第21話 二人のオリジナルスキル

 またまたやって来たのは東の草原。

 今回はミサキさんとリアさんのレベリングということでさっそくパーティを組んで戦闘に移りたいと思う。


〈ミサキ、リアの2名からパーティ申請が受理されました〉


「ちょっとアンタ、もうLV12ってどういうことよ。ほんと呆れるわ。どんだけ無茶したのかしら」

「すごいです!! まだ始まって3時間しか経ってませんよ。それに掲示板で今一番レベルが高い人でもやっと5になったって書いてありましたよ」


 ミサキさんたちが私のレベルを見てなかなかに言ってくれるがオリジナルスキルが強いのが悪いと思う。

 それに私以外でもオリジナルスキルの内容によっては簡単にこのレベルまで来てしまうだろう。だが、私も負ける気はしない。なんたって時間はいくらでもあるからだ。

 それはさておき、メニュー画面に表示されているパーティという欄を開けばそこにはパーティメンバーの名前、レベルやHP、MPが表示されている。ステータスについては本人の承認が無いと閲覧できないのでそこは自分で聞くしか無い。


「さっきも言いましたがオリジナルスキルの相性ですよ。 ところで良かったらでいいのですがミサキさんたちはどんなオリジナルスキルにしたのか教えて貰えますか?」

「ええ、もちろんよ。お得意様にはオリジナルスキルの内容を教えるわ。まあ、言うより見てもらった方が早いわね」


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スキル名:全身全霊


分類:特殊


制約:1日に1度だけスキル名を宣言することで発動する。発動中は作業アシストが使用不可になり、HP・MPが徐々に減少する。また、発動中はHP・MPが回復不可になり、再使用まで一定時間のリキャストタイムが生じる


効果:製作したアイテムまたは、装備の性能を上昇させる


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 ふむ、制約に対して効果が釣り合っていない感じがする。特に制約がかなり厳しいな。これだけの効果なら制約をもっと軽く出来ると思うがそれほどに装備の性能を上昇させるのは強力なのだろうか?


「まあ、見てもらえば分かると思うけど効果に対して制約が厳しいわ。でも、生産なんてそんなものだし、それに性能の上昇は1段階上がるだけで劇的に変わるものだってあるわよ。例えば、そうね......一般級でレア度が10のアイテムが出来たとして、それが1段階性能が上がると上等級のレア度1になるわ。生産職になれば分かるけど等級をあげるのは並大抵の努力じゃ出来るものではないから、かなり強力な効果と言えるわ」

「なるほど。上等な装備を使えるのも生産職様々ですね。やっぱり、私には向きませんよ」


 不器用というわけではないが何故か生産活動をすると大体失敗するのだ。ほんと、一時はゲームのバグかと思って運営にを報告したら『バグは見つかりませんでした』と言われたときの悲しみは誰と共有すればいいのやら。


「あの、私のオリジナルスキルは猫の洞察力って言います。そんなにすごい効果じゃないし、先輩みたいにしっかりとした制約じゃないけどいいですか?」

「見せてくれるのはありがたいですが無理しなくて良いですからね。嫌ならそう言ってもらって構いませんよ」

「いえ、大丈夫です。なにかダメなところがあったらアドバイスをください。それに私も先輩みたいな生産職になりたいのでお願いします」


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スキル名:猫の洞察力


分類:特殊


制約:名称が分かるアイテムのみ有効


効果:このスキルでみたアイテムの善し悪しが分かる。また、知りたいアイテムに付いて博識なほど効果は上昇する


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 アイテムの善し悪しと言うのは考えたことがなかったな。アイテムにはレア度があるがそれとは違うのだろうか? だが、効果を見ると博識なほど効果が上がると記載されていると言うことは、アイテムには確実に良い悪いがあると言うことだろう。


「このアイテムの善し悪しとはなにか分かりますか?」

「はい、これはキャラクタークリエイトのときに聞いたのですがアイテム、例えば薬草などには鑑定などの情報系のスキルには表示されない鮮度や遺伝子情報があるみたいです。なので、ポーションを作るときには鮮度とか状態がいいのを使った方が効果が上がるのかなって思いこの効果にしました」

「へぇー、そんな設定があったんですね。確かにこのゲームは意外と細かいから分からなくもないが遺伝子情報まであるのか。それだとずいぶんと凝った作りにしてるな」

「そうですね。特に私は情報系のスキルを多く取ったので厳選した素材でポーション作りをしたいです」

「それは良いと思いますよ。大量生産は錬金術師が向いてるので薬師は品質勝負って面がありますしね。まあ、それに関してはミサキさんの方が詳しいと思いますが。それに品質勝負なら薬草などの厳選においてこのオリジナルスキルは大きいアドバンテージになりますよ」


 これは受付の人から教えてもらったが、ポーションと言えば薬師と思われがちだが生産職ギルドで売られていたポーションは錬金術によってレア度固定で大量生産された品らしい。

 だが、高ランク冒険者などは専属の薬師の人がいて高ランクのポーションを作ってもらっているとか言っていた。

 私もMP回復ポーションは量産品ではなく効果が高い物の方が良いのでリアさんにはお世話になることだろう。

 それに私達のパーティメンバーには馬鹿みたいにMP使うやつがいるから高品質ポーションはもはや必須だ。あいつは魔術を手品みたいに使うから良くMP不足で嘆いてた。まあ、分からなくは無いけどな。確かにロマンがあるのは否定できない。

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