勇者の俺は魔王との決戦直前でパーティ全員を追放し、魔王と一騎打ちする事に決めた。
ちい。
☆
「悪ぃけどよぉ、お前ら追放だ」
「俺一人で充分なんだよ」
「足でまといのお前らは、さっさと故郷に戻れ」
「これはせめての選別だ」
「今までパーティで貯めてた分、全額だ。黙って持っていきやがれ」
「じゃあな、もうあうこたぁねえだろう」
「やっぱり一人で来たんだね」
「あいつらはもともと
「そうね……私達は
「
「そうね……
「あいつらはこんな所で死んじゃ駄目だ。死ぬのは俺だけで良いだろう?」
「貴方……死ぬ気なんだ」
「俺を殺せば、お前は
「……馬鹿なの?貴方を殺して、
「そう……今の今までは俺はお前に殺されようと思っていた。だけど俺は、ここに来て、情けないが、お前から殺される事を……迷っているんだ」
「迷っている?」
「俺はね……
「なら……
「それは無理だ。理由はお前と同じだよ。俺達は物心ついた時からいつも一緒で……小学校から大学……そして、やっと結婚して、子供も出来て……孫も生まれて……還暦も一緒に祝って……それなのに……お前を殺してまで、一人で
「そう……
「なぁ……俺と一緒に死んでくれないか?」
「……もしかして、
「そうだ……勇者だけが使える禁呪。俺は、お前に殺されたいと思っていた。だけど……この世界を守りたいとも願ってしまった。俺の……最後の我儘だ」
「良いわ……どうせ
「……ありがとう」
「当たり前じゃない……私たちは共に生きて、共に死のうって……約束したんだから」
「転生さえされなかったら、老後の平和で穏やかな日々を二人で過ごせたんだろうけどな……」
「えぇ……でも、そのお陰で私と貴方の縁の強さを知る事が出来たわ……多分、この縁の強さで、来世でも一緒になれるわ」
「俺もそう願うよ」
「さぁ……共に……」
「あぁ……俺と出会ってくれてありがとう。俺を選んでくれてありがとう。俺と歩いてくれてありがとう」
「私も貴方にたくさん感謝しているわ……」
「「愛してる」」
「おじいちゃんとおばあちゃん……笑ってるわ……」
「本当ね……あの事故から二人とも目を覚まさないけど、幸せそうに笑っているわね……」
「もしかしたら……天国に旅立つ前にまた、一緒になれたんじゃない?……二人とも、とても仲のいい夫婦だったし……」
「うん……」
「さよなら……おじいちゃん、おばあちゃん。天国でも仲良く二人で過ごしてね」
勇者の俺は魔王との決戦直前でパーティ全員を追放し、魔王と一騎打ちする事に決めた。 ちい。 @koyomi-8574
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