最終話

 わたしは佐賀県庁に働く職員だ。


 最近全国都道府県魅力度ランキング最下位という不名誉なものをもらってしまった佐賀県では、どうすれば魅力度アップできるのかと毎日のように話し合いが行われていた。


 最下位ということで話題になって魅力を他県にアピールできる機会も増えるのではないかという期待もありはした。けれど、さほど変わらない。


 たしかに最下位の佐賀を全国版で紹介してくれたりもしているが、どうもそれだけでは足りないのだ。


 佐賀にはたくさんの魅力がある。


 なによりも焼き物というものは本当に全国的に有名ではないか。有田焼、伊万里焼、唐津焼とか全部佐賀だ。


 それに呼子のイカも上手いし、生きた化石といわれるカブトガニも存在している。


 佐賀を舞台にしたアニメも大ヒットし、聖地巡礼としてファンたちも訪れたりもしている。



 それにも関わらず、最下位なのだ。


 ならば、なにかほかにできることはないのだろうか。



 わたしがそんなことを考えながら有明干潟に沿って歩いているとなにやらカラスがたくさん集まっているではないか。


 カラスのなかには一羽のかちがらす。



 それに対立するかのようにいるのは、大量のワラスボ。


 なにやら、喧嘩をはじめたらしい。


 その間にオロオロしているのが一匹のムツゴロウ。


 なんてのんびりとしているのだろうか。


 さが県民たちがこんなに大変なときに彼らはのんびりと喧嘩をしている。


 うらやましいものだ。


 でも、



 なんだか



 ほんわかなる。


 あっ




 わたしはカラスとワラスボの喧嘩とそれをピョンピョンと跳び跳ねながらオロオロしてきるムツゴロウをみているうちに閃いた。


 そうだ!


 これだ!


 絵本を作ろう!



 絵本を作って佐賀をPRしてみよう。



 そうだなあ。



 主人公はムツゴロウ!


 名前はムツゴロウのむっちゃんというのはどうだろう?


 タイトル



 タイトルは「我輩はむっちゃんと申す」にしよう。



 わたしは早速絵本企画を提案すべくして県庁に戻ることにした。



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我輩はむっちゃんと申す 野林緑里 @gswolf0718

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