第20話 待ち合わせと新装備

 待ち合わせ時間より少し早めに広場に着いたがそこには既にミサキさんともう一人の女性が立っていた。


「すみません、ミサキさん。待たせてしまいましたか?」

「いえ、私達も今来たところよ」

「それは良かったです。ところでそちらの女性がミサキさんの後輩の方ですか?」


 ミサキさんの横に目をやれば、小柄で少し幼さが残る顔立ちの黒髪短髪の女性がそこに立っていた。そして彼女の頭と腰にはヒューマンには存在しないものが付いていた。そう、それはネコミミに尻尾だ!! 大事なことなのでもう一度言おう、ネコミミに尻尾だ!!


 なんでこんなに興奮してるのかって? 何を隠そうこの私はケモナーなのだ。ただし、男の獣人は興味がないがな。それと守備範囲は結構狭い。毛深くなるのはダメだ。耳と尻尾こそ至高だ。無論、異論は認める。

 それにしても良いよね、ネコミミ少女って。ぜひその耳をもふもふさせて欲しいところだ。いや、それは犯罪臭いからダメだな。ともかくだ、彼女がミサキさんの言っていた後輩なのだろう。


「ええ、そうよ。彼女が私の後輩でプレイヤーネームはリアと言うの。種族は見ての通り猫人でJOBは薬師にしたみたいだからあなたのポーション問題も解決するかもね。それと、あなた興奮が隠し切れていないわよ」

「なんと。ポーカーフェイスは得意なんですけどね。こればかりは仕方がありませんよ。改めましてこんにちは。私の名前はゼロと言います。JOBは神官に就いているのでサポートはお任せください」

「はい。先輩の紹介通り、プレイヤーネームはリアって言います。気軽にリアと呼んでください。それと、ええっと、今日はお世話になります」


 お互いの自己紹介を終えたのでそろそろ移動しようと思っていたらちょうどミサキさんから待ったがかかる。今の私はやる気に満ちているのだが水を差されてしまった。


「頼まれていた装備が完成したから今渡しちゃうわ。適当に仕上げたから15,000バースだけど一括で無理なら少し待ってあげるから言いなさいよ。それとアクセサリーは今回のレベリングが終わったら取りかかることにするわね」

「もう完成したんですか。流石に仕事が早いですね。もちろん、アクセサリーの件は承知しています。ついでにさっきの狩りで結構アイテムをドロップしたので渡しますね。それで他の部位の装備の製作をお願いします。それと金額はそこから引いといてください」


 ラッシュボアとの戦闘で防具の製作に使えるアイテムがかなり手に入ったのでぜひ買い取ってもらいたい。それに種族LVが10を超えたため初期装備のパラメータ上昇がなくなってしまった。なので、今装備が貰えるのはありがたい。


武器:初心者の聖書

武器:ーーーー

頭:----

胴:白染めのローブ(INT+3)

腕:----

腰:初心者の神官下服

脚:韋駄天の靴(AGI+50)

アクセサリー:----

アクセサリー:----

アクセサリー:----


〈白染めのローブ〉 一般級 ☆6

INT+3

後ろには十字架の刺繍がされている


 流石はミサキさんだな。今、出回っている装備はまだレア度が3から5が一般的なのにもうそれを超えている。それに要望通り上昇値は全てINTに振り分けられている。

実はこの上昇値と言うものが生産職の中では鬼門だそうで自分が上昇させたいパラメータを常に意識しながら製作しなければ性能がランダムに上昇してしまうらしい。


 ミサキさんに製作してもらった装備の上昇値は韋駄天の靴の上昇値を見てしまうと低いように感じるがこの値が通常だ。

多分だが韋駄天の靴は国宝級の装備の中でも上昇値が最大だと思われる。何故なら、βの時に一番弱いと言われていた伝説級の装備がパラメータを51上昇させていたからだ。だが、それもプレイヤーが制作した装備ではないのであくまでも予想だがな。


「了解したわ。......ほんと、アンタこの1時間くらい何していたのよ。こんなの常人じゃ真似できないわ。リア、聞きなさい。この男ったらこのゲームが始まってからもうラッシュボアを50体以上軽く討伐してるわよ」

「ええ!? すごいです。どうしたらそんなに多く倒せるのですか?」

「はは、それはオリジナルスキルの相性が良かったからですよ。それより早く狩りに行きませんか?」

「はぐらかしたわね。まあ、いいわ。とっとと行きましょ。それに、ゼロのオリジナルスキルはこの後見れると思うわ。リア、楽しみにしておきましょうね」

「はい、そうですね。どんなオリジナルスキルなんでしょうか? それと、足手纏いになったらと思うと少し不安です」

「心配いらないわよ。ゼロはあれでもβテスト中に神官なのに武闘大会で上位に入賞するプレイヤーだもの。それにパーティ戦では鬼畜神官って二つ名をつけられるほど無類の強さを誇っていたわ」

「鬼畜って......何をしたんですか、ゼロさんは?」

「それくらい凄いってことよ。だから安心してなさい」


 後ろで女子二人が何やらコソコソと話しているようだが先を歩いている私には良く聞こえない。

今から戦うのはホーンラビットなので私にとっては雑魚同然の相手だ。なので特に気を使うことはないが聞いたところミサキさんはLV3でリアさんはまだLV1のようなので慎重に行動していきたい。

 だが、早くレベルが上がったオリジナルスキルの効果を検証してみたい。

今までは制約が満たされることで最大で10回、パラメータが1ずつ上昇していたが今はどう変わっているのだろうか。希望としてはパラメータを1ではなく2上昇させて、最大回数が20くらいに増えていて欲しい所だな。

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