第29話 崩れ去る日常

202X年 6月11日 午後9時00分頃

 

 一方、我問達のステルス戦車は、ゲッヘラーの基地の目前までたどり着いていた。

 

 ジェイドが叫ぶ!


「ゲッヘラーの基地はもうそこだ。強行突入するぞ!!」


 我問達のステルス戦車は、ゲッヘラーの基地のゲートをバッキーランチャーで突き破ると、建造物の中へと突進する。


 そこにはグランドマトン達が待ち構えていて、ステルス戦車を取り囲む。


「ええぃっ!! アンタ達なんかに敵う相手じゃないのよっ!!」


 キラは照準レバーを操作すると正面のグランドマトンにバッキーランチャーをお見舞いする。


 バッキーランチャーは、正面のグランドマトンを粉砕しただけでなく、後方にも強烈なバックブラスト(反動制御用の後方噴射ガス)でアドヴァンスト・リアクティブ・アーマーが誤作動し、自爆するグランドマトン達。


「キラ、360度旋回するから撃ちまくれ!」


「了解!! デク人形どもめ、スクラップにして、資源ゴミに出してやる!」


 ステルス戦車はその場で土煙を上げながら超信地旋回(左右のキャタピラを逆回転させ、その場を動かずに戦車の方向を変える動作)すると、次々と周囲のグランドマトン達をすべて破壊してしまう。


「我問、キラ、司令室へ向かうぞ。コンソールパネルからなら、まだ爆弾を解除出来るかも知れない・・・、どうした、我問?」

 

 ステルス戦車のモニターを見ていた我問。

 

「間に合わなかった・・・。たった今、地震のプライマリー波を感知しました」

 

 そこにゲッヘラーのアナウンスが。

 

「そう言う事だ。悪あがきはもう止せ」


「約90秒後には大きな揺れが来る! 二人ともバケットシートのベルトを締めて、しっかり掴まってて下さい!!」

 

「ちょっと! 本当なの?」

 

「クソぉっ! ここまで来たと言うのに!!」

 

 ステルス戦車のモニターが、大地震の到来をカウントダウンする。


 同じく司令室のモニターを見ながら、ほくそ笑むゲッヘラー。



 都心の街並では、何事も無いかのごとく往来する人々の姿。


 公園で愛を語り合う恋人達。


 パート仕事を終え、アパートのベランダから慌てて洗濯物を取り込む主婦。


 オフィスで残業に追われるサラリーマン。


 笑い声をあげながらTVゲームに夢中になる子供達・・・.。


 モニターのカウントダウンが進んで行く・・・。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

脚注:我問のステルス戦車の設定デザイン。

https://kakuyomu.jp/users/may_2018/news/16816927860066541945

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