第41話 オリジナルスキルの考察
「集合は3時間後に冒険者ギルド近くの広場でいいか?」
「ああ、大丈夫だ。それまでは自由時間ってことで各個人で必要なものは揃えておけば良いだろう」
「僕は夕飯たべるから一旦落ちるよ。じゃあ、また後で」
「俺もメシ行ってくるぜ!!」
「我が輩も同様ですな」
「おう。また後でな。俺は生産職ギルドに少しよってから夕飯にするわ」
「分かった。では一時解散だ」
レオはオリジナルスキルのペナルティーとして約3時間のステータス半減を食らっているので、ペナルティーが解除されるまで個人行動にすることになったが、ちょうど良い頃合いだと言うことで聖たちは夕飯を食べにその場で光になって消えていった。
始まりの街などのセーフティゾーンではログアウトはどこにいても可能であり、宿屋などに泊まっていなくてもログインした際にはそのセーフティゾーンの特定の場所、例を挙げると始まりの街だと冒険者ギルド近くの広場に降り立つ。
ただし、宿屋などでログアウトするとその場に降り立つことが出来る。
「みんなログアウトしたみたいだな。ゼロはこの後どうする?」
「私は少し野暮用を済ませようと思っている」
「了解。じゃあ、3時間後に」
そう言うと不知火は生産職ギルドの方へと足を進めて行った。
先程見た時にフレンドリストに載っている人たちの大半がログイン状態だったので、不知火は生産職ギルドにいるドガンさんに挨拶でもしてくるのだろう。
ドガンさんは生産職のプレイヤーでβの時に不知火とレオの装備を担当してもらった経緯がある。
彼は自分が作る装備には人一倍うるさく、満足がいく装備が出来るまでずっと工房に籠っているような人だが、その分作成する装備は強力だし、そして何より顧客のことをしっかりと考えた装備を作ってくれるので信頼できる人だ。
この先こう言った生産職の方とは関わりが深くなっていくので、私も時間を見つけて挨拶に行こうと思っている。
それはさておき、不知火には野暮用と言って少し話を逸らしたが別に隠すことでも何でも無い、ルドルフさんに教えてもらったリーンさんと言う人に会いに行こうと思ったのだ。
もしかしたら今後の役に立つ情報が貰えるかもしれないからな。
ルドルフさんが言うにはリーンさんはこの街の教会にいると言っていたのでそこに向かう。
教会に向かう道すがら一刀たちのオリジナルスキルについて考えたいと思う。
残念ながら今回は一刀、不知火はそのオリジナルスキルを見ることが出来なかったが、他の三人のオリジナルスキルは見ることが出来た。
ちなみに一刀は種族LVが10になった時にオリジナルスキルの強化を選んだようで、オリジナルスキルを使っていない現在はどのような強化がなされたのか不明と言っていた。
逆に不知火はオリジナルスキルの追加を選び、スキルの効果が減少する代わりに自分だけでは無く、パーティメンバーの誰か1人を効果の対象に追加出来るようにしたみたいだ。と言うのも私の白黒の制約を知った時からこの効果の追加を考えていたようで、もしもの保険と言うことでわざわざその効果の追加をしてくれた。
続いては今回オリジナルスキルを使用していた他のメンバーだが、レオの獣化はファングウルフ戦でその効果を遺憾なく発揮してくれた。
その効果は絶大でスキル発動時に特定のパラメータが2倍になり、10秒ごとにパラメータが2割増加していくと言う効果だ。
だが、強力な効果だけに制約は厳しく1秒ごとにHPが1%減少していき、ついでにオリジナルスキル発動中はHPが回復出来ないおまけ付きだ。
この制約の仕様上攻撃を受けるごとに獣化の継続時間が短くなる致命的な欠点がある。
今回の戦闘でもファングウルフの攻撃を何度か喰らってしまった。
聖とロードがレオに攻撃が当たらないように援護をしていたが、全ての攻撃を防ぐのは難しいので対策を考えなければいけない。
次に聖のオリジナルスキル瞬間装填だが、オリジナルスキルだけあって攻撃の手数は圧倒的に増加した。しかし、その分一回一回の攻撃力が減少してしまったためDPSで考えると弓のアーツだけで戦った方が高い。
だが、聖はオリジナルスキルに新しい効果を追加してそれを補った。それが属性付与だ。
属性付与は読んで字の如くMPを消費することで矢に属性を付与することが出来る効果だ。制約として自身が使える属性しか付与できないがこれにより矢の威力は上昇し、追加で属性ダメージが入るためただアーツのみを使うよりDPSが増加する。
しかし、MP消費が激しいと言う欠点がある。
瞬間装填は属性付与が無くても雑魚の処理や敵のヘイトを集めることが可能なので、レオの獣化よりも低コストで使える万能型のオリジナルスキルになるだろう。
ちなみに瞬間装填と属性付与は個別に使用出来るようだ。
最後にロードの偽りの仮面だが、聖と同様にオリジナルスキルに魔術陣を不可視にする効果を追加した。
偽りの仮面がLV1の時の効果『自身が発動した魔術と魔術陣の外見を自身が保有する各魔術スキルの外観に変えることが出来る』についてだが、私が見ていた限り、始まりの街周辺の魔物には効果が薄いように感じられた。と言うのも、まずここいら魔物は知能が低いこともあり、魔術を使っても何も考えずに突っ込んで来るような魔物しかいないからだ。
そのためフェイントが意味をなさない。
まあ、ロードも対人用に作ったと言っていたので、このオリジナルスキルが本領を発揮するのはまだ先かもしれない。
次に追加効果の話だが前述でも述べた通り、追加効果は魔術陣を不可視にする。
これだけ聞くと破格の能力だが効果に比例して制約も強力だ。今分かっている時点でも消費MPが3倍になる制約が掛けられている。
そのため強力な魔術系アーツ程消費MPが多いのでなかなか使いづらい。
しかし、魔術陣の不可視化は隠蔽と同時に使用することによって絶大な効果を発揮すると思われる。
何度も言うがここいらの魔物では本当にこの理屈が正しいのか証明が難しいが、隠蔽による魔力の隠蔽と偽りの仮面による魔術陣の不可視化によって、先程の戦闘でハイ・ファングウルフの油断を誘うことが出来たのでは無いかと思っている。
ハイ・ファングウルフは魔術陣が生成されると距離を開けるなどと多少は知能があったため苦戦していたが、最後の魔術陣不可視化による攻撃には対応できていなかった。
それがたまたまなのか魔術陣の不可視化によるものなのかは定かではないが、高レベルの魔物、知性がある魔物になるにつれてロードのオリジナルスキルで、フェイントが使えるようになってくると考えられる。と考察はこんな感じだ。
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