5話 『身長伸びないかな〜』

 ウチで書庫って言えば3箇所ある。


 と言うのは父さんが本好き、とゆうか知識欲の権化みたいな人だからだ。


 一部屋一部屋に何千冊とか置かれてて部屋ごとに置かれた本が区分されてる。


 俺がよく行くのは2階の書庫だけど、ここに置いてあるのは魔力とかスキルってゆう特殊なエネルギー関連に本。


 他にも1階と3階に書庫があって、それぞれ軍事関連とか国際関連の本が1階で種族に関する本とか生物学的な本を置いてるのが3階。


 他にもう一つ書庫みたいな部屋で父さんの部屋が有るけどあそこには父さんお気に入りの文学小説が大量に置かれてる。


 と、そんな事は良い!


 あっぶね、また脱線するところだった、、、


 それで〜


 何だっけ、アレだよアレ、、、



「スキルに関する資料を探しにきたんですよね?」


「ん? ああそうだった! うんっと、どこだろ?」


「分かんないですけど、多分このエリアに、、、 あ、コレじゃないですか?」


「お、流石だね! いやヤッパリ身長無いと色々むずいな〜」


「はは、身長が言い訳になるうちは楽で良いですね〜」


「そうそう、ん? 今なんて言ったか分かんなかったんだけど?」


「なんでも無いですよ〜 じゃ、私向こう探してきますから読んで待っててください」



 なんかモヤモヤが残るけど、まあ良いや。


 失礼なメイドってのは今に始まった事じゃ無いし、それにパートナー補正か何かあるのか知らないけどどんだけ失礼でも特に腹立たないんだよね。


 精神が肉体に寄ってるのか特に特別何かを感じるとかは無いけど。


 と、そんなことを考えながら重い本を担ぐと俺は少し歩いて窓から日が刺すところで本を開いた。





ーーーーー






「ありませんね〜 この辺だと思ったんですけど、、、」


「あら? エレナーさんじゃない? 何かお探し?」


「あ、スキルに関する本を探してるんです。 あ、奥方様って書庫の配置とか詳しかったですよね? 物質回転ってゆうスキルに関する本って知りませんか?」


「物質回転、? ああ、グレンが取得したってゆうスキルね。 う〜ん、あ、アソコだったかしらね? 着いてきてちょうだい」



 奥方様、と呼ばれた女性は少し不服そうな顔を浮かべながら言うと少し悩んでから歩き出した。


 エレナーはその後に続く、そして数度目の角を曲がった棚。


 その3段目に12冊も物質回転に関して書かれた本が見つかる。


 ソレを見て奥方様と呼ばれた女性はまた不服気な顔を一瞬浮かべて、、、



「うん、見つかったわね。 3段目は全部そうだと思うから持っていってあげなさい」


「はい! ありがとうございます」


「ええ、でも〜、もっと私を頼ってくれても良いのよ? 何だったら私の専属に、」


「すみません! 急ぎますので、では!


「あら、そう、? そうね、」



 エレナーは区切ると3冊ほど抱えて走っていく。


 奥方様と呼ばれた女性は、その後ろ姿を見送ると下唇をキツく噛み締めた。



「グレン、ぼ、僕のエレナーをとってタダで済むなんて思うなよ、?」



 そう小さく呟き溢れた血を舐めとると、女性は静かに書庫を出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る