第38話 紺碧の宝石
その様子を見守っていたキュリアン族とデシス族。
「驚いたな。ここまで生存本能が高いとは」
「破壊性と協調性を同時に兼ね備えていますね」
「このバランス感覚は、これまでのサンプル達には見られなかった物だ」
「デシス? この若者達の行く先を、もう少し見守ってみてはどうでしょうか?」
「そうだな。この協調性が生かされれば、人類と他の生命との共存の道が開かれるかも知れない」
「奈々さん、それにシンさん。私達はこの地球「ガイア」と言う名の生命体の主なる運営を、もう少しの間だけ貴方達に託します。お互いを思い、助け合う精神を大切にして下さいね」
キュリアン族とデシス族の光の輪が、ゆっくりと消滅して行く。そこに我問さんの通信が。
「奈々さん、シンさん。大丈夫ですか?」
「我問さん! エイリアン達は去って行きました。でも機体のダメージがひどくて・・・」
「待って下さい。こちらでチェックしてみます・・・。 ツヴァイはマニュピレーターとバーニアが全損していますが、二人のコックピットと生命維持装置は無事です。これから大気圏再突入用の耐熱カプセルを打ち上げますので、それまでデュレイのバーニアを使って周回軌道まで上昇し、待機していて下さい」
「了解!」
シンのデュレイは、破損してほとんどボディだけになった私のツヴァイを抱きかかえると、バックパックのバーニアを噴射して周回軌道に乗る。
眼下には青い地球の眺めが広がっている。
「地球は青いって、本当だったんだな」
「本当にきれい。まるで大きな宝石みたい・・・」
「ああ、俺たちの、いや、地球に生きる命みんなの宝物だ。大切にしなきゃな」
「ウン。 大切に・・・、大切にしようね・・・」
『ガイア』と呼ばれたその丸い生命体は、まるで白い絹で優しく包み込まれるかの様に、天の川銀河と共に青白い光を放っている。
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