魔術学校編

18話目 かわゆい新キャラとダンジョン攻略。



学校の寮生活が始まった。寮は二人一部屋となっていて、もうひとりの子と授業でのペアを作って活動するらしい。


基本は男女別なんだけど双方が望むなら男女のペアを作れるらしい。ただ、風紀的な観点からそういう…ね?こう、大人な行為はね?禁じられています。昔あまりにも大きかったんだって!音が!隣の人からしたら大迷惑だよね。自分は恋人いないのを実感させられるし、何よりも音が聞こえたら寝れないしで問題でしかなかったんだって。

従者には別の部屋が与えられるらしくて、ローズとエントにはそこで待機してもらっている。


閑話休題。


というわけで私の目の前にはすごく怯えた美少女が。前髪で瞳を隠して、黒い髪は全力で『自分、陰キャなんで…!』と表しているよう。涙目で半分泣いてるというか泣いてる。

何よりさっきからすっごい震えてるんだよねぇ。生まれたての子鹿かな?



「あの〜大丈夫?」


「ヒッ!だ、大丈夫です!何にも問題はありませんので…!私を気にしないでください…!」


私、そんなビビることしたっけな?大丈夫じゃないほど震えてるよ?むしろあなた漏らしそうだよ?乙女だから言わないけど、人前で出すなんてありえない何かが。



「とりあえず自己紹介でもしようか?私はアンドウ・ミカ・ゼルディア。気軽にミカって呼んでね?」


「あ、アリシア・マーレです。私のことはいないことにしていただいても構いませんので…」


「……。何でそんなにへりくだってるのか聞いていい?」


「わ、私ごときがミカさんと一緒にいるなど許されざることなので…」


「…?具体的にどこが?」


私ごときが〜とか言われても理由がわからんよ。私はそんな偉いことをしてるわけではないんだけど。



「し、新入生挨拶をする人は、毎年入学試験をトップ合格した人に限られます。なので、その…私が隣にいることはミカさんにとってあまりいいことではないのかと思い…」


「その程度のことで気にしてるの?アリシアはそんなこと気にしなくてもいいよ?」


「そ、その程度のことと言われても…」


む。なかなか強情だな…。こんな時どうしたら…、なんてお困りのあなた!友達と仲良くなりたいけどよそよそしくされる…なんて悲しいですよね?そんなときこんな言葉を言えばなんとかなります!



「じゃあ、私のお願い、聞いてくれる?」


「!?は、はい。私にできることなら何でも!」


さぁこう言うのです。



「なら私と友達になって!敬語は禁止ね?」


「………。ええっ!そ、そんな!」


さらに!これだけではありません!今回なんと!もう一つ、上目遣いでちょっと涙目で…こうつぶやくのです…。



「そっか、そうだよね…。私と友達なんて嫌だよね…」


「ええっ、そ、そんなことは!」


ちょっとしょげてみましょう。大体の人はそれを気にしてくれます。気が弱い人なら尚更。



「じゃ、じゃあ敬語を治すのは難しいですけど…、友達ということなら…」


「!いいの!?ヤッター!」


「あれ!?さっきまでのテンションは!?」


アリシアは騙されたと言わんばかりの顔を作り、それでも嬉しそうに笑ってくれた。


その日は割とぐっすり眠れた。







そして翌朝。私が起きてベッドから出ると、アリシアのかわゆい寝顔があった。写真撮りたい。写真を撮る魔道具(?)らしきものは持っていないので、魔術を使う。


影魔術Lv10『投影』


この魔術は文字通り投影、つまり物の面に影を映す魔術だ。影を羊皮紙に投影させるとあら不思議!こんなにかわゆいアリシアの寝顔がバッチリ!


元々は『幻影』という魔術の劣化版で、『幻影』は分身や名前の通り幻影を作り攻撃をすることができる。だけど、投影はその場に居続けるだけで攻撃をしないし、攻撃されるとすぐ消滅する。幻影で作られた分身は2〜3撃は耐える。だとすると『幻影』は便利だけど、物には影響することができないので、『投影』のほうが写真を画像として残すのには便利なのだー!(早口)


ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ。


アリシアの写真は収納魔術に保管。大切なコレクションです。



「アリシア、起きて。もうそろそろ朝ごはんだけど?」


「ふぁ、ふぁ〜い。おはよごぜます。あれ…どうして私の部屋にこんなに可愛い女の子が?」


「寝ぼけてるの、アリシア?早く起きて〜」


「嫌です〜。どうせ夢でもこんなかわいい女の子と一緒なんですから、もっと甘やかしてください〜」


こ、これは!俗に聞く「寝ぼけ女子」!あまえんぼのアリシアもかわいい〜。これも写真。


「アリシア、いつまでも寝ぼけてるならキスしちゃうぞ?」


「どうぞ!夢とはいえこんな可愛い子にちゅーとか本望です!」


よし、合意があるね?私は止まらないよ!


ガシッ!



「じゃあ、イクね?」


「あ、あれ?なんか急にエロっぽく!?」


んっ!んむっ!

アリシアのお口に舌をを絡ませる。



「ん〜!?んむっ、ん、む〜!!??」


キス。それは俗に言うディープキス。

寝ぼけたアリシアも流石に目を覚まし、顔を真っ赤にしている。涙目で上目遣い。あざとかわゆい。

5秒位キスした後、アリシアは腰が抜けてしまったようで、その場にへたり込んだ。



「目が覚めたかな?」


「えっ?あれっ?わ、私…ファーストキス…が…ディープキスなんて…。し、しかも女の子と…」


「目が覚めたなら早く着替えたほうがいいよ?もうすぐ朝ごはんの時間だよ?」


「えっ!あれっ!本当だ!?い、今すぐ着替えないと!」


焦っているアリシアを落ち着かせて一緒に食堂に行く。




『朝ごはんは早めに食べよう』というルールを決めているので、早い時間帯に食べる。なので、そんなに人はいない。だけど…。



「ねぇ、アリシア。なんか視線が多くない?」


「そ、そうですね。すごく見られてるような気がします。一体何が…」


私が不思議に思ってヒソヒソと話している声を聞き取る。



「あいつがミカか…。なるほど、なかなかレベルの高い魔術師だな…」

「隣りにいるのは…アリシア・マーレ?あの出来損ないのアリシア?」

「なんでそんなやつが一緒にいるんだ?」

「たかが凡人ごときが寄せ集められてるんだろう。可哀想に」

「あんな足手まといがいる中で、この後の試験、大丈夫かしらね?」

「まぁ、面倒なやつが消えてくれるんだ。嬉しいことには変わりないな」

「確かにそうね。勝ちが見えてきたわ」


などなど。

あんまり気持ち良い言葉ではないけど、そんなのどうでもいい。アリシア可愛いから。

かわいい=無敵はいつの時代も変わらない。



「ミカさん、食べないんですか?」


「あぁ、うん。食べるよ」


そう言ってご飯を食べたあと、部屋に戻った。




とりあえず…作戦会議だ!





           ★


「というわけで…作戦会議をしよう!ん?どうしたの、アリシア?」


「い、いえ…。さっきのキスが恥ずかしくて目を合わせられないと言いますか…」


「あ、あぁ。そうだったね。ごめんごめん」


「あ、ああいうのをするときは、前もって行ってほしいです!」


「言ったよ?『キスしちゃうぞ?』って」


合意の上でやっております。私は悪うございません。



「そんなことより…作戦会議しよ!9時から早速授業があるけど実技みたいな授業なんだって。それにあわせてあなたがどれだけ戦えるかを知っておきたいの。私がカバーに入りきれるのにも限度があるから」


「そんなことって…。でも授業のほうが大切ですね!それでミカさんはどれほど戦えるのですか?」


「私?私は諸事情があって本調子を出せないんだ。それでも戦うことはできるし、心配しないで。スキルはどんなのを持ってる?得意な魔術は?」



「スキルは…はっきり言うと使えません。使用できないんじゃなくてその…。役に立たないんです」


スキルが役に立たないなんて珍しいこともあるんだ。大体のスキルはとても強くて圧倒的な力を有しているのに…。何かトリックでもあるんだろか?



「わ、私のスキルは[概念吸収・放出]と[解析]です。概念吸収と言っても、事象・物質を吸収するスキルです。それを放出スキルで出します。解析は概念吸収したものがどんなものかを解析し、理解できるようにします。

魔術は水魔術Lv10、氷結魔術Lv7が使えます」


?概念吸収?とりあえず、鑑定Lv6!


[スキル:概念吸収・放出…ユニークスキル。

概念を吸収する。ありとあらゆる事象・物質を吸収する。また吸収した事象を一度だけ放出することができる。解析スキルがあればそれを自身の技として取り込める。

使用者の負担は概念吸収した事象により変化する]


[スキル:解析Lv10…レアスキル。鑑定の下位互換と呼ばれている。体内にあるものを理解する。体外のものは解析できない]


「ぺ?」


「どうかしたんですか?」


「ああ、うん。なんでもない」


は?概念吸収?チートスキルでは?

概念を吸収する。つまり、現実に起こったことさえも吸収するということだ。例えばアリシアが相手に魔術でダメージを受けたという事象を吸収する。するとアリシアのダメージは吸収され、ダメージを受けていない状態になる。そして受けたダメージを相手に放出すれば、一度だけ相手がダメージを受ける。


それだけではなく、魔術自体を吸収すると、一度だけ魔術を放出する。それを放出せず、解析スキルで理解すれば相手が使った魔術を使用することができる。


なんちうでたらめなスキル。多分私のスキル[ホープ・インフィニティ]と同レベルで強い。いくら負担があるとはいえ、ここまでの強さを持ってるのは強い。

これで弱いの?私やる気なくなってきたんだけど。



「このスキル、荷物持ちでしか役に立たないスキルで…戦闘面では一切使えないなーって困ってるんですよ…」


「待って、その中に荷物は言ってるの?」


「それしか使い道がなかったので服とか勉強道具とかが入ってます」


oh,no。そんなもったいない事しか使ってないのか…。なら仕方ないね!私が鍛えてあげないと!



「よし!じゃあ今からスキルの練習しよう!対戦とかそういうのでも鍛えておいて損はない!」


「ま、待ってください!今から30分しか時間がないんですよ?間に合いませんって!」


不可能?それを可能にするのがアンドウミカです!



転移魔術Lv10!アメリト平原!


二人はアメリト平原へ転移。

そして、時空魔術Lv10!『タイムジャック』!

で周りの時間の進みを遅くする。


「あ、あれ!?私今さっきまで寮にいたのになんで!?」


テンパってるアリシア。そういうもんか。でもこれに慣れてもらわないと後々が面倒だな…。



「とりあえず、中身を全部出して」


「お、お財布はここにありません!」


「違うわ。スキルの中身を空っぽにして」


「え?あ、はい」


よし、全部出してくれたね?ならこっから修行だ!



「アリシア。あなたのスキルは最強と言っていいほど強いの」


「荷物持ちとして、ですか?」


「違う違う。魔術師としてとてつもない才能を持っているよ。ということで、今からやることは特訓ね。

そんなに難しいことではないよ。私の魔術をスキルで吸収して、解析してね。始めるよ〜」


「ええっ、いきなり言われても心の準備がぁ!?」


容赦はせん!


氷結魔術Lv10!『ネーヴェ・セト』!

氷が辺り一帯を飛び交う、範囲攻撃の魔術。



「はわわわっ!?が、『概念吸収』!」


焦りながらもスキルを発動させ、吸収しきる。

アリシアはありえないものを見たように驚いていた。



「私のスキルにこんな使い方があるなんて…」


「はい、じゃあそれ解析して!」


「こ、これをですか?!……やってみます!」


彼女の瞳が緑色になる。解析スキルの効果だろうか。やがて緑色がもとに戻ると、さらに驚いた顔をしたアリシアがいた。



「こ、これだけで氷結魔術Lv10を覚えるなんて…」


「ん。上手く行ったね?なら次。今度は風魔術行ってみよー」


「ええっ、もうですかぁ〜?!」


そんなこんなで結局アリシアは氷結魔術Lv10、突風魔術Lv10、回復魔術Lv10、閃光魔術Lv10を覚えた。


火炎魔術とかも吸収させたんだけど、本人の相性にもよるらしく、暗黒魔術も覚えなかった。全属性に相性がある私がおかしいだけ!それでもアリシアはこの数時間でアリスを超えるほどの力を手に入れた。


本人曰く、疲れるけど、大丈夫らしい。なら次も…と言ったら怒られた。


でも、もうそろそろいいかな。



「じゃあ、帰ろっか」


「や、やっと終わりました〜」


魔術を解いて、転移魔術を展開。寮へと戻ると、10分後に授業が始まる。


私達は急いで支度をし、集合場所へと向かった。







           ★



「全員、揃いましたね?ではこれより一時間目、いえ、一日をかけてのダンジョン攻略の授業となります。説明をするので聞いてください。

これからあなた達にはダンジョンを攻略してもらいます。制限時間は明日の明け方まで。ダンジョンの奥にある宝玉を取ってきてください。あなた達でも倒せるレベルのモンスターしかいませんので、安心してください。皆さんはペアがいると思いますが、最低4人のパーティーを組んでください。今から15分後に攻略を開始します」




ダンジョンかぁ。そんなに警戒するほどでもなかったかな?でもどうしよ?周りを見ても私達には一歩引いてるし、かと言ってどこでもいい班に入って荷物持ちとかもやだし…。



「すまない、そこのレディ。僕達とパーティーを組んでもらえないかな?」


そこにいたのはなんか優しそうな男の子。私と同じくらいの身長で身分が高い人が着るような服を着てる。


「ナンパはお断りですよ…って、あ。あの時の坊っちゃんか」


「なっ!貴様、イグニス王子になんて口の聞き方を!」


「あ〜、下を噛んでた残念ガール」


「残念ではないわよ!!失礼ね!」


そこにいたのは森で助けた坊ちゃんと残念ガールだった。なんか面倒いし、それとなく理由をつけて断ろうかな?



「で?本当に何のようなの?冷やかしならいらないよ。消えて?」


「いえ、そんなわけではなくてだな…。僕達とパーティーを組んでほしい。正直周りの人もあんまり僕達とパーティを組みたそうじゃないからな…」


「あーそう。勝手にしといて。リーダー任せるね?私働かないよ?坊ちゃんみたいな有能なやつがいたら私のいる意味なくなるし。楽だし」


「貴様、本当にいい加減に…ッ!」


残念ガールは怒っているが坊ちゃんは我慢ができる子だな。



「私はアンドウ・ミカ・ゼルディア。よろしく〜」


「わ、私はアリシア・マーレです。よろしくおねがいします」


「僕はイグニス・M・シーファンネル。一応この国の第二王子だ」


「その従者のエマよ。よろしく頼むわ」


それぞれが自己紹介を終えたあと、先生が高らかに宣言する。



「ではこれより!ダンジョン攻略を始める!準備はいいな!?」


授業なんて前世で大学の授業受けたとき以来じゃないかな?なにげに楽しみだな…!



この人生で初めての授業が…………。



「用意………スタート!」



始まった。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ということで、魔術学校編始まりました。どうですか?作品のクオリティは。あんまりだなぁと思ったら言ってください。なるべく直します。誤字脱字もお願いします。



題名を変えてからPVが多くなってきたので、とりあえず近日中に全部の話を更新、つまり盛ります。

編集してわかったのですが、最初の文字があまりにも少なすぎたな、と思いはじめまして。


明日、明後日ぐらいにはちょっと増えてると思います。ぜひそちらの方も確認して頂ければと思います!


いつも『安藤ミカさん!手加減してください!世界が滅んでしまいます!!〜手加減してもチート級!?な転生ハーフエルフの異世界魔術師物語!』

をご覧いただき、ありがとうオリゴ糖。ではなく、ありがとうございます。


また応援メッセージやハート(?)などたくさんお待ちしてます。

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