第48話 パラレルワールドへのシフト

202X年 6月10日。

 

 現代の足立区にある、私の伯父さん宅には、ター坊伯父さん、それにキラとジェイドもいる。未来からタイムスリップして来たシンは、我問さんの判断に従い、埼玉の我問秘密基地で待機している。

 

 事の詳細を話している我問さんに、キラとジェイドが問いつめる。


「なんだか、とても信じられない話ね、ジェイド?」


「ああ、それで、君が本当に未来から来たと言う証拠はあるのか?」


「あいにく、何の準備も無しに過去に飛ばされてしまったので、物的証拠はありませんが、この人に会えばきっと信じてもらえると思います。奈々さん!」

 

 現代の私は、我問さんに自分を名指しにされて躊躇する。

 

「えっ?」


 そこに、未来からタイムスリップした方のワタシが入って来る。


 エグゼターの耐圧ジャケットを身にまとったワタシを見て困惑する現代の私、キラ、ジェイド。我問さんが、ワタシを皆に紹介する。

 

「私と一緒に、未来の世界からタイムスリップして来た奈々さんです」

 

 未来から来たワタシは、皆が目を丸くしている表情から察して、


「・・・、と言っても、簡単には信じてもらえないでしょうけど・・・?」


 現代の私は、過去に松羽目の基地で遭遇した私のクローンたちを思い出しながら、

 

「あなたが・・・、未来の私?」

 

 キラが、興味津々にワタシの周りをしげしげと眺めながら・・・、


「確かに今の奈々とウリ二つだわ。でも、なんだかちょっとイイ女になったみたいだけど」

 

 私は疑惑の念を捨て切れずに、


「でも、この人、ひょっとしたら私のクローンの生き残りかも知れない。それをどう証明出来るの?」


「そうね・・・、じゃあ、私達しか知らない事を教えてあげる」

 

 未来から来たワタシは、現代の私にそっと耳打ちすると、現代の私はそれを聞いて顔が真っ赤になってしまい、その様子の変化にキラが、

  

「奈々? どうしたの?」

 

「何でも無い!! 確かにこの人は本物の私よ!」

 

「ふぅ~ん、何だかワケありね? それで、我問さん。私達はどうすれば良いの?」


「私の記憶が正しければ、ゲッヘラーはまだハイドロフラーレン爆弾の準備中です。私は生体認証を使ってゲッヘラーの基地に入れますので、あなた方を手引きします。手分けして爆弾のありかを探し、破壊してしまいましょう」

 

「それで、武器はあるのか?」

 

「表に止めてあるワンボックスに新型の武器を積んであります。使い方は道のりで説明します」

 

「よっしゃあ! 武器を持ってる男って、ス・テ・キ!」

 

 キラを横目で見るジェイド。

 

「何よ、妬かない、妬かない!」

 

「誰がっ!」

 

 それまで、口を塞いでいたター坊伯父さんが、

 

「こんな時も来ようかと、私が準備していた物も役に立つだろう・・・。ん? まさかな・・・、 どうやら先にここで片付けなければならん事が出来た様だ・・・」

 

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