11話 形式的な会話なら得意だ。すべて形式的ならいいのに。
「夢か?」
公園のベンチにユージン・カイムは座っていた
ベンチの隣に少女が座った。
友人皆無で人と関わりを持ったことがないカイムの隣にだ。
腕が少女の腕に触れていた。
「カイムくんは、わたしに任せてくれればすべて上手く行くよ」
カイムを見つめる少女と目があった。
今まで見た事がないカイムと同じくらいの年ごろの少女だ。
「誰?」
☆彡
カイムは今見た夢のリアルさに驚いた。
月では良い夢を見やすい。
しかし、今日は気が重い。異動が決まったのだ。
ルナメルに。
普通の人間だと、仲の良い同期であれば、そりゃあ気が弾むだろう。
が、現実は、カイムはボッチの上ロクに話したこともない、エイミアとココだ。
ボッチ VS 仲の良い幼馴染の2人。
気まずいに決まってるし、奴らが、こっちを覚えていない可能性もある。
だいたい何を話せと言うんだ!
強行偵察型ゼムを、ルナメルの格納庫にいれた。
動画では、誰もいないルナメルが映し出されていたが、どうやら人が配備されたらしい。
「今度ルナメルに赴任する事になりました、パイロットのユージン・カイムです」
ルナメルの整備兵の主任に挨拶をした。
形式的な会話なら得意だ。すべて形式的ならいいのに。
パイロットにきつく当たる整備兵は、まずいない。
死ぬ確率の高い人間に、人はとても優しく接してくれる。
そう、これからブリッジに行かなくてはならない。
溜息しか出ない。
ブリッジに向かう道で、会う人合う人に社交辞令であいさつを交わした。
形式的にだ。
ブリッジの扉が開くと、エイミアとココの姿が見えた。
溜息しか出ない。
エイミアとココが同時に、こちらを見た。
え?
エイミアの背後からエイミアの胸を揉んでいる少女がいる。
夢の中で隣に座ってた少女だ。
「もう人前では止めてよ、イクちゃん」
エイミアがイクちゃんの腕を掴んだ。
イクちゃんって言うんだ。
エイミアの百合友だろうか?
その少女とチラッと目があった。
心のどこかで何かが接続された気がしたが、気のせいかも知れない。
少女はすぐに目を逸らした。
気を取りなおしてカイムは、エイミアとココに形式的に挨拶をした。
「エイミア、ココ、久しぶり」
問題ない、形式的にやれば。
エイミアも形式的に
「久しぶり・・」
と返答したが、どうやら名前を思い出せないらしい。
いつもの事だが、しかし多少好意を持ってる人に、これをやられると、凹む。
ココはあからさまに、「お前誰?」って目でカイムを見つめた。
まあ、こいつはどうでもいいや。
つづく
【エイミア・サトー】ココ・ルキの幼馴染。他称・まあ出来る子。
【ココ・ルキ】落ちぶれ貴族ルキ家の次男。他称・まあ出来ない子。
【イク】五次元人
【メリッサ・カステラ―ニ】イクの担当技官
【サネトモ・トキトウ】エイミア&ココと同期のパイロット。もっとも優秀な同期。
【ユージン・カイム】エイミア&ココと同期のパイロット。もちろん友人は皆無。
【ショウマ・ドーキンス】士官学校時代の教官。ヒメネスとの情事で懲戒免職
【カタリナ・ヒメネス】ドーキンスの恋人?エイミア達と同期。
【シェーラー家のマリアナ】ココが好き。
【マリアナシスターズ】桜乃 梅乃 桃乃 の三人組。美少女感は半端ない。
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