー、その発想はなかったわ」
部屋の中は白い糸で埋め尽くされている。しかもアラクネの下に転がってるのは…。
「男?うぇっ、しかも裸じゃない!気持ち悪い」
〈それ男が聞いたら泣いてしまうよ?女の子の前でモンスターに襲われて裸になっていたところなんだから少しは情けをかけてあげよ?〉
「ないわね」
寄りにも寄って最悪なものを見たわ。というか男の☓☓が出ているんだもの。臭い。アラクネは男を襲っていたのかしら?普通に共感できない品性ね、やっぱり露出狂じゃない。
「変態共に情けはかけないわ。容赦なく叩き潰してあげる」
〈男のアソコも?〉
「いっそ潰して漢女にしてしまってもいいかもね」
皮肉をつぶやきながら私は魔術を展開する。
火魔術Lv6!『フレイムバレット』!
6つの火の玉がアラクネを襲う。しかしアラクネは躱し、私に糸を放ってきた。
「糸?これでわたしがどうにかなるとでも…っ!」
私は体を翻して避けたが、着地したところにはすでに蜘蛛の糸が張られていた。
〈こういうフェイク苦手だよね〜。対策とかしないの?〉
「しないのではなくてする気がないの」
〈もっと駄目じゃん〉
軽口を叩くが、そんな余裕もなくなってきそうね…。アラクネは動けない私に毒魔術を放ってくる。
「ここまで来るといっそ清々しいわね。でも…モンスターにやられるほど私は落ちぶれていないの」
〈反撃フラグかい?君も頑張るね〜。手伝うよ〉
スキル『叡智』!たった今の状況を打開する最高の一手を!
私はスキルを50%で使用する。負荷がかかり、頭が割れそうなほどの頭痛がくる。それでもやらなければならない。
〈………。「その場から動くな」だってさ〉
「は?」
一体何を言っているのか…その意味を一秒後に知ることになる。
「炎魔術Lv10!『フレアランス』!えいっ」
アラクネの死角から炎のやりが発射される。あっさりとアラクネを焼いたその魔術を放ったのはどこからともなく現れたミカだった。
「こんなことが…」
〈僕もこんな未来になるなんて予想ができなかったよ…〉
『叡智』でも予見ができないなんて…。
私はアラクネのドロップアイテムを拾い、イグニス様やアリシアを連れているこの女の子を改めて凄いと感じた。
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大変申し訳無い…。更新がだいぶ遅くなりました。
夏休みの課題に必死です。嘘です。
音ゲーのガシャに必死になっています(女の子たちがバンドでパーティするやつです)。
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