第14話 ギフトの確認は早急に その1

「意外と街中でアーツを使ってるプレイヤーはいないもんだな」


 案外知られていないことだが攻撃系のアーツではない例えば書術のメディテイションなどは街の中と言ったセーフティーエリアでも使用することが出来る。なので、私は冒険者ギルドを出てからずっとメディテイションを発動させている。

 そのため書術のレベルがさっき上がったとアナウンスが来ていた。今はMPが最大値まで回復しているが発動させるだけでもスキルLVが上昇するから暇なときは常にアーツを発動させておくことは上位プレイヤーでは常識だ。


 まあ、それは良いとして今は生産職のフレンドであるミサキさんのところに挨拶に行くとしよう。ついでに新しい装備を製作して貰えるか聞いてみるか。

 本当は他にも世話になる生産職のプレイヤーに挨拶しに行きたいがあいにくログインしていないみたいだ。

 ちなみにフレンドリストにはβテストの時に知り合った人が20人程登録されている。

 私の場合は元βテスターだったのでフレンドリストはそのまま引き継がれたのだろう。しかし、よく考えたらβテスターは3000人程いたのでフレンドが20人は少ないのか? まあ気にすることではないな。


 先ほどミサキさんにフレンドメッセージを送ったら生産職ギルドにいるとの連絡が返ってきた。

 始まりの街は街の外周を環状に防壁が覆っている。そこを北西、北東、南東、南西エリアと4つに分けられており、防壁の中心には領主の屋敷がある。

 その周りをプレイヤー達が復活する教会や高級住宅地が囲っており、さらにその周りに冒険者ギルドや生産職ギルドがあったり、市場やスキルショップがある。

 そして、私がいる冒険者ギルド周辺は北西エリアと呼ばれる場所だ。ちなみに生産職ギルドは南東エリアに属しているのでこことは真反対だ。




「先ほどぶりですね。すみませんが串焼きを1つ貰えますか」


 ちょうど最初に話しかけた串焼き屋の店主の店の近くにきたので串焼きを買うことにした。


「おう、あのときの旦那じゃないか。無事に冒険者ギルドには着けたみたいだな」

「ええ、おかげさまで。その節はお世話になりました」

「堅いことは言うなよ。はいよ、串焼き1本お待ちどう。俺の名前はルドルフっていうんだ。よろしくな」

「これはどうも。私の名前はゼロと申します。ルドルフさん、こちらこそよろしくお願いします」

「やっぱ口調が堅えよ旦那!! まあ、また来てくれや。今度きたら良いこと教えてやるよ」

「それは楽しみですね。それではまた寄らせてもらいます」


 意外とここの串焼きにハマってしまった。何って言うんだろうか、このすごいジャンキーな感じがたまらなくおいしいんだよな。


 その後も露店を冷やかしたり、防具を見たりしながら歩いているとだいたい30分で生産職ギルドまで辿り着いた。

 生産職ギルドの外見は冒険者ギルドと同じように役所みたいな感じだが、かなり大きくギルドの中から物作りをする音が漏れている。この音は鍛冶でもしているのではないだろうか。

 とりあえずミサキさんにギルドについたと連絡を入れておいてっと、彼女が来るまでギルド内を探索してみるか。


 生産ギルドに入ると冒険者ギルドとは違い広い空間が広がっており、中央には多くのプレイヤーがくつろげる休憩スペースになっていた。その奥には受付があり、生産場所の貸し出しをしているようだ。

 自分の店を持っていない生産職のプレイヤー達はここで作ったアイテムを売って自分の店を建てるまで金を貯めるそうだ。


「ここにあるものは販売していますか?」


 受付の横にあるショーウィンドウにはたくさんのアイテムや装備が置かれている。


「もちろんです。ご購入をご希望ですか? こちらは当ギルドで作成された商品を扱っております」


 特に欲しいものがあるわけではないがポーションなどのアイテムはもしものために持っておきたい。


「そうですね。ここにあるポーションが欲しいのですが性能を教えて貰えますか?」

「かしこまりました。こちらが詳細です」


〈HP回復ポーション〉 一般級 ☆3

量産化に成功したポーション。1つ100バースで販売されている。HPを10回復させる


〈MP回復ポーション〉 一般級 ☆3

量産化に成功したポーション。1つ100バースで販売されている。MPを10回復させる


 こ、これは!? 鑑定のスキルが使われているじゃないか。鑑定がなければアイテム名と説明くらいしか分からないだろうし、やはり情報が分かるというのは便利なものだ。

 それはさておき、量産されているポーションなだけあって効果は低いがもしもの時に使うには十分だろう。だが、MP回復ポーションはもう少し高性能の方が良い。回復量が10ではすぐに使い切ってしまうからな。

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