004 まずは彼女達を喜ばせたい

 そういえば、まだ家から出てないな、うちの猫は家から出した事が無い。何かあると心配だから家から出した事ないんだよな。

それから二分くらいで向日葵が言った、また私を抱えて自分の頭より高く上げながら。


「 私、人間の世界を見て、感じて、実感したい! あと人間の食べ物を食べてみたい! 」


 向日葵ちゃんは爽やかに言うな、なるほど、論より証拠だけど、食べ物って完全に興味だ! 猫の時も一番よく食べてた向日葵ちゃんは。

またあがいて地面に降りた。

 でもそれでもいいと思う、あとは何がいいかな? と思ったら、今度は、桜が私の目の前に来てしゃがんで言った。


「 私は海とかいろんな場所に行ってみたいです! 」


 確かにいろんな場所に行けば人とも会えるし、海は勇気あるな!


桜は、人間の世界を知るには必要か、そう思ったら今度は桔梗が話し始めた。


「 私は学校に行ってみたいです。」


「 桔梗は学校か〜 いきなり学校って入れるものなのか? 」


 戸籍も無いのに、考えていたら菫が割って入った。


「 可能ですよ、私達は『家族』になってます、

 存在してから此処の世界は『書き換えました』

 知らないのは弓弦さんだけです、それぞれ、みんな学生です、

 弓弦さんは『兄』ですよ。 」


ちょっとムキになって言った。

「 勝手に設定しないでよ! 」


 菫〜。

「 菫ちゃん、次から私が言ってからそういうのはお願いします。」


菫はそそくさと私から離れて行った。

( 菫は何故か淡々と言って私の気持ちに配慮していない気がした。

 普通に話してるから、それは個性ですか? )



( えー!・・・・・・  )        ( 今更思った。 )


「 おいおい、私もう30歳なのですけど、

 ずいぶん歳が離れた兄妹ですけど、どこまで書き換えたんですか? 」


「 ということは、此処はもう私のいた世界では無いのか? 」


「 世界は変わって無いですよ弓弦さん、そこまでは出来ませんよ。 」


「 じゃあ異世界では無いのか、それなら色々面倒くさくなくて良い。 」


 何も変わっていないと思っていたがよーく考えると状況はそうではないらしい。


『だって能力があるんだからね!』


「 理解が出来ない、説明を求めます、能力について! 」


 それもそうだ猫になって猫が人間になっている事、それ事態、普通じゃない! ( 今更。)


 もっと早くに気づくべきだが、そんなの無理があると冷静になるのには少しですんだ。

 だいたい十分位だろう自分自身の、『コントロール』は得意と言うよりも『癖』にしている。

 そうじゃなければ、メンタリストとは、名乗れ無い!(心の声)


 そのことを菫が話し始めた。

「 まずは、落ち着いて、今は混乱しているから、でも弓弦さんの職業は分りましたので、もう一度説明しないとは思っていました。 」


「 弓弦さんは『最初の被害者』なんです。本来ならば即死は有り得ないんです。

 理由はわかりませんが、死んだ後に私達が此処に『転生』してきたのです。突然人間になって! もちろん最初の説明通り私達は、弓弦さんの猫ですよ。」


「 変わったのは弓弦さんが『生き返った』ことと、

 私達が『人間になれた事』そして生き返ったことで私達が家族になって書き換えられたこと、それは私がしたのですが。

 それと、『私達が人類を救う鍵なんです。』 」


「 後は私達がずっと存在していることが書き換えられました、だけれど『記憶』は書き換えられていないので、弓弦さんは今まで通りです、正確に言えばただ書き換えただけで、ほとんど今まで通りなんです。これから始まるんです。」


「 便利のようだけど、そこまでは出来ないのか! 」


 人はここまで突然に情報が入ると思考が止まるのを実感した、理解するのに、今はまだ情報が少ない。


 とにかく猫のまま、『家から飛び出した』すかさず菫だけが猫になって私の側についてきてくれた。待ち構えていたように、何も言わずに。


 状況を把握するには、私は周りを見渡し、情報を集めるべく、知っている場所に行って見た、友達がいないのは、幸いだとは考えもしなかった、特に変わったところは無い。

 パニックにはなっていない『把握』したかった、言葉で聞くよりも見た方が早い。


 此処の世界と私の生きていた世界が同じなのかを・・・・・・





 今更だが猫はこんなにも早く動けるなんて初めて知った人間の比じゃない。夜でもハッキリ見えるし、身体が軽い、耳もよく聞こえるし、何より小さいから隠れるのも容易い、ジャンプ力も凄い、何故か気持ちよかった。


 散々走りまわっていたが、菫もついてきてくれたから安心できた。


 状況を把握して家に着いたら三人が心配そうに私を見つめた。

 相変わらず可愛い目だ!


 特に私に対して何も言わなかった。

 菫の話を理解して状況も把握して、さてさて、私はこれから何をすればいいのかと思ったら、そんな気持ちをかき消す様に

 四人の彼女達が今度は私達の番というばかりに私に言った。

 息ぴったりにこう言った。

「 人間の姿で遊びたいです! 」


「 世界を救うのはどこにいったんだ!!! 」


( 猫は本当に気まぐれだな!

 自分勝手というか猫の時もそうだったなぁ〜。)


 まあ当然の意見だと素直に認める、私も猫になって楽しかったんだから。

( 世界を救うと言っても、原因は私なんだからなあ〜 )


( まったく、とんでもないものを私にしてくれたのはいったい誰よ!!!)


( もう! )


 とりあえず、彼女達もそうだろうと納得してとりあえず話し合いはじめた。

 行きたい場所から、聞いてみた。

 桜が言った。

「 海に行ってみたいです! 」


 私は外に出ないインドアなので、思い切って、沖縄に決めた、海があって今でもまだ入れる九月だから、それなら早い方がいいな!


 まずは人間の世界を見てもらうのと、一人ではないのでインドアでも気分は悪くない、泳げないから海に行った事も無かったし、行くなら今の季節なら沖縄でいいか、他にも色々あると思うけど。




 家からほとんど出た事がないから思い切って東京から離れたところで遠くで海にもまだ入れるのが良い。

私は泳げないからビーチで海でも見ていよう。ついでに菫にスマホの使い方を教えておこう。なるべく猫のままがいい。

人間に戻って変な人にでも会ったらなんかやばそう。

 


 この後、桜との約束を思い出した、そうだったお願いされてた、少しずつね、まあ仕事でもしてたから、そこまで思い詰めることは無い。

気づいたらすればいいだろう、もちろん少しずつしかしないから、積極的にはしないから!


 猫は気まぐれなんだからな!

 ボールを投げても拾ってこないのは気まぐれだから、基本わがままだからな猫はそこも含めて好きだけどバリバリの犬派の私が猫派になったんだからね!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る