[11] 分岐

 やさしい罠を過ぎてまたちょっと歩いたら今度は分かれ道に出くわす。

 正面には立札があってその立札いわく

『どちらか一方の道にしか進めません。片方の道の先にはささいですがプレゼントがあります。もう片方の道の先には何もありません(不正解の音が鳴ってやな気分になるくらいです)。直感や魔法を駆使して気軽に選んでください』


 直感なら私の仕事でしょと思ってたらクレハが前に進み出てきて「私が魔法で調べるね」と言ってきた。

 出しゃばんなくていいから、私の直感にまかせておきなさいと押し返そうとしたところ、燈架が間に入ってきて「まあまあ2人ともやってみればいいじゃん、そっちの方が確実だろ」ということになった。

 しょうがないので燈架の提案を受け入れてやる。

 右見て左見て目を閉じれば私の中の直感がはたらいて答えはあっさり決まった。

 クレハはクレハでむにゃむにゃと呪文らしきものを唱えてその後顔を上げひとりうなずく。

 どうやら答えは決まったようだ。いっせーので答えを言いあう。


「左!」「右!」見事に分かれた。

 私はおおげさにため息をついてやる。

「まったく魔法なんてあてにならないんだから」

「いやいやリィナちゃんの方がまちがってるかもしれないでしょ」

「そんなことあるわけないでしょうが。安心と実績の私の直感を信じなさい」


 2人で争ってもらちが明かないので燈架に任せる。

 燈架はうーんとひとしきりうなってから、よりにもよってクレハの意見を採用しやがった。

 理由を聞いたら「なんかクレハの方がちゃんと呪文とか唱えてたから」とかなんとか。

 そんな小手先の技術にだまされて、とは思ったけど多数決にはしぶしぶ従って再び隊列組んで歩き出す。

 歩いた先には扉があって、その扉を開けたらファンファーレが鳴り響いた。「おめでとう、正解の道です!」


 私だってたまに間違うことぐらいある、ちくしょう。だからクレハ、得意げに笑うのはやめなさい。

 というかもしかしてだけど魔法があったら私の直感とかいらないってことなの?

「直感はすばやくわかってMP消費なしだけど失敗することがあるんだよ。かわりに魔法だったら結果出るのに時間かかるしMPもそれなりに消費するけど直感より失敗率は低めになってるみたい」と解説のクレハ。

「要は場面場面で使い分けろってことか」とコメンテーターの燈架。

「うん、そういうことだよ。これからも罠とか敵の接近とかは時間かけてらんないからリィナちゃんよろしくね」

 なるほど、そういうことならひきつづきそのあたりのことは私にまかせておきなさい。


 プレゼントは各種回復薬詰め合わせ、いざという時のため適当に3人で分けた。

 部屋の奥には魔法陣があって、また立札で『これに入れば第2層に進めます。第2層からは本番、モンスターも出てくるので気をつけてくださいね』と書いてあった。

 いよいよだ。少しだけやなことあったけど切り替えてこう。

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