14話目 安藤さんと市場めぐり! だけど…。
「っっははぁぁぁぁー!!!ベッドだー!」
私はチェックインした後、案内された部屋のベッドにダイブ。王都だからか、スプリングベッドだ。
「気に入ってもらえたようで何よりです。今からご予定はありますか?」
「ん?んーー、ないかな、暇!」
「でしたらお願いしたいことがあります」
「何かな?できること少ないけど」
お願い事とかされると初めてかもー。
「できれば…ではあるのですが、ユーラ姉を探してきてもらえませんか?先程花屋に呼びに行ったのですが、姿が見えず…。予想ではあるのですが、ユーラ姉は多分市場に行っていると思います」
「市場?商人街のやつだよね?それはまたどうしてそう思うの?」
この商人街もまあまあ広いんだよね…。これでも4分の1だから驚きだよね。まぁ、一日はかからないでしょ。
「いいですよー。なにか伝言とか伝えておきますか?」
「ぜひそうします!ではユーラ姉に『寄り道しないで早く帰ってきてください、晩ごはん作りませんよ?』とだけ言っといてください。働かざる者食うべからずです」
Oh、厳しい。ご飯抜きは効くだろうな……。
私だったら絶対に早く帰るよ。アリスもこんな感じで諭されたことあったなぁ…。それはそれとして。
「わかりました、それ伝えときますね!」
「お願いします。では、行ってらっしゃいませ」
私は『風龍亭』をあとにした。
★
「おおー!ここが商人街ですか!見渡す限り、人、人、人!こんな人がいるとユーラさん見つけるの難しそうだなー!」
安藤さんが歩いて10分。安藤さんは商人街に来ていた。だが、安藤さんを待っていたのは人の大波、ビッグウェーブだった。安藤さんが叫んでしまうほどの人。さながら東京で開かれるヲタクの祭典「コ」がついて「ケ」で終わるやつと同規模だった。
といっても、さすがにこれだけ人がいると安藤さんは疲れる。いくら社畜精神のスキルを使い、辛いことを乗り越えようと思っても不可能である。
周りには人族だけでなく、エルフやドワーフ、ケット・シーもチラホラいる。
「と、とりあえず、一旦避難!お店とかあるといいんだけど…」
安藤さんがお店を探そうとしていたときだった。
ドンッ!
「ッチ!いってぇな、何しやがる!」
衝撃が来たと思ったらいきなり罵倒された。私は顔面から倒れた。痛い。
高級そうな服とマントを着てる男だ。というより、少年?私とタメかな?それでも私よりレベルが高い。ダメージ入ったよ…。
「貴様、どこに目をつけて歩いているんだ!?
僕を誰だと思っているんだ!この国の第3王子 イラ・O・シーファンネルだぞ!?」
王子様?そんなことどうでもいいよ…。すごい痛い。レベル差があるんだろうけど普通に痛い。骨が折れてるわけじゃないけど痛いな、ホント。
「……そんなことどうでもいい。私に謝って。今、体が痛いのだけど?」
「ッ!?お前、僕に向かって不敬だぞ!?僕を誰だと…」
「そういうの…いいから。私はちゃんと歩いてた。のにも関わらず当たってきたそっちが悪い」
「はぁ!?お前、どこまで僕を馬鹿に……ッ!」
「どこまでも馬鹿にしてあげるあなたが私に当たってきたのが悪いと何回も言わせないで」
イラはこのやり取りで顔を真っ赤にしている。
相当怒ってるのかな?私も同じくらい怒ってるからおあいこだ。
「クッ!もういい!貴様は王子に無礼をはたらいた罪より不敬罪だ!逃しはせん!」
イラは剣を引き抜いた。周りがざわっとし、周囲が開ける。
そうかい、ならここからは正当防衛に入るよね?私は悪い子としてないんだから。
「私に慈悲を期待しないでね?」
「死んで詫びろォ、半端エルフ!」
といっても、こいつに魔術使うのももったいない気がする。ブラックウルフのときに魔術を試したし、今度は物理を試そうかな…。
「戦いに考え事とは余裕だな!ハァッ!」
私は切りかかってきたイラを避ける。
「考え事をしてしまうほど、あなたが遅いというわけよ?理解できないの?」
「チィッ、口だけは達者だな!これはどうだ!?スキル初級剣術Lv6!」
斬撃が飛んでくるが、叩いて霧散させる。
猿がいくら剣を振るおうと、当たるわけないじゃない。くだらないわね。
「えっ?その程度で私に勝負を挑むの?」
「その程度だと?!僕は初級剣術を最年少で覚えたんだぞ!?」
その程度で誇られても。ただの凡才に私が負けるはずない。でも、油断はしない。アリスたちに嫌というほど教えられた。真剣勝負なら尚更。
だけど……………………。
「もう飽きたわ。つまらなすぎ」
私は切りかかってきたイラの顔面に攻撃:2400の拳を叩き込む。
「?何を……グゥッッ!グハァァッッ!」
イラは吹っ飛び、だらしなく地に這いつくばった。
「もう二度と私の前にあらわれないで。不愉快」
倒れているイラに執事っぽい人が近づく。
「お、王子様!くっ、貴様ァ!お前たちこの女を捕えろ!」
「はっ!」
周りにいたボディガードみたいな人らが私を捕まえようとしてくる。
「触れるな、ロリコンども。突風魔術Lv6『ウィンドフロウ』」
ウィンドフロウ。簡単に言うと半径1メートル位に突風を発生させる魔術。一応手加減はしてあげるけど吹き飛ばすことに変わりはない。ロリコンは犯罪だぞ、諸君。
「う、うわぁ!?体が浮くほどの突風だと!?」
この程度で驚かれてもね…。まぁこの騒ぎで目立ったしユーラさん、見つかるかな?
「お前ぇ、名前は…ッ!」
「レディに名前を聞くほどに熱心ならはじめから優しくしなさい。傍から見てもダサいわよ。白馬の王子様を目指すなら外見だけでなく、中身も完璧にしてから一昨日来なさい!」
あんたみたいなやつは王子様ではない!ヲタクの魂がそう告げている!
私はイラを置いてさっさとユーラさんを探しに行くのだった。
★
「おかえりなさい、ミカさん。どうでした?」
「伝えて来ましたよー?あと少しで帰ってくるそうです」
王子様をボコしたあと、私はユーラを見つけ、伝言を伝えた。
「ちなみにユーラ姉は何をしていたの?」
「ギャンブルだけど…」
「やっぱりね。なんでユーラ姉弱いのにギャンブルにハマったんだろ?」
私はいろんなお店を見て回り、お店の人に聞いて、結局ユーラを見つけたのは路地裏に入ったところにあるお店でギャンブルをしていた。酒を飲みながら負けていく姿とその背中は哀愁が漂っていたよ…。
「ありがとね、ミカさん。おかげでお仕事が一区切りつきそうだよ」
「どういたしまして」
特に何もしてないです。ガラの悪い子供にぶつかられてボコしただけです。
「晩御飯作るけど一緒に食べる?今日は豚肉を使った料理だよ!」
「ぜひお願いします!」
私は即決し、フーラさんたちの居住スペースでご飯を一緒に食べた。
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