6話目 安藤さん、想いを知る。





……………天井がある。部屋か?周りを見渡すと家具があった。

クローゼットに机。で、下はベッドか?それなりに柔らかい…。

というか…、ここどこなの?私確か森の中で……………。




思い……出した…。

私……ゴブリンに襲われそうになって…、気を失っちゃったのか…。



でもなんで室内にいるんだろ?誘拐?拉致?

周りを警戒する。正直怖い。誰も来ないといいんだけど…。

そう思っていたら…ドアが開いた。



入ってきたのは……金髪碧眼の女性だった。

ショートカットの髪型。出てるところはしっかり出てるナイスバディ。優しそうな雰囲気とゆったりした白いワンピースがとてもあっている。

そして、とんがった耳がエルフということを教えてくれる。




時が止まったと思うほどの美貌だった。




といってもこの人が私を助けてくれたんだろうか?

こんなに綺麗な人が鬱蒼とした森に行かないと思うけどなぁ…。



と思ったらまた誰か来た。



今度は男。

案外ダンディ。茶髪はサラサラッとしてる。

細マッチョみたい。服の上からでも少しわかる。

腰に佩いている剣はそれなりに強そうな剣。




誰?こんな時こそ鑑定!




[個体名:アリス・ゼルティア

    ステータス・スキルが鑑定できませんでした。                    ]



[個体名:ヘンリー・ゼルディア

    ステータス・スキルが鑑定できませんでした。                    ]



鑑定できませんでした?そんなこともあるのか…。

成功率とかあるのかな?レベル差とか?

そんなことを考えていると…。



「この子が話に出てきた子?赤ん坊だけどほんとに森で見つけたの?」


「あぁ、そうさ。俺も最初は信じられなかったが…森に赤ん坊を捨てるなんてな…」


「酷い話ね…。あまり気分のいい話ではないわ」



アリスと呼ばれたエルフが顔をしかめる。



「なぁ、アリス。一つ提案があるんだが…もしお前が良ければこの子を俺たちの家族にしないか?あんまりにもかわいそうだ…」


「……そうね……それがいいわ。この子の幸せのためにもそうしましょう」


そしてアリスは私に近づいてきた。何がされる!と警戒した私をアリスは抱きしめた。




「怖がらなくていいわ。私が、私達があなたを守るから」




ただ怖がる子供をあやしているんだろう。

それなのに…。それなのに…。





どうしてこんなにも…温かいの?





もう感じないだろうと思っていた人の温もりに涙が出た……。

ずっと不安だったから…、ずっと怖かったから…、

ゴブリンに襲われたとき。死ぬかと思った。

嫌だ、と何回も心の中で叫んだ。

神様は私を見捨てたのだと絶望したし、泣き叫んだ。

それでも私は。



生きているのだ。



この人たちに助けてもらって。



そんな……そんな想いに、感動に……

強がっていた私の心が…………アリスとヘンリーの温もりに溶けた。




私はこの人たちとずっと一緒に居たいと心からそう思っていた。







そして私は異世界に来て初めて産声をあげたのだった。












【スキル:ホーブ・インフィニティを取得】


【称号:想いを取得】


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