007 桜のお願いの海行きます
飛行機の中からもう少しで着く沖縄を上空からみると海は青く日本とは思えないくらいの風景で感動した。初めて見たせいもあるのだろう。
彼女達も窓の席を交代しながら景色を堪能している、海が初めて見るからなのか、とにかく喜んでいる。着陸用意のため、ベルトを付けると、緊張しているのが、誰が見てもわかるくらいに。
肩をすくめて、目を閉じている、緊張している証拠である。
私は落ち着いて、すぐに着くからと、彼女達に言って。
あっという間に空港に着いた、秋なのにまだ此処は夏だ!
匂いも海からなのかどこからなのかはわからないけど良い匂いだ。
ホテルに行って、直ぐに観光することにした。
「 とにかくご飯を食べよう! 」
今更だけど、私は猫のままだから、話かけ無いように彼女達にも約束している。猫に言うようにならいいけどね。
沖縄は豚の料理が多くて、鳴き声以外は食べれると、言われてるくらいだ、お店は特に決めてなく、その場で決めることにしていた。
美味しいお店には、特徴がある、外見が綺麗なことと、ノレンがシワもなく、パリッとしていて客寄せもしていない、常連のお客さんがいる、こんなところだ。
もう少し、わかりやすく言うと、うなぎ屋さんに他の料理があるのなら、そこのうなぎは専門店には敵わない、まな板を使い分けないといけないし包丁を使い分けるのは大変だからであるこれが、私のお店を判断する基本である、そんな事を心の中で言いながら、丁度いいお店を見つけて入った。
「 いらっしゃいませ。」
夫婦で二人で経営しているお店だった、私は『直ぐ』に二人の空気の雰囲気に違和感を感じる、無意識の仕草、目の向き方、足の向き、声の音量言葉の中にある感情、とりあえず、菫にこう言ってと伝える、そのまま菫は言った。
「 初めての沖縄でどんな料理がいいのか、わかりませんので、お任せで、四人分、それぞれ一品ずつとゴーヤチャンプルを、お願いします。」
菫の見た目が金髪の青い目からは想像出来ないほど、丁寧な日本語の話し方で、身体の姿勢もピンとしている。
すると、お母さんの方が
「 嫌いなものと辛さはどの程度がいいですか? 」
丁寧に説明してくれた、
いいお店だと思って私の尻尾がピーンとまっすぐ上に向く、私は気が付かない。
『だって猫だから!』
立て続けにお母さんは私を見て、
「 この子には、お魚でいいですか? 焼いたのとお刺身どちらにしましょうか? 」
私は焼いたのでお願いと桔梗に頼んだ。 桔梗が私の代わりに説明をしてくれた。
「 お魚は焼いたのでお願いします。品種はスフィンクス、毛がないのは、お店でも、邪魔にならないのは、よかったです、ペットお断りって結構あるので、やっぱり毛が料理に入るのは迷惑ですよね。」
桔梗は少し笑顔で答える。どんどん人間らしくなる。
「 そうですね、うちもペットお断りですが、この子はおとなしく、毛がないので『あえて』言いませんでした、それにしても毛がないのは珍しい猫ちゃんですね。 」
猫にちゃん付けをする人は殆ど《ほとんど》猫が好きな人が多い。
今度は桜が答えた、明るく元気に笑顔で自然に。
「 ありがとうございます、私達は好き嫌いありませんので、お任せします。こんな優しいお母さんのおすすめならなんでも食べます! 」
秋なのに服装は夏服で充分なので彼女達は薄着の服を着ている。彼女達の名前と服の色が同じなのは、名前の由来が花という事が気に入ってくれたのだと、勝手に思ってた。
あまりにキョロキョロ周りを見渡すので、目立つから、落ち着きなさいと、私は彼女達に言った。
彼女達はハッとして、ぎこちなくメニューを見たりして、誤魔化している。
お母さんがテーブルに麦茶をみんなの前に置いてくれた。
私は気にせず、最初の『違和感』にふと考えていた、思わず目を閉じていた、目を開けると彼女達に何故か目を向いた、舌でペロペロ麦茶を飲んでいた!
『おい!』
「コップを持ってそまま、飲むんだよ!」
彼女達はハッとして、息ぴったりにこう言った。
「 私達、猫舌なんで! 」
ため息をついて。
「 いちいち、確認すな! 」
「 そう言う時は、ゆっくり飲んで確認するんだよ! 」
たまたま、お母さんが見てなくて、ギリギリセーフだった。
「 次から、私が言うから、その通りにしてくださいね、みんな! 」
また息ぴったりにこう言った。
「 お願いします! 」
いつも返事はいいんだよね〜 私が彼女達に気をつける様にいう時はいつもしっかり返事をする、素直で良い子達だ。
箸の持ち方、その他の常識はすんなりできたのは、凄く褒めた。
お母さんが料理を持って来た、ソーキそば、タコライス、ラフテー、ジューシー、海ぶどう、テビチ汁、ゴーヤチャンプル、テーブルの隙間が無くなった。
いきなりガッツかないように、食べること、先に言った。
「 丁寧に綺麗に食べる事。 」
また息ぴったりに言った。
「 いただきます。 」
挨拶は特に丁寧にする様に言っておいたのは正解だった。
それぞれ、料理に手を伸ばす、桜がソーキそばを食べてアチィと言った。
それを見た三人はソーキそばを食べてアチィと言った。
また息ぴったりに言った。
「 私達猫舌なんで。」
はい、本日二回目頂きました!
そこは、だろうね。と予想通りの展開で安心した、熱いのが得意な猫は
正直反則だ、見たくない!
ツッコミの後、やっとこのお店の違和感の理由がわかった、二人の夫婦にはもう一人家族がいて暫く《しばらく》会っていないみたいだ。
それに気がついたのは、お店の端に剥がされた写真の跡があった、推測するに、この店の娘さんの駆け落ちだろう、最初は家族でこのお店をやっていた事、お店のメニューが手書きでお母さんの字とメニューの字が伝票と違うから。メニューの方は明らかに、女性の字で、剥がされた写真には当時のみんなの写真で、相手の男性も映っていたからだろう。
剥がされた跡から推測するに、三年前くらいだと思う。
桜に言った、二人はずーっと二人だけでやっているのかを聞いた後、心を読んでご覧と、「 桜は私に了解です。」と言いお母さんに聞いた勿論、声を出さずに返事をする。
「 このお店は二人でずーっと切り盛りしているのですか? 」
一瞬で空気が変わるのは私を含めて彼女達にも伝わった。
「 以前は四人でやってましたけど、今は二人なの、どうしてそんな事を聞いたの? 」
桜は一番小さいし、この質問をするのには適任だ。
今度は向日葵に言った、メニューと伝票の字が違うからって言えばいいと、
フォローしてって。
向日葵も私に了解ですと言って、お母さんに言った。
「 たぶん、メニューと伝票の字が違うからこの子が気になっただけですよ、すいません、料理に関係ない事を聞いてしまって、このラフテーは柔らかくて美味しいです! 気に入りました。 」
向日葵は、いつものことのように自然に言ったので、違和感なく聞こえる。ナイス、向日葵!
自然で良い、桜、お母さんの心を読んで!
大丈夫なのか心配だ。桜は直ぐに言った。
「 もう見てるよ孤独感がかなり上がってる!なんで弓弦さんは直ぐわかるの?
超能力ですか! 」
「 それはお前たちだろ〜! 」
「 前にも言った通り観察力だよ。」
「 観察力ってそこまで凄いの! 」
「 そうだなぁ 知識も必要だからとにかく、よく見て見逃さないのは大事だな。」
「 やっぱりか〜 菫、書き換えを頼む内容は仲直りの電話を娘さんから、今からくるようにするだけでいい! 」
後は自然に心が戻るから。
菫は
「 了解です!ついでに愛してます! 」
「 もれなく言った! 」
菫ちゃんは、直ぐに応えた。このやりとりはみんな、なんとなく慣れてきているように思える。
「 今直ぐに書き換えます。弓弦さん♡ 」
と言って二分後にお店の電話が鳴り響き、お母さんが出た、娘さんからなのは、言うまでもない。
桜は直ぐに言った。
「 心の孤独感がどんどん下がってます。弓弦さんの言う通りになる! 」
それを聞くと残さずに全部食べなさいと言ったが、
もうすぐ無くなる前だったみんな気に入ったみたいで、満足そうに私を見てる。
全部食べ終わり。
息ぴったりにこう言った。
「 ご馳走様でした。 」
確かに、全部の料理は見た目も良く量も多くなく、少なくもなく。
良いお店だった。お店を出る時にお母さんが、サーターアンダギーの手作りのお土産にくれた。
「 これは娘の好物で、さっき電話が来て、来週帰って来るからつい、嬉しくて作りすぎたので貰って下さい、味には自信あるんですよ。 大好きな猫ちゃんにはダメですよ。」
( 菫ちゃんとの会話聞いていた〜 )
菫は丁寧に頭を下げて、お母さんに言った。
「 後で、みんなのおやつでいただきます、ありがとうございます。 」
「 よし、これから海に行こう、楽しみにしてたしね。」
また息ぴったりにこう言った。
「 早く行きたいです! 」
彼女達は凄く元気いっぱいだ、私が猫じゃなかったらついていけてないくらいに、此処に来る前に菫にスマホの使い方を教えていたので、近くで泳げる海の場所を調べてもらい、そこに向かった。
辺りは高い建物がないので空がいつもより広く感じる。
改めて沖縄は綺麗な海だと思って、なんで東京湾はあんなに汚れているのかと同じ日本でここまで違うのはやっぱり人間のせいなのだろうか?
猫になってみると、自然と猫の気持ちに近づいて来るのはみんなも猫になれば同じ気持ちになるような気がする、そういえば言ってたもんな、環境の変化にって。
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