9話目 安藤さん、王都へ!




「なぁ、ミカ。本当に王都に行くのか?今からやめてもいいと思うぞ?」


「ヘンリー、これはミカが決めたことなんだから、口を挟んではいけないわ」



ヘンリーが拗ねる。



「そうだよ、パパ。こんな往来で大声で泣いているパパは嫌いだよ?」


「うぐっ……そんなこと言われたら……」


とても超級剣術スキルを持っている人には見えない。こういうところは直してほしい。

子離れできない溺愛パパ。

ほんと、私がいなくてもやっていけるのだろうか?


魔術を構築する。

「それにしてもどうやって王都まで行くんだ?馬車で行くのか?大分時間がかかると思うが。

……………ん?なんで魔術を構築してるんだ?」


矢継ぎ早に質問してくる。集中してるから邪魔しないでほしい。

だから、簡潔に答えた。





「転移魔術で」





「「転移魔術!?」」



「王都の近くの平原で降りてそこから歩いていくよ?」



「「………………………………。」」




口開いてまっせ、お二人さん。

二人がポカーンとしてる。まぁそんなものだ。


転移魔術とは文字通り転移する魔術。空間と空間をゲート的なもので繋いでそこから出入りすると簡単に移動できてしまうのだー!


といっても、これは既存の魔術ではないと言いますか……私が作った魔術なんですよね………。



あるときに転移魔術とかないのかなーと思った私はママに尋ねた。すると「昔はあったらしい」という

なんとも曖昧な返事を返された。

なら作ってしまえと。でノリで作ったらできたと。


我ながら恐ろしい!魔術の神聖すごい!




ということでなんとも現実味にかける旅立ちになる。



ヘンリーがアリスが私を抱きしめる。

しばらくは二人と離れ離れかぁ…。少しさみしいな…。



「長期休暇には帰ってこいよ!」



「ちゃんと頑張ってきなさいよ!」




「はーい、行ってきます!」


「あっ、ミカ!一ついい忘れてたことがあったわ」



なんだろう、突然。せっかくの感動シーンなのに。

魔術も組み立ててるし、片手間でもきけるでしょ。




アリスとヘンリーが声を揃えて言う。





「「絶対に魔術(剣術)を手加減して使いなさい!」」



「え?」


この二人は今なんと?魔術と剣術は手加減しろと?

どういうことだろ?なんでそんなことを…。






聞こうとした時ちょうど魔術が完成してしまった。





そうして私は王都へ旅立った。

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