第15話 ギフトの確認は早急に その2

「HP回復ポーションを2つください。後、MP回復ポーションはもう少し効果が高いものはありますか?」

「お買い上げありがとうございます。MP回復ポーションにつきましては、これ以上のものになりますともう一段等級が上の量産品ポーションかマーケットに出品されたポーションになりますがよろしいですか?」


 量産品は等級が上がるのか。これは効果は期待できるが値段が心配だ。

 もう一つのマーケットに出品されたポーションは効果がまちまちだからなんとも言えないが前者よりは安いのは確定だろう。

 ちなみにマーケットとは全ての生産職ギルド内でのみ売買が可能なネットショップみたいなものだ。マーケットには生産職が作ったものだけでなく、薬草や食材なんかも売られているのでここでアイテム作りしているプレイヤーは街の市場に出ないでマーケットに出ている商品だけでも作成が出来るため便利と聞く。

 ただし、マーケットには売ってないものも市場には売っているので一概にマーケットが良いとは言い切れないがな。


「そうですか。では両方見せていただけますか?」

「かしこまりました。こちらが商品情報です」


〈MP回復ポーション〉 上等級 ☆3

量産化に成功したポーション。1つ1,000バースで販売されている。MPを100回復させる


〈MP回復ポーション〉 一般級 ☆5

試行錯誤の末に作られたポーション。MPを60回復させる


 やはり、量産品の方は値段が高いだけあって効果は流石と言える。それに比べてマーケットに出品されているポーションは効果こそ落ちるが値段が安くてお得だ。ただ、中には量産品よりも効果の低い物が売られていたりもした。

 ポーションは連続で使用するとポーション酔いと言う状態異常が発動してしまい、一定時間、ポーションが使えなくなるから注意しなければならない。

 そのため出品されている中で高性能かつ500バースとかなり安いポーションを3本全てカートに選択しておいた。と言うのもマーケットに出品されている商品は誰でも買うことができるので早く買わなければ誰かに買われてしまうのだ。

 それを解消するためにカートという機能があり、最大で10個まで商品をキープしておける機能がある。なので焦らずに買い物が出来る。


「会計をお願いします」

「HP回復ポーションが2本、MP回復ポーションが3本で全部で1,700バースとなります」


 冒険者カードを専用の機械にかざして料金を支払う。それにしても意外と高い買い物をしてしまった。


「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」


 買い物を終えた後も10分程ギルド内を散歩していたらミサキさんから連絡が来た。どうやら装備の製作をしていて、さっきほど完成したのでもう直ぐ到着するとのことだ。


「えーっと、ゼロで良いのかな?」


 休憩エリアで座って待っていたら黒髪でポニーテールのヒューマンの女性が話し掛けてきた。私の容姿について教えておいたし、βテストの時と見た目があまり変わっていないのでこの女性がミサキさんだろう。


「私はゼロですがミサキさんですか?」

「ええ、そうよ。話したいことがあるけど、ここでは何だから外のお店に行かない」

「いいですね。どこに行きますか?」

「中央の方においしい喫茶店があるみたいだからそこに行きましょ」


 私達は生産職ギルドを後にして街の中央に向かうことにした。デスした時に訪れる教会も中央の方にあるがまだ死に戻りを経験していないので行ったことがない。


「ゼロは今回もJOBを神官にしたのね。私が装備作ろうか?」

「ええ、そうしてもらうために挨拶に来たんですから。ミサキさんは裁縫士ですか?」

「当たり前じゃない。裁縫士トップと言われた腕前見せてあげるわよ」


 その後は、世間話をしながら歩いていくと10分程して目的の場所に到着した。外観はおしゃれなカフェみたいな感じだ。それに中から漂ってくる匂いがここは当たりだと主張している。

 私は甘党なのでケーキでも注文するとしよう。


「いらっしゃいませ。2名様でよろしいですか?」

「ええ、そうよ」


 店員さんに連れられて奥のテーブル席に案内される。店の中は少し暗いが天井に吊るされている仄かに明かりを灯す照明が良い雰囲気を醸し出している。


「ご注文はお決まりですか?」

「そうね、ケーキセットを1ついただくわ」

「私も同じのを」


 注文を終えて店員が店の奥に向かって行く。ミサキさんもケーキ好きだったのか。


「ここのケーキがおいしいって噂になっていたのよ。まだ、リリースしてそんなに時間が経っていないのにこんな名店を見つけるなんてすごい執念だわ」

「確かにそうですね。ですが500バースとちょっと高い気がしますが」

「そんなことはないわ。ここは料理にバフが付くから安いものよ。なんならゼロの奢りでも良いわよ」

「へぇ、バフが付くにしては安いですね。後、奢りませんよ。今は金を貯めているので」


 本当はもう金を使いたくはなかったがケーキのためなら仕方がない。それにバフが付くならお得だし、良しとしよう。


「なに、欲しいものでもあるの? なんだったら少し色をつけてドロップアイテム買ってあげるわよ」

「それは、ありがたい。さっき狩りに行ってきたので素材は結構ありますが大丈夫ですか? それと金を貯めているのは鑑定のスキルの書を買うためですよ」

「なによ、ゼロはギフトで鑑定取らなかったの?」

「......え?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る