第52話 レベルが上がったんだが?

 後ろを振り返り、師匠を見れば揶揄うような顔でこちらを見ていた。


「ゼロの武器は初心者の聖書ではないかな? 懐かしい物を見せてもらいました。昔は私も使っていましたからね。しかし、君の強さ的に効力を失っているのではないかな。それに聖書や魔書の類は殆どが、宗教国が輸出しているのでこの国では良い物を買えませんよ」

「そうなのですか。それなら是非頂戴したいですが、良いのですか?」

「気にすることはありません。さっきも言ったように私のお古ですから。それでもその聖書よりは圧倒的に強力でしょう」


 ルドルフさんに会えて本当に良かった。まさか師匠の弟子になれるだけでなく、武器も貰えることになるとは。

 それにしても聖書などは宗教国が輸出していたのか。それなら、武器屋にあったとしても、他の武器に比べて弱いのも納得だ。

 これは神官職にとって不利な気もするがその分宗教国で入手できる武器が強力だと信じるしかない。それかオークションとかもあるが、あれは財力がないときついからな。

 他にもβの時には錬金術師は聖書などの武器を作ることができたが需要と供給の問題で専門の錬金術師は少なかった。意外と神官職も不遇な扱いを受けている。


「リーン様こちらを」

「ああ、ご苦労様。これをゼロにあげましょう。この辺りなら買い替える必要はないと思いますが、もしその武器より良い物があれば買い替えることを勧めます。私から貰ったからといって気を使わなくていいですから」

「ありがとうございます。大事に使わせてもらいます」


 師匠から貰った聖書と魔書は見ただけでも今使っている聖書より強力な力が籠っているように見える。

 早くこの武器の詳細を視たいがここではそんなことはできないので教会を出るまでお預けだ。


「今度、会う時は本国でしょうね。次に会う時にはまた一段と君が成長していることを祈っています」


 師匠の言葉に深く頷き、今一度宗教国に着くまでに技を磨いていこうと心に決める。

 現実世界リアルで少し体を動かすのも良いかもしれない。久しぶりに本家に行って一汗流すことで何か思い出すかもしれないからな。

 こんなに物事にやる気が出るのは久しぶりだ。それも、師匠に祖父の面影を感じたからだろうか。




〈戦闘が終了しました〉

〈種族LVが上昇しました〉

〈JOBLVが上昇しました〉

〈光魔術のLVが上昇しました〉

〈光魔術の新しいアーツを習得しました〉

〈闇魔術のLVが上昇しました〉

〈闇魔術の新しいアーツを習得しました〉

〈INT上昇のLVが上昇しました〉

〈魔力操作のLVが上昇しました〉

〈鑑定のLVが上昇しました〉

〈MP自動回復のLVが上昇しました〉

〈称号〈死中求活〉を獲得しました〉

〈称号〈流水之舞〉を獲得しました〉

〈称号〈リーンの弟子〉を獲得しました〉

〈種族LVが10の倍数に到達したためオリジナルスキルの強化が可能です〉


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

NAME:ゼロ

RACE:デミヒューマン LV25

JOB:神官 LV25

SP:0

JP:125


HP:94/94

MP:265/320

STR:10

VIT:15

INT:105〈+25〉(+3)

MND:20

AGI:20〈+2〉

DEX:15


オリジナルスキル

<白黒LV3>


スキル

〈光魔術LV25〉

〈闇魔術LV25〉

〈書術LV8〉

〈INT上昇LV25〉

〈魔力操作LV25〉

〈鑑定LV25〉

〈MP自動回復LV25〉


称号

〈チュートリアル完全達成者〉

〈ゴールドハンター〉

〈疾風迅雷〉

〈死中求活〉

〈流水之舞〉

〈リーンの弟子〉


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 教会を出た瞬間大量のアナウンスが聞こえてきて、ビックリして声が漏れてしまった。

 迷わず周囲を見渡したがどうやら気づかれてはいないようだ。おっさんの驚いた声など誰得か分らないので聞かれていなくて本当に良かった。

 それにしても驚いた。師匠との戦闘でも経験値がもらえるのか。それならもう一度戻って師匠に挑んできたいのだが。

 もちろん冗談だがな。次は戦わせてもらえないばかりか弟子の話をなかったことにされそうだ。それに、これはちょっとした裏技ぽいので余り多用しない方がいいだろう。


 それより一つ言いたいことがある。それはーーー


 師匠!! あなたは経験値袋ですか? なんで7レベルも上昇しているのだ。

 私と師匠のレベル差が相当あるのは分かった。だが、これだけのレベルを上げるにはファングウルフをどれだけ狩らないといけないと思っているのだ。

 これは一刀たちを私と同じレベルまで上げるのはパーティで行動する限り無理だ。

 そこは各自やってもらうことにしよう。まあ、基本私たちは自由行動だから気にする必要はないか。

 自分がやりたいことをやる、それが一番楽しめるからな。


 とりあえずSPの割り振りはINTに20、AGIに10、DEXに5を振り分けた。

 INTは通常運転としてAGIに10ポイント割り振ったのは疾風迅雷があるので、AGIは切りがいい値で上昇させた方がいいと思ってのことだ。

 残りの5ポイントは正直迷ったがよく考えたら私は神官なので、敵の攻撃を受けないように捌ければいいのだからとりあえずDEXに振っておいた。

 それとオリジナルスキルも強化が可能になったがこれは能力向上一択なので迷う訳もなく終了した。後で上昇値などを調べておかなければ。


 他に目につくものは称号が一気に増えたことだ。称号は基本習得しづらいはずなのだけど......。そこも含めて詳細を確認するとしよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る