腐敗した高校②

そして次の日、3妖は制服に袖を通し学生の姿で校長室に入室した。

そこにはすでに3妖の入るクラスの担任教諭と副担任教諭が待ち構えていた。

燐火が会釈をすると、担任の女性教諭は微笑んだ一方で副担任の男性教諭は目を細め舌打ちをした。

校長と担任が副担任に視線を移そうとしたので、弥陀山が右手を上げた。

「我々から自己紹介をさせていただいてもよろしいでしょうか。」

「え?しかし君たちは転入生であるから……。」

「え~?でも年下から自己紹介するのが礼儀じゃないのかな?」

「マカ、口調は気を付けた方がいいと思うよ。」

燐火に諭された大煙管は不服そうに頬をふくらませた。

「では改めて、私は燐火ミヅキです。」

「弥陀山シヅカと申します。」

「大煙管マカで〜す。」

それぞれが紹介を済ませると、次は校長が教師陣を指し示した。


「2年E組の担任を務める山口先生です。」

「よろしくね。」

「こちらは副担任の……」

「冴島です。」

「よろしくお願いいたします。」

弥陀山に合わせるように軽く頭を下げると、山口は微笑んだものの、やはり冴島は眉間に皺を寄せた。

軽い挨拶を済ませると、3妖は山口の案内で2年E組の教室に向かった。

後ろからは冴島が訝し気に後を付いてくる形になった。


教室に近づくと廊下にまで響き渡る大音量のステレオと騒がしい話し声のようなものが混ざり聞こえてきた。

「さぁ、入りましょう。」

山口はそれが当たり前とでもいうように教室前の扉を開けて3人を引き入れた。

すると、教室に入ってきた異物に皆、興味の声を上げた。

「皆さん!!し~ず~か~に~!!」

教室の後ろから入った冴島はまだこちらに睨みを利かせるばかりで、叱責をする気配はない。

数分してやっと静まってきたのを確認した山口が改めて3人の紹介を始める。

「改めて、転入生の“燐火さん”、“弥陀山さん”、“大煙管さん”です。挨拶お願いできるかしら?」

燐火は頷いて教室全体に軽く視線をやって口を開いた。



「ご紹介いただいた、燐火ミヅキです。親戚の3人でこちらに引っ越してきました。不慣れなこともあると思いますが、よろしくお願いします。」

燐火の自己紹介に、クラスが拍手をする。

「弥陀山シヅカです。運動は苦手なのでほどほどに頑張ろうかと思っています。」

弥陀山に対しては、その長髪に不思議なものを見るような視線が集まっていた。

その時、残りの一人がバシンと柏手を合わせた。

「はいは~い!!最後は俺ね。大煙管マカって言います!この3人の中では一番ユーモラスだから仲良くしてね~!!」

大煙管は仰天する面々の中で視線が合った生徒に手を振った。

その直後、付近の席がわっと沸き立った。

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