章間 ユーラさんと、イグニスさん。
ユーラ視点です。
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あー、頭が痛い。ガンガンする。昨日は飲みすぎちまったかな?ほとんど覚えてねぇ。明日から仕事で働くし、これくらい良いだろ、とか思ってた自分を殴りてぇ。
「ユーラ姉、起きてー。なんか偉そうな人からご指名かかってるよー」
部屋の扉からフーラの声がする。
ご指名ってなんだよ。娼館じゃあるまいし。偉そうな人?もしかしなくてもあの人かぁ。
「ん。悪いな、フーラ。昨日飲みすぎてな」
「そんなことだろうと思ったよ。ていうか、偉い人来てるよ。なんでもこの国の第二王子が」
「!そいつはまぁ偉いもんが出てきたな?」
私はフーラと会話しながら着替して準備を整えた。
「随分と長くかかっていましたが、何かあったか?」
「何もないですよ。第二王子、イグニス・M・シーファンネル様。お会いできて光栄ですよ」
「そうか、ならいい」
そう言って苦笑した男は私が昔家庭教師をしていたときの教え子だ。つってもまあ、1年限りではあったが。
「あまり王子に失礼の内容お願いします。無礼があれば誰であろうと切り捨てる覚悟なので」
「お前程度じゃ切り捨てる前に私が拳骨を食らわせるほうが早いさ。出直してきな?」
「ほう?やってやりましょうかクソ女。せっかく久しぶりに会えたことですし、表でガチンコしましょうか?」
そう言って睨みつけてくるのはイグニスの従者のエマ。こいつはスパルタ教育してやったんだがそれに耐えやがった。
腹筋1万回に、50メートルダッシュを1000回。
素振りを10万回するメニューを作ってやった。
ちなみにそれが一日分。終わらなければごはん抜きという過酷な罰ゲームとともに訓練を始めた…はずだった。だけど最初はそれこそできてなかったものの途中から死にもの狂いで訓練し始めた。女がそんな顔したらだめだろってぐらいにはヤバかった。
そんときは私も軽く引いた。
「落ち着いてくれ、エマ。本題が進まないじゃないか」
「あなたにも苦労させられているのですけど」
「……本題に移ろう。ユーラ、あなたに魔術学校の教師になってほしいのだ」
…何かしらあると思ったがこれは予想外だな。魔術学校の教師?私にゃ向いてないし、やる気もない。他人にものを教えるとか論外だ。それに…。
「酒が気軽に飲めなくなるじゃないか!」
「ユーラ姉、みっともないよ」
「だって!簡単にお酒が飲めないとかただの地獄だぞ!?私にとっての酒は…」
「それ、ユーラ姉の悪いとこだと思うよ!?」
「嫌なものは嫌なんだ!イーヤーだ!ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダー!」
「う、うるさいぞ!静かにしてくれ!そ、そうだ!今度王宮の最上級ワインをやるから!100本やる!それでいいだろう!?」
まじか!王宮のワインと言ったら世界一と言ってもいいほどの旨味と芳醇な葡萄の香りで有名なあれか!それをもらえるとなったらもちろん!
「よし、わかった。その仕事引き受けた!」
「変わり身早っ!あっさり過ぎない!?」
エマがそんなことほざくが気にしない。
フーラは立ち上がって抗議の声を上げる。
「ユーラ姉!?お店は!?花屋さんのお手伝いは?!」
「店ならフーラ一人でやっていけるし、花屋は体調が良くなったらしいから大丈夫だ!」
何よりも酒が飲めるしな!それ以上のメリットはない!
「まぁとりあえずは今からすぐ魔術学校に来てくれ。あなたは僕に魔術を教えた人間だ。学校でもその手腕を振るってくれることを期待しているしね」
「しかし、変わったこともあるもんだな。あんだけ魔術が苦手だったイグニスが魔術学校に行くなんて。なにか目的でもあったりするのか?」
疑問を投げかけるとイグニスは小さい声で答えた。
「ええっと、その…。好きな人ができて…」
ボソボソと小さい声で答えた。それだけのために魔術学校に?
「可愛くなったな、イグニス」
「ッ!子供扱いをするな!恥ずかしいではないか!」
顔を赤らめて怒るイグニス。かわいい。小さい頃はもっと素直だったんだけどなー。
そんな感じで私はイグニスと一緒に魔術学校に行くことになった。まだ時間はあるけどミカを起こしておくべきか?
「ユーラ、早く行きましょう。もうそろそろ式場が開く時間ですし」
「お…そうか。わかった。ある程度の準備をしてくる」
用意を整えたあとイグニスの馬車に乗り、学校についた。
なんかお偉い様方がたくさんいるし、すげぇ見られてる。これだからイグニスと行動するのは苦手なんだよなぁ。
案内された席へと座り式の始まりを待つ。
あれ?ミカいないな?確かここの新入生じゃなかったか?
おかしいな、あいつもうそろそろ来ると思ったんだけど来てないのか?配布された式の予定表には開始時刻が3分後であることを表している。他のところに目を走らせると…、は?
新入生挨拶のところにミカの名前があった。
意味がわからん。え?ミカあいつそんなすごいやつだったか?『風龍亭』にいたときはそんな素振り見えなかったし、しかも現在遅刻中じゃないか!
あれは本当に大丈夫なのか?
そんなふうに考えていると式が始まりあっという間に新入生挨拶になる。当然あいついないから周りは騒然。やらかしたな…。
そんな中、壇上には魔術陣が現れる。
ッ!?魔術陣!?何だあの魔術陣!私が知らない形状の魔術。魔族が使う魔術にもあんなんはない!
何が来るんだよ、これ!
と私は焦り、ある種のパニックになった。
そしたらその魔術陣の中からミカが出てきた。
は?
登場の演出としてはすごいかっこいいし、目立つ。ハーフエルフだけどエルフすら超えるほどの神々しさ。なんであの子うちに泊まっていったんだろうな?
しかも貴族や王族を気にせず、自分の言いたいことをしっかり言ってる。私よりも芯が通っていて、見てるとすげぇスカッとする。
すごいかっこいい挨拶が終わり、私は半ば呆然としながらイグニスのところに駆け寄った。
「イグニス…あの子すごいな…」
「あぁ!すごい…すごいかわいい。天使」
「は?」
私が言ったのは彼女の実力についてなんだが、こいつかわいいとか思ってるのか。と思ってイグニスの顔を見たら目がハートになってた。これはまた…。難儀な恋に落ちたんだな…。
そんな感じで私の教師生活はとんでもない形で
始まった。
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章間終わり!面白かった方は是非ハート(?)を
お願いしまーす!
そして!題名を変えることになりました!
その題名は!
『安藤ミカさん!手加減してください!世界が滅んでしまいます!!〜手加減してもチート級!?な転生ハーフエルフの異世界魔術師物語!』
長くなりました!今どきのライトノベルって感じですね!
この作品は基本安藤さんが手加減しても大抵なんとかなってしまうような物語になっています。
『まだ本気の1割も出してないぞ!』という負け犬フラグはありますが、安藤さんはそのフラグをへし折っています。この世にあるフラグをどこまでバキバキに折れるか作者も楽しみに書いています。
さて!次回からは王都編から魔術学校編に変わります!コロコロ変わっていってます、すんません。
ここは長めにしておきたいと思ってますのでよろしくどうぞ。
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