第47話 リーン=アルテイオ
「このようにしてこの世界は創られたのです。そして、この8体の像が世界に概念を与えた主神と七柱の神の姿だと古くから伝えられています。それぞれの像について説明しますと、中心にある像が神々の主である大神です。そして大神を囲うように並んでいる七体の像の左側から善神、創造神、魔神、賢神、武神、破壊神、邪神の順で並んでおります」
シスターの説明に補足を入れると大神は両手に天秤を持っており、その天秤にはそれぞれ白い炎と黒い炎が乗りその均衡を保っている。ちなみに天秤に乗っている炎は神炎と呼ばれ決して消えることのない炎だそうだ。
そして、善神は右手に持った白い球、邪神は左手に持った黒い球、創造神は紋様の入った右手、破壊神は紋様の入った左手、魔神は両手に持った杖、武神は両手に持った剣、賢神が片手に持った書物をそれぞれ大神に掲げるような格好をした形をしている。
それぞれの神が持っているものは神器と呼ばれており、人智を超えた効果を容易く発動させることができる代物のようだ。
「ゼロ様、リーン様は用事を済ませたのでお会いになることができるそうです。奥の部屋にご案内するのでついてきてください」
この世界の神々について少し思考していたらちょうどウルマさんがこちらに戻ってきてた。
少し時間が掛かっていたので立て込んでいるのかと思っていたが、どうやらリーンさんに会うことができるみたいだ。
断る理由もないので頷きを返し、ウルマさんについていく。
先程と同様にウルマさんが通っていた祭壇裏のドアを潜るとその先は教会に勤めている住民の住居になっていた。
歩くこと数分で荘厳な雰囲気のあるドアの前に到着した。
ここまでの道すがら特に語ることはないのだが神官職についている修道士はやはり獣人種は少ない。ただ、シスター全員が神官職についているわけではないので、獣人のシスターがいることに何の不思議もない。
「失礼します。リーン様、ゼロ様がご到着しました」
ドアの前に着くとウルマさんがノックをし、部屋の中にいるだろうリーンさんに私が来たことを報告する。すると部屋の中から承諾の声がしドアが開けられる。
どうやら部屋の中にいた騎士がドアを開けたようだ。
「ここから先は、私は入ることができませんのでここで失礼させてもらいます」
「ご丁寧にありがとうございました」
ウルマさんが聖印を切り『神の御加護があらんことを』っと言ってこの場を去っていた。この先へは私一人で行かなければならないみたいだ。
意を決して扉の中に入るとそこは書斎だった。
ドアの横には白銀の鎧を身に着けた騎士が二人、壁側には神官服を着た老人とシスターが数人並んでいる。
下品には見えない程度の調度品が並べられており、手前には高級そうなソファーと来賓と会談するための机。そのさらに奥には素朴な感じが見受けられるが鑑定を使ってみた結果、詳細が一切視ることができない机があった。
この部屋にいる騎士や神官、そしてソファーに座りながら優雅にカップに口をつけているリーンさんらしき人物にも鑑定をかけたがレジストされてしまった。
それにしてもリーンさんはかなり若そうだ。年のころはルドルフさんと同様に20代後半だろうか。高位な立場だと聞いていたので、年のいった司教以上の人だと思っていたが違ったらしい。
「むやみやたらに人を覗くのは感心しませんよ。ゼロさん」
「......これは申し訳ございません。皆さんがどれほど強いのか気になってしまったものでして」
どうやら私が鑑定を使ったことがバレてしまったようだ。
だが、仕方ないじゃないか。ゲーマーとして相手のレベルを知りたくなるのは病気みたいなものなのだから。もちろんこれは自論だがな。
「これは嫌味ではないですがここにいる者たちは全員、今のあなたよりは格段に強いですよ」
その言葉に私は苦笑を返すが、なかなか心に刺さることを言われてしまった。しかし、スキルの効果か魔道具の類かは分からないが、鑑定が弾かれた時点でそれは察していたのでダメージは最小で済んだ。
「それはさておき、立っての会話も何ですからそこに座ってください」
リーンさんの提案に頷き、前のソファーに座る。
やはり、このソファーもかなりの値段がするのだろう。私が現実で使っているソファーよりも座り心地が良い。
「私のことはルドルフから聞いていますか?」
「いえ、ルドルフさんからはかつて一緒にパーティを組んでいた宗教国で5本の指に入る光魔術の使い手だと言うことしか聞いてません」
「そうなんですか。では、改めて自己紹介させてもらいましょうか。私はかつてルドルフがパーティリーダーを務めていたベルセヴェランテの一員で、現在は聖魔典管理神官、第三席〈
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