013 いじめは、今なら怖くない!
先ずは空手部からだ、 空手は知ってはいたけど、生で見るのは初めてだ、しかも女子が殴り合うのは、初めて見る。
桜と桔梗は道着を桔梗に出して貰った、もちろん空手をしてもらうためにね。
この学校の制服は薄紫のブレザーでスカートも同じ色で靴下は長めの膝上くらいだから、桔梗によく似合っていた。いわゆる
部員はそれなりにいる、さすがに全国大会行ってる部活だけはある。
二人とも経験者ということにしたけど、見ただけで直ぐに出来るのは
普通じゃないからだ、これは見ものだ。
練習組み手が始まった、主将はさすがに相手がいないくらい強いので部員を指導することにしている、みたいだ。
桜に組み手をやらせて貰ってと言った。
私の言う通りに言えば必ず主将は組み手を受けるしかなくなる、これもメンタリストの一つの技法。
言われた通り桜は組み手をやらせてくださいって言った。
主将が経験を聞いてきたので二年で師範代を倒した事がありますって言わせた。
それを聞いた主将は笑って「 冗談でしょっ 」
て言ったので、桜に「 信じられませんよね、初めて二年の高校生が男の子師範代を倒したなんて、嘘の次元を通り越してバカにしてるみたいですよね〜。」
と言わせた。
さすがに部員全員が声が出なくなった、主将の
もうあとには引き下がれない主将は「 怪我しても知らないよ、それでもいいなら受けてたとう。」と言ったので、桜に本気出さないで一発でお腹にしてと言った。( それから礼儀が大切だからちゃんとね。)
直ぐに桜は言った。「 お手合わせお願いします! 」
と言ってから全員が二人の組み手を見る状況になった。かなりざわついている、桔梗は平然としていたのは桜の方が強いのを知っているからだろう、組み手よりたぶんすーちゃんの方に行きたいからだろう。
先生が審判をして、お互い納得のうえで寸止めではなく一本勝負になった。二人以外枠から出た。みんな主将の強さを知っているから、桜がどこまでできるか楽しみにしている感じの雰囲気だ。
先生が真ん中に立って、「 初め! 」と言った。
神崎主将から仕掛けていった、さすがに早い連続攻撃、しかし桜はほとんど動いていないように見えるくらい指一本くらいで避けている、誰が見ても格が違うのがわかった、組み手三十秒で桜が主将のみぞおちに正拳突きをドーンと食らわせた、その時だけ桜の髪が後ろにまっすぐ変わったが、直ぐに元に戻るくらい早かった。
主将は膝から落ちて、立ち上がれない。逆に心配になった。
苦しそうに息をしている、神崎主将はなんとか小さい声で言えた。
「 参りました。」
と主将が言うと、桜は 「 オッス! 」と言った。
五分くらいで主将が動けるようになった、悔しがるよりも嬉しそうだった。
桜に近寄って指導をお願いしてるくらいだ、その様子を見て部員も桜を絶賛していた。桜は「 桔梗ちゃんの方が強いですよ。」って余計なことを言ったので、全員一瞬凍りついたのは言うまでもない。
二人は一日で学校中の有名人になった。これで第一段階終了。
私の狙い通りになったので、桜にもう空手部はいいよ、次はすーちゃんのところに行こうと言った。
桜はありがとうございますと言ってから用事があるので失礼しますと言って部室を出る時に主将がまた来て欲しいと言われてたので、明日また来ますと言って芸術部に向かった。
噂は早いものでみんなが二人を見ている。桔梗は恥ずかしそうだ。芸術部に行ったら、すーちゃんが絵を描いていた。
桜が言った。
「 おじゃまします。」
桔梗は絵に興味があるみたいだ、直ぐに声をかけた。
「 これがすーちゃんの絵なの? 」
すーちゃんも直ぐに応えてくれた。
「 そうです、どうでしたか空手部は? 」
桜がすーちゃんに主将と組み手して倒したってあっさり言ったから
すーちゃんは立ち上がって。
「 ほんとに! それって全国大会クラスの主将なんだよ、桜ちゃんそんなに強かったの! 」
あまりに驚いて立つほどだ。
桜は普通に経験者だからって普通に応えたので、少し誰も言葉が出なかった。
完全に人と見てないような、そんな雰囲気の無言だった・・・・・・
その間に私はすーちゃんの絵を見て気づいた。色使い、描写で理解した。
( この子違う。いじめられてたけど今は逆だ。
クラスメイトが話かけられないんだ。)
( この子に怖がっているんだ、いじめ過ぎて何かを起こしたんだ。
なるほど、理解出来た。)
とにかくクラスメイトと、すーちゃんをくっつけなければ。
「 桜ちゃん、桔梗ちゃん、話をすーちゃんに合わせておいて。」
桜と桔梗は直ぐにわかったって言った。それから部活が終わるまで一緒にいた。向日葵と菫には先に家に帰っていいよって言った。菫は私に。
「 夜ご飯作っておきますね弓弦さん♡ 」
と言ってから帰った。
今日は一日でも、すーちゃんと仲良くなれたのは一つ前進したことになる、家に帰る道は電車に乗って行かないと行けないので、すーちゃんに
聞いてみた。
「 家は電車に乗ってから、なんだけど、すーちゃんは近いの? 」
「 私も電車ですよ。」
たまたま、方向が一緒だった、駅は一つ隣だが、うちが一駅遠い。
帰りも、一緒に帰ることにした、次いでに話でも聞いてみようと思う。
桜はさりげなく、帰り道ですーちゃんに言った、わざと知らないふりをして。
私の言った通りに。
「 アメリカの学校では、いじめがひどくて、日本はわからないけど、
殴るのは、挨拶みたいにするし、ひどいのは、それを見て、みんなで笑うところかな、かばえば自分がいじめっ子にやられるからね、すーちゃんには見せたく無いよ。」
すーちゃんは想像したらしく食い気味で聞いてきた。
「 そんなに酷いの? 」
「 そうだなぁ、最悪銃乱射とかすることあったね。」
もう一度わざと言ってみる。
「 今日一日学校に居たけど、そんなのは見なかったけど、
日本にはいじめは無いの? 」
すーちゃんは、下を向きながら答えた。
「 そんなことは無いよ、ニュースでも問題になっているから、それで、
INAKUNARU人いるから、見ていて、家のお母さんはため息ついてるよ。」
まぁ、そうだろう、知っていて聞いたのだから、そのまま何気なく桜に言わせた。
「 でも今日学校で見なかったよ、いじめ。」
すーちゃんはその言葉に特に何も言わずにいたけど身体は反応していた、足のつま先の向きを桜とは違う向きに変え、両手を腕組みに変わった。その意味はここから移動したいのと守る行為だった。
そのまま二人はすーちゃんと別れて家に帰った。
桜が不思議そうに聞いてきた。
「 弓弦さんどうして空手部に行かせたの? 」
「 もちろんいじめをなくすためだよ、明日学校に行けばわかるから。」
「 えー秘密ですか?」
「 違うよ、全部意味があるんだよ、人間関係って言葉と行動が大事なんだよ、後でまとめて教えるから。」
「 そうなんだ、桜も桔梗ちゃんもわからないよ。」
「 だから、私がいるんだよ、聞くより見た方が早いからね。」
桜は私の事を信用しているみたいで、しつこくは聞いてこなかった。
「 そうか、なら明日楽しみにしよう、菫ちゃんが夜ご飯作って待っているから早く帰ろうか。」
「 そうだ、言ってたな、料理教えてないけど何を作っているんだろう、帰ればわかるか、よし帰ろう。」
それから家に着いてみんなで明日のことを話でもしてゆっくりしよう。
明日彼女達がどんな風に思うのか、それぞれ見方があると思うから、今はまだ様子を見ていよう、人間関係は複雑だけど単純だからな。
それだから残酷なところがあるのは彼女達は想像も出来ないだろう。
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