腐敗した高校③
『やりすぎですよ。』
『え~いいじゃん!かわいい子に手ぇ振るくらい。』
『急にやったら驚かせちゃうんじゃない?』
念術で3妖が会話をしている間に、軽い挨拶まがいなものが終わりすぐに席に案内された。
燐火が真ん中の列の最後尾、弥陀山が黒板から見て右の列の最後尾、大煙管が左の列の最後尾についた。
その後何の運か自習になった国語の授業に、クラスはまた先ほどのやんややんやが始まった。
すると、燐火のもとに3人の女子がやってきた。
「ねぇ、あんた燐火って言ったわよね。」
「そうだけど、何かな?」
「こういう時に女子はまず私たちのところに挨拶しに来るのが常識なんだけど、知らないの?」
その一言に、燐火だけでなく2妖もうっかり吹き出しそうになった。
ありえない常識の振りかざしに目を瞬かせると、一番ギャルの風貌をした女子が茶々を入れた。
「わざわざ来てあげたんだから分かるでしょ?」
「ちゃんとあいさつしないとだめだよ……?」
後ろから顔を半分覗かせるように真面目系の女子も話に入った。
「あぁ、ごめん。挨拶だよね。」
燐火はくすっと含み笑いを浮かべた。
「でも、先に挨拶しに来てくれるなんて、あなたも常識知らずなんだね。」
「はッ?!」
「常識知らず通り、これでおあいこってことにしない?」
リーダーにあたるような女子は顔を真っ赤にして教室を出て行ってしまった。
すると、教室全体の空気が冷たくなりクラスメイト全員が燐火に視線を向けた。
燐火も弥陀山も大煙管もその視線をたどり、このクラスの脅威があの彼女たちだったのだと確信した。
そして1時間目が終わった瞬間帰宅という入学式ならではの展開になったのを確認して、3妖は教室を抜け出した。そして近くの樹に飛び移りのんびり見下ろした。
「ねぇ二人とも、あれ、どう思う?」
「どうと言われましてもね。」
「俺的には、テンプレ展開になりそうで至極つま~んない。」
生徒が帰る風景を見ながら一番最後に出てきた例の3人に視線をやった。
「うっわぁ~、性格悪そうなのと、頭が悪そうなのと、気が弱そうなのが揃い踏みって感じ?」
「今の学生はあんなのばっかりなのでしょうか。」
「さぁね。でも一番味が濃そうな3人だね。」
彼女たちを見つめながら、3妖は不敵に笑みを浮かべた。
「あ~ぁ、ミヅキに火ぃ付けちゃったよ。どうすんだか。」
「シヅカの眼力よりはましじゃない?」
「マカの鼻息に比べれば灯ですよ。」
3人の舌なめずりは彼女たちはおろか、学校内の誰しも知る由もない。
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