[5] BBQ

 ビッグボアの肉をどうするか3人で考えたところ、焼いて食うのが一番わかりやすいという結論になる。

 私とクレハはそもそも料理しないし、燈架は普段はやるけどゲーム内でやったことないから、なるべくシンプルにやるのが失敗が少なくていいと考えてのことだ。

 せっかくだから外でBBQしようということになってそれならいろいろ用意する必要があるなと街を探索することになった。


 ほんとにただの肉のかたまりでラベルもなんもないから、賞味期限があったとしてもよくわからない。その日のうちに食べてしまおうと急いで準備をする。

 まあそもそも血抜きだとか解体だとかそういうのをすっ飛ばして肉だけ手に入ったわけだから、あんまり細かいことを気にしても仕方がないのかもしれないけど。


 さてBBQをするのに何が必要なのか。

 あの外で焼くときに使う四角い鉄のやつ、コンロでいいのかな、あれだ。

 けれどもあれがどこに売ってるんだかわからないのでとりあえず先に野菜とかを買いに出かける。

 食料品店でなにかと野菜を買い込む。正直私は野菜に興味がないので全部2人にまかせる。

 ついでにそこでコンロをどこで買えばいいのか聞いたところ、そういうキャンプ道具を扱ってる店を教えてもらった。


 早速その店に行ったところなんかもう知らないものがいっぱいあった。

 3人が3人とも全然キャンプに詳しくない。どうすればいいかわからかったので店員におすすめされたセット一式を無難に購入。

 結構値がはったけどきっとこれからも使うことはあるだろうし何の問題もないはずだ。

 なんでもこれがあれば森の中でも野営できるとかなんとか言ってたけどいまいち理解できなかった。


 さあ準備もできたし街の外に出ようかというところで重要なことに私は気づく。

 調味料を何も買ってなかったのだ。塩とかコショウとかつけてる方が多分おいしいはずだ。

 慌てて食料品店に戻ってみたけどやっぱり売ってない。売ってたらさっきの時点でさすがに気づいてたし。

 どうしたものかと燈架がまた店員に聞いてみたけどそれは知らないと言われた。


 街を歩いて足で探す。食料品店はいくつかあったけどどれも調味料を扱っていない。

 世界観的にわりと貴重なものなのかな、いやでも塩ぐらい普通にあるでしょという話になる。

 つかれたのでいつもの屋台が並んでるところで買い食いする。今日はアイスクリームにした。

 ちゃんと覚えてたので燈架の分も含めて3つ買う。

 そのときひょっとして料理してる人なら調味料のこと知ってるんじゃないかと聞いてみた。

 相手はいわゆるNPCで決まったことしか言わないからほとんど期待してなかったけど。

「調味料かい。いつも買い食いしてくれる嬢ちゃんには特別に教えてやろう。裏通りの奥まったところにマジカルスパイスって店があるからそこを訪ねてみればいいよ」


 いきなりのことに驚きすぎて思わずアイスを落とすところだった。

 急いで2人のところに戻ってアイスを食べながらその話をする。

「ほらほらほら、買い食いが役に立ったじゃないの」と私が言うと2人はものすごくいやそうな顔をしていた。なんでだ。

 ともかく無事に塩とコショウを手に入れてBBQの準備は今度こそ整った。

 昨日稼いだクエストの報酬はほとんどなくなってしまったけど後々使えるものもあるのでよしとする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る