15話目 安藤さんの理の魔術
朝。すごくいいお布団でした。昨日はいろんなことがあったから疲れてすぐに眠ってしまったんよね。
今もなお二度寝という誘惑に負けそうになる……。閑話休題。はよ起きよ。
部屋を出て階段を降りると、フーラちゃん。朝でも美人は可愛いですなー。尊ひ。
「ミカさん!おはようございます!昨日はぐっすり眠れましたか?」
「おはよう、フーラさん!すごく気持ちよかったよ〜。そういえば、ユーラさんは?まだ起きてないんですかね?」
「ユーラ姉ならまだ寝てます。昨日遅くまでお酒を飲んでたみたいです…」
お寝坊なんだなーユーラさん。でも、寝癖ボサボサユーラさんとか見てみたいかも。
「今日はどうされますか?どこかに出かける予定などは?」
「んー、今日はギルドに行ってクエスト受けてこようかなと思って。レベルを上げておいて損はないし。適当にモンスターを狩るよ」
そう言って私はギルドに行く準備を始める。
「そうですか、お帰りは遅くなりますかね?」
「んにゃ、そんなにかからんと思うよ?晩御飯食べたいしね?(明日には魔術学校に行かないといけないから)」
明日には魔術学校に行かないといけない。今日はゆっくりしてもいいんだろうけど、運動する機会を逃すのはいただけない。
「行ってくるね!」
「はい、行ってらっしゃい!」
私は『風龍亭』をあとにした。
★
ギルド。私はクエストの掲示板を見ていた。
ギルドの中は相変わらず騒がしいんだけど、なんかザワザワしてる。私の周り半径1メートル位スペースができてる。
なにかモンスター討伐とかないかな?
「おい、そこのガキ。さっさとどいて俺様たちのクエストを選ばせろよ」
昨日はいなかった冒険者が私に絡んでくる。
ちなみに!私がギルドにブラックウルフを持ってきたときにいた人たちは全員顔を覚えたよ!
でも、こんなブサイク…もといオークみたいなのはいなかった。周りに3人パーティメンバーがいるんだけどただのチンピラにしか見えない。
「はい、どうぞ。私はクエスト選ぶ時間が結構かかるので」
「チッ!張り合いのねぇやつだな!もういいわ、
行こうぜ皆」
ドブ掃除のクエストを選んで持っていった。確かあれはEランクのやつ。…実力がないんだな、可哀想に。それはそうとしてクエスト選ばないと。さすがに迷惑だよね?
おっ!ちょうど良さそーなの見つけたー!
『ゴブリンの集落を発見!討伐せよ!
報酬:7500リーン』
お!いいクエスト見っけ!これにしよう。ちょっと手間かもだけど、実入りがいいじゃん。
早速シアさんに渡しに行こー。
「シアさん、このクエスト受けます!」
「朝から元気ですね、ミカさん。クエストは…。…………ゴブリンの集落のやつですか。承りました」
「あれ?シアさんなら『こんなクエスト初心者が受けてはいけません!』とか言うと思ったけど、言わないんだね?」
「ミカさんだからですよ。あなたは強いんです。なのでこのくらい鼻歌を歌って片手間で済ませることができるのではないかな、と思いましたから」
期待されてるなー、照れるなー。
んじゃ行きますか!
「じゃ、行ってきますね!」
「え?ミカさん、なんで魔術を唱えて…」
転移魔術ッ!
「あれぇ?!ミカさん!?どこに行ったんですかー?!」
ミカさんはただ今移動中です。
★
よし、着いた。ええと?アメリト平原の森の中にあるみたいだねー。こないだブラックウルフと戦ったところか。まぁ、危険ですよね。
私にはそんなにだけどな!
「あんまり手間かけたくないし、魔術でやっちまおう!」
そのためにもあいつらがどこにいるか調べないと。
ブラックウルフと戦ったとき、新しくスキルを得てたんだけど、脇に挟んだ女の子がうるさくて気づいてなかった。ブラックウルフ特有スキル!
スキル:空間把握発動!
[スキル:空間把握…ブラックウルフ特有のスキル。範囲内の敵対生物、魔術の痕跡などを把握する。
スキル:鑑定の多重併用が可能。範囲が広いほど負荷は大きい]
これを使ってゴブリンの群れを把握。森の中に結構デカめの集落作ってる。
そして……厄介なものを見つけた。
「えっ!ワイバーン?どうしてこんなところに!」
村の中央にワイバーンが1体。王都の近くにこんな化け物いたらだめでしょ。
でも…いいや。どうせなら派手にやっちゃおう!
これを今から潰す。私だけの特別な魔術でゴブリンのトラウマ克服とおまけのワイバーンを潰す!
理の魔術:
私が魔術を唱えた瞬間、私の周りに8つ、虹色に輝く結晶が顕現する。モンスターを倒したときに落ちる魔石と同じくらいの大きさだが、含んでいる魔力は尋常じゃない。その一つ一つが星のように強く光り、魔力を纏っている。
安藤さんはそんな魔術を作った。
[
と、こんなふうに途中から文字化けして見えなくなった。スキル:鑑定Lv6でここまでしか読めなかった。でも、今はそれで十分。
8つの星が光を放ち、天へと昇華する。私もそれに続くために飛翔魔術Lv10で上がる。
スキルでは途中で文字化けしてたけど多分応用で
使える。
これは私以外誰もできない。膨大な魔力と高度な魔術操作と天性の才能を持ってないと私の威力を再現できないだろう。
魂だけでの魔術行使。
そして私は更に魔術を唱える。
焰絶魔術Lv10『九つの焰』
私の周りに赤い炎球ができる。私はそれに魔力を与えてもっと燃やす。巨大な炎球をを圧縮して蒼炎球を作る。そしてまた魔力を注いで圧縮する。
そして白焰球ができる。それが9つ。
極小の白焰球が対象を圧倒的な火力で燃やし尽くす。
これが焰絶魔術『九つの焰』。
だが、それだけでは終わらない。
それを……………8つの魂で作る。
白く輝く焰がまた9つ、また9つと生まれていく。
そうしてそれは81の白焰球となる。
これが私の最強魔術。
そして私は狙いを定める。
『81の星焰』
星は地に墜ちた。モンスターを焼き尽くし、森の木々を吹き飛ばし、輝きを放った。
ただその焦土には灰と宙に浮かぶ、ハーフエルフの姿があった。
後にこの出来事は『星降り』という災害として歴史に刻まれることになる。なお、そこにいたハーフエルフは星の使いとして伝説となり、モンスターの危機から国民を救う存在として扱われるようになった。
これ…やりすぎちゃいましたかね?安藤さんはオーバーキルなこの状況に当たり前のことを思うのだった。
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