第207話 VS リアクティブスネーク その2
森の中に転移した時から考えてはいたが最悪な事態が起こった。リアクティブスネークが樹に巻き付いて降りてこないのだ。遠距離攻撃手段を持たない私にとってこの状況に陥ることは避けたかったのだが今回はそう言ってもいられないみたいだ。
今はヤツが飛ばす爆発する鱗を避けながら近づき、どうにか攻撃できないか試しているがそれも上手くいっていない。ヤツに近づくことはできるのだが攻撃しても避けられたり、当たったとしても触れた箇所が爆破して衝撃を相殺されてしまう。
それだけでなくヤツに攻撃したら導魔の耐久値がかなり減ってしまった。導魔が壊れる事態は避けることができたがこのまま攻撃を続ければいつかは耐久値がなくなり壊れる可能性が高い。なので、力技で倒すと言う方法は取れなくなった。それと試してはいないが震撃などの術理も使えないだろう。震撃ならばヤツにもダメージを与えることができるだろうが結局は私にダメージが来る。2回は防げるが危険を冒すことはしたくない。
そうなると取れる手段は格段に少なくなる。そして、その限られた手段の中では樹に巻き付いているヤツに有効打を与えることはできない。しかし、それでは私が負けることになるのだが......それは見過ごすことなどできない。
「攻撃ができない場所にいるなら攻撃ができるようにするまでだ」
このままではヤツが一方的に攻撃できるだけで私には大した攻撃手段がないまま終わるのは納得できるものではない。だが、ヤツが巻き付く樹がなくなれば地上に降りて戦うしか方法がなくなる。そうすれば私でもヤツに攻撃できるようになるわけだ。
そうと決まれば早速この樹を伐採するために行動を開始する。ヤツの体長から考えても最低でも半径20メートルほどは更地にしなければならない。想像するだけでも億劫な作業になるのは目に見えているがやるしかないか。
まずはリアクティブスネークに対して牽制のデバフを掛けながら後退する。カースなどは絶対に掛かることはないだろうからこれからの展開を考えてもバルネラブルが最適だ。バルネラブルを行使した後はホーリープリズンでヤツを拘束しようとしたがヤツがデカすぎて拘束することはできなかった。ただ、空に昇る光の柱に押されて少しだけ体を持ち上がった程度だ。
確かにこの戦闘は最後の修行に相応しかっただろう。事前情報なしでさらにレベルが今より低かったら一度は敗北していたかもしれない。だが、今なら問題ない。リアクティブスネークは樹に巻き付いている状態では鱗を飛ばすしか攻撃方法が無いのか次々に巻き付く樹を変えながら私に鱗を飛ばして攻撃をしてくる。
だが、たかが十枚程度の鱗に当たるほど落ちぶれてはいないので全て躱していく。間違っても迎撃してはいけない。そんなことすれば触れた瞬間に鱗が爆破して私がダメージを食らうだけだからな。しかし、ただ避けるだけでは意味がない。あの鱗は地面にぶつかるだけでも爆破するのだ。だったら、ヤツにもこの森の破壊を手伝ってもらうことにしようじゃないか。ヤツが攻撃モーションに入るのを見て移動する。
わずかなモーションの後にヤツが尻尾を鞭のように振り、鱗を飛ばす。もちろんその攻撃は避ける。だが、私が避けた後方には樹があった。そして、鱗は吸い込まれるように樹の幹に触れ爆発する。すると、バキバキと音を立てながら折れていくではないか。自分で自分の首を絞める気持ちはどんなものだろうか。是非とも聞きたい気分になるがーーー
攻之術理 虚刀・降龍
ヤツだけの攻撃で全ての樹を倒そうとしてもそれには時間がかかりすぎる。なので、私も自ら術理を使い樹を切断していく。虚刀を使わなければ太すぎて切ることは不可能だが私も少しは成長しているな。今度トレントンでも切れるか試してみるか。
樹を切断してはリアクティブスネークの鱗を避け、爆破により樹を破壊することを繰り返し大体50本ほどは倒すことができたがそれでもまだ戦うには手狭だ。それどころかリアクティブスネークのモーションが追加されてしまった。
今までは樹に巻き付いてからの鱗を飛ばすだけだったのだが樹が倒れスペースができてしまったからか巻き付いた樹から他の樹に飛び移り、その時に鱗を何十枚も投下させる爆撃機のようなことをしてきた。
その攻撃自体は避けることができるのだがこの攻撃のせいで思うように伐採が進んでいない。ソロだとどうしても手数が足りないからしょうがないが今はひたすらにヤツの攻撃を躱し地道に樹の数を減らすに限るな。
一度深呼吸をすることで気持ちを切り替えて伐採の続きをする。樹に巻き付いているときに放たれる鱗を誘導して樹にぶつけることができるが樹から樹に飛び移る際にまき散らす鱗は誘導などできたものではないので惜しいが無視する。
守之術理 流水
せめて誘導する方法を頭で思考しながら手は樹を切り、足は攻撃を避けるために動かす。そして、次第にヤツの行動パターンに慣れ始め、飛ばされる鱗にわずかに手を添えることで私の思うがままに鱗の攻撃を受け流すまでに至った。
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