16話目 メイドだー!執事だー!
んー、やってしまったなー、私。実験程度で済まそうと思ってたけど、あんな威力になるとは思わなかったし。手加減は一応したよ?5割くらいに出力を抑えてバーンとやっただけ。
やっぱ火力の問題かな?単純に8倍になってるわけだし。……次から考えて使おう。
「これ、クエストの報告どうするかなー?『なんかでかいモンスターがゴブリンの集落をブレスで破壊していきました!』なんて虚偽報告したらもっとめんどいことになるだろうしなぁ〜」
一人つぶやきながら地面に着地。
10点、10点、10店!新記録です!
手を斜め上にあげて着地ポーズ。恥ずいな、これ。
魔石を回収して見せればどうってことないでしょ!ゴブリンと〜ゴブリンジェネラルと〜オーガと〜ワイバーンと〜。森の一角が全部焼けちゃったらこうなるよね…。
そんなことを考えながら魔石を回収していた私の頭上にでかいものが通った。
「ん?急に空が暗くなって…って!ええ!」
上空にはドラゴンの大群が所狭しと並んでいた。赤や青や緑や茶。白、黒。それなりに強そうなドラゴンたちが来ていた。
おかわりかな?あれ狩ったら一財産稼げそうだ!
よし、そうと決まれば早速魔術の準備を……。
「わわっ、お待ち下さい!我々に敵意はありませぬ!」
一匹白色のドラゴンが私に話しかけてくる。
え!ドラゴンて喋るん!?まともなドラゴンを見るのが初めてだから驚いたよ。
ん?まともじゃないドラゴンには会ったのかって?あるにはあるよ…思い出したくないだけさ…。
「敵意がないならなぜそんな軍勢を率いて来るの?敵意を向けてくるのなら遊んであげるよ?」
「いえ!お戯れを。私達はあなた様に感謝の意を示すために参りました」
そしてドラゴン達は一斉に大地に降り、私に敬意を示すように礼をした。
「我らが贋物、ワイバーンを討伐していただき、誠にありがとうございます。あれは我らにも手に負えないモンスターであいつを倒すのは一族の悲願でございました。我ら龍族はこの恩よりあなた様に従いたいと思う次第にございます」
うぇぇい、なんかトントン拍子で話が進んでいくよーう。つまりこの人たちは感謝を言いに来たわけね?
「うーんと、あなた達の感謝、受け取ります。安心して暮らせるようになってよかったですね!」
ってうわ!龍族の皆さん泣いてるよ!そんな大事なことかね?おっ、白ドラゴンさんは泣かずにこっちを見て、近寄ってきた。
「どうかお願いがあります。私達は、あなた様の部下として仕えたいと思っております。どうか我らと契約をしてくださいますようお願い申し上げます」
ええっ!ドラゴンが部下!?それはそれで夢があるし、学校が始まるからいいけど…こんなに要らないというか…なんというか…。一人か二人くらいでいいんだよね。
「わかりました。でも、全員を部下にするのは流石に無理です。そこまで面倒を見きれないですよ?…体大きいからご飯とか…」
「その点はご安心を。我らは魔術で姿を変えることができるのです。これでいつでもあなた様に仕えることができます」
そう言って白ドラゴンと隣の青ドラゴンは光り、白ドラゴンはクールなメイドさんに、青ドラゴンは柔和な執事さんになった。
変身シーンは見られなかった。ニチ○サよりも防御が硬い。
「わかりました。で私は何をすればいいの?」
「あなた様は我らと盟約を交わしていただければ幸いです。盟約には正式な手順が…」
「ならいいよ。はいっ、これでどう?」
「えっ!はっ!?盟約が結ばれてる?!いつの間に!」
【個体名:アンドウ・ミカ・ゼルディアと龍族の間に盟約が結ばれました。】
【スキル:龍撃Lv1を取得。
:龍の血Lv1を取得。】
随分と驚かれてるけどいつも通りなんだよなぁ、これが。めんどいし、端折ってしまえ!
なんかスキルをゲットしたけどそれもあと!
なんか王都から軍隊が来てるんだよ!
大勢の人の波を感知!
「これでいいよね?あなた達がここにいるとすごい目立ってるからここにいるのは良くないし、帰って!」
「ええっ!帰ってと言われましても!我らは主様に…」
「いいからはよ帰れ!」
転移魔術を展開し、適当な森の中に送る。
「また今度ね!」
「主様!?我らはあなたに…」
言葉の途中で龍族どもを送り返した。
もちろんメイドと執事は残しておく。
「あの…主様、私達はどうすればよろしいでしょうか?」
「あなた達には私に仕えてほしいな。明日から私は学校生活が始まるし、お世話係が必要なのよ。というわけでお願いしてもいい?」
「はい、主様!我らの事はローズ、エントとお呼びください!」
メイドがローズで執事がエントか。ふたりとも美男美女です。
ローズは赤髪でスラッとした女性。お胸は慎ましいけどかわいい。美しいの方があってるな。メイドさんの黒ベースの白レースはやっぱりグッとくる!
エントはプラチナブロンドの髪色で片眼鏡をかけている。身長は180センチくらいで脚が長い。燕尾服がしっかり似合っとる!
ふたりとも角は出てないけど瞳孔が開いてる。
でもどうしよう?焦土に立つ10歳のハーフエルフとモンスター(?)の龍族使用人は目立つ。軍隊が来ている中で言い訳は苦しいだろうし…。
「よし、帰ろう!バレずに!」
「「はい、主様!!」」
しれっと魔術を展開して街の門まで帰った。
★
「報告です!魔力の痕跡より、この一帯の焦土の原因は魔術によるものと見られます!」
「そうか、報告ご苦労であった。しばし休むといい」
「はっ!ありがとうございます!」
部下を下がらせる。
私…クリス・L・シーファンネルは先程発見されたドラゴンの群れの姿を確認していた。あまりにも急なことのため、私が急いで現場に来たのだが…。
「魔術か…。なぜそんなものをここに撃つのだ?」
ドラゴンを見に来たら魔の森と呼ばれる大地が焦土と化していた。魔の森には凶暴なモンスターがいて、それとドラゴンが争ったのかと思ったが、それとは違うらしい。宮廷魔術師に見させると人による高度な魔術らしい。それも宮廷魔術師達には再現が不可能な魔術。
ここにいても何もなさそうだな…。
「これより我らは王城へ撤退する!」
これは一体何なのだろうな?私は疑問を抱き、王城へと帰還した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます