1話 『貴族転生、的な?』
目が覚めた時のファーストコンタクトは豪奢な天井だった。
霞がかった目の端にボンヤリと写っている白と黒の服と肌色、断片的な情報からメイドさんかな?
その恐らくメイドさんは俺から見て左手側。
右手側には説明の難しい女性、強いて言えば特別に目立った特徴のない黒髪ロングでだけど嫌に存在感があるような、そんな女性。
上手く表現できないのがモドカシイけど直感的に分かる、彼女が俺のパートナーだ。
そう確信した俺を右手側の女(彼女もメイド服を着ている)に抱き上げられた。
と言ってもボヤける目ではその機微なんて分からないから大まかな動きと背中の感触、浮かぶ体からの憶測だが。
「アナタはグレン・アムシュト、ゆくゆくは領を治める主人となられるでしょう。 、、、聞こえてますか?」
「エレナー、アナタは少し気が早い所がありますね。 領主様の御子息様とは言っても赤子なのです、言葉など分かる筈が、、、」
「あ〜あ、あぶあぶあぶ。(そ〜か、了解だ) あぶあ〜ぶ、あぶああ あぶあぶぶ、あぶあぶあぶぶあ(大丈夫、言葉は分かるから、話せないけどねー)」
「左様ですか、喉の発達が乏しいですし仕方ありませんよ。 ではメイド長、私は少しグレン様をあやしてから行きますのでお先に」
「そ、そうかしら? ではお願いしようかしら、、? え、いやいや、それよりも何て言ってるか分かるの? え、いや、それよりも喋れ、、、え?」
「まあ良いじゃないですか、それよりも旦那様に呼ばれているのでしょう?」
「そ、そうね、お願いするは」
声音に疑問符を終始つけていたメイド長?は言うと戸を開けて部屋を出て行った。
自然に答えてしまったけど、考えてみたらあの反応が当然だったな〜
なんせ生後いくばくかも分からないつい少し前に名前を教えられた赤子が言葉を介して意味あり気なうめきを発したわけだし。
、、、おれ危なくね?
分かんないけど、でもコレで捨てられたりとか無いよな?
文化レベルが分からないけど、だからこそ無性に怖いものがある。
だ、大丈夫、だよな?
「大丈夫ですよ、旦那様もかつて生後数秒で話し始めたそうですから。 それもシッカリと意味のある言葉を」
え、そなの?
てゆうか心読んだりできたんだ?
「まあ出来ますよね、神の使いなのだしこの位は」
そうゆうモン?
まあ良いけど、取り敢えず俺は始末されたりとか大丈夫ってことでOK?
「はい、少なくても軽く話した程度で捨てられたりはしません」
そうか、なら良かった。
俺は心の中でそう返すと直ぐに強い眠気が襲って、抵抗もなく眠ってしまった。
ーーーーー
一つ一つ全てが豪奢な、特に大きな本が入った幾つもの本棚が目立つ部屋で椅子に座り机に広げられた資料を確認する30代ほどの男。
男は初老のメイドと対面して言を聞いていた。
「それで、先生はどこに?」
「あ、先生なら寝室にいらっしゃいます」
「そうか、うん。 少し雑談がてら行ってくるとしよう」
「少し待ってください、早急にお伝えすることが」
そう言って立ち上がろうとした男をメイドが静止する。
「なんだ? 今を持って私は無駄にできる時間なぞ無くなったぞ?」
「いえ、直ぐに終わります」
「そうか? 行ってみろ」
「はい、つい数時間前に生まれたご長男様について伺いたく」
「グレン? アイツに何かあったか⁉︎」
「はい、申し上げづらいのですが、、、」
メイドの言葉を聞いた男は一言「そうか」と返すと本棚から一冊分厚い本を出して早足に部屋を出た。
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