014 窮鼠猫を噛む!

 家に着くと菫と向日葵が待っていてくれた。菫は私を抱き抱えて部屋に連れて行く。

歩けるのにそうしたいと言っても聞いてくれないので、そこは私が大人の対応で許した。私も彼女達が猫の時同じ事してたから。猫もこんな気持ちなのかもと思うと、少し恥ずかしくなった。


 言ってた通りに菫が夜ご飯を作ってくれたみたいだ。

私に食べてもらいたいみたいで人間に戻された。彼女達は耳と尻尾がある人間に変わった。

 今気づいたが、尻尾があるとスカートじゃないとダメみたい、パジャマだと下のほうがずれてお尻が丸出しになるからだ、知らなかった。


 夜ご飯は和食で美味しそうだ。焼き魚と味噌汁、煮物、サラダが人数分用意してあった、桜がびっくりして菫に抱きついた。

「 菫ちゃん、凄い! いつ覚えたの? 」


 菫は直ぐに

「 料理ができるように書き換えたの、弓弦さんに食べて欲しくて! 」


 また勝手にと思ったが、私もたまらず声に出していた。

「 ほんとに美味しそうで、久しぶりに家でまともなご飯食べれる。

 菫ちゃんありがとうございます。」


 心からの感謝の気持ちだった。それを聞いた菫が待っていたように私の隣に座って来た、嫌な予感がする。

 菫が箸を持って

「 弓弦さん あーん。」


「 しない、しない、しない、菫ちゃん自分で食べるから、自分のペースで食べるから、子供じゃないから、みんな見てるからな! 」


 菫も仕方なく諦めたようだけど、その代わりに一緒に寝ると言ってきたので、猫のままで納得して貰った。


ご飯は美味しくて、満足してから、猫に戻して貰った。

人間のままだと菫ちゃんが狙ってくるのがわかってきた。       それといつ私の滅ぼす能力が出るか怖いからな。


「 そうだ、明日なんだけど、これから私が言う通りに言ってくれれば大丈夫だからね、桜ちゃんに言ってもらおうかな、菫ちゃんにも協力してもらうからよろしくお願いします。」


 説明した後、菫にベットに連れていかれた、ぎゅーってするからもう少し優しくしてくださいって言った。これは猫にならなかったらわからないだろう、以外と猫も仕方なく抱えられてたかもしれない。


 朝になって、学校に向かった。


 私は最初から矛盾を感じていた、もう一度、いじめの事について、説明

 してみる。

 そのために、菫に授業を一つ書き換えてもらう。


 初めは、いじめられている子が、いじめる側になる、

 子供は特にこういうケースが多い、無くすのではなく、どちらかに着くのだ何故か、やられたらやり返す事が当たり前になっている。(心の声)


 話を戻すが、私はすーちゃんのことについて、それに当てはまると

 感じていた。

 理由はいくつかある、名前を聞いた時あだ名が無いこと、周りのクラスメイトの反応に暴言が無かった事、話かけないのではなく話かけるなと、すーちゃんが言っている可能性がある。


 ネットが当たり前の世界では、無料アプリを使うのは学生ならばいわば常識である。

それを利用するのが一番良いなぜなら、仕草、表情の変化、全ての行動を見て感じたから、今は声を出すより、スマホの方が本音を言いやすいだろう。


 桜が空手部の主将を倒したって言った時、すーちゃんの無意識の行動には今でも、心からの発言では無いことに、私は気づいていた、嫉妬に似ていた。


 朝になって、登校の途中ですーちゃんを見つけた、後ろから声を掛けてみた、予想通りビックリしていた、それが狙いなんだけどね。


 桜に頼んだ、今日一日クラスメイトの心をよく聞いてみて欲しいと。

 私達は二年生からなので、一年生の頃はまだ知らない、これで今日

『全て理解する』

 そういう手段を取る事にした。


 あえて、鈴木鈴音の心の奥にある、感情を聞きだす、これは本来、

 私の職業メンタリストの真骨頂だ、桔梗は黙って聞いていた。


桜に言う通りに言ってもらう。

「 すーちゃん、クラスメイトにチャットで色々書いてるみたいだね。

昨日、別れた後に偶然クラスメイトと会って、聞いちゃって、スマホ見せてもらって、今日聞いてみようかと、一年生の頃のあだ名も聞いたけど、なんで、昨日私達には無いって言ったの? 」


 実は誰にも会っていないけど、確信があるので気にせずに桜に言ってもらう、嘘も方便とはまさにこの事。


 すーちゃんは一変した、冷静だけど言葉は昨日とは違い、憎しみに

 溢れていた。


「 あなた達、二人は知らないと思うけど、いじめは残酷でやられる方は

 泣き寝入りがほとんどだけど、私はみんなの弱みを掴んだ、いじめられる気持ちをわからせたいのと、何より許せない!

わからないでしょ、いじめられた事無い人には、同情なんかいらないから、ほっといてくれる! 」


 勿論、私が言ったのは全部嘘だが、確信が無ければ言うはずがない、身体の無意識はそれほどに、私にとっては全て、その人の情報源だから。


 これで事態を把握した、孤独感があったのは、一年生の頃、いじめにあっていて、今は逆だ、この件を解決するには一つトリックをしかけるしかない。

 今度はクラスメイトだ。


 それには、菫の能力を使わせて貰うことにする、私が催眠術を使うのは、今は出来ない、催眠術は単純だけど、段階があるのでそれなら、菫の能力の方が後々、みんなの為になる、あとは向日葵と桜の能力を使えばいい、桔梗には変身能力を使わせてもらう、私は指示をするだけ。


( 人間には誰しも、それぞれ最低でも二つの顔を持っている、家の自分と

 外の自分を、どっちも自分なのはいうまでも無い。それを使い分けないと社会では生きていけない環境になっているからだ。)


 さてと、打ち合わせ通り私の言った事をにみんな頼むよ。

 彼女達に合図を送った。


 人間の社会は人知れず、人間関係の問題が多い、他人事の様に思うかもしれないが、誰しも心の中に当てはまることは言うまでもなくわかるはずだ、嫌いな人がいる限り、それは無くならない。


 これは、世界中でももちろん同じ事、文化の違いでやり方は違うかもしれないけど、根本的には同じ事。これが私が人類を滅ぼす原因かもしれないな。

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