第10話 ウサギ狩り その2

 ここで少しオリジナルスキルについて検証してみたいと思う。

 白黒は戦闘中に光魔術と闇魔術を交互に使用することが条件だが戦闘開始前から自身にバフを掛けた状態で始めたら、そのバフにも白黒の効果が適用されるのか、さらには戦闘終了後もバフは継続するのか、継続する時は白黒の効果が発動された状態のままかを検証する。

 ちょうど被検体のホーンラビットが来たしな。


「エンチャント・レッドアップ。さて、やるか。ポイズン。ライト......エンチャント・レッドダウン......エンチャント・レッドアップ......ポイズン......ライト。そして蹴り!!」


〈戦闘が終了しました〉


 瞬殺だ。

 さてと、検証結果だが最初にポイズンを発動した時には黒の十字架が出現しなかったことから最初に掛けたエンチャント・レッドアップは戦闘中に発動した光魔術としてカウントされなかったようだ。

 次にライトを発動したときに白い十字架が出現し、さらにステータスを見たらSTRの値が11から12に上がっていた。

 ちなみにエンチャント・レッドアップはINTの10%だけ数値が上昇するアーツだ。この時は小数点以下は切り捨てだと思われるのでINTの値は切りのいい数字がいいだろう。

 そして二回目の闇魔術であるエンチャント・レッドダウンもエンチャント・レッドアップと同じ数値だけ相手のSTRを減少させていると思われる。

 やはり検証のためにも早く鑑定が欲しいところだ。

 次に二回目の光魔術であるエンチャント・レッドアップを発動したらSTRが13に上昇していた。

 さらに3回目の闇魔術と光魔術を発動させるとSTRが14になった。後、戦闘が終了してもバフはそのままだったが白黒の効果は継続していなかった。


 正直、白黒の効果の計算式がどうなっているのかまだデータが揃わなくて分からないが、白い十字架が1つ追加されることでバフの効果が1上昇するのかもしれない。

 そうだとしたらかなり強力なオリジナルスキルと言える。しかし、鑑定を手に入れるまでは検証はお預けだ。

 はぁ、次の検証はかなり先になりそうだ。よし、ホーンラビットを殲滅するか。




〈戦闘が終了しました〉

〈種族LVが上昇しました〉

〈JOBLVが上昇しました〉

〈光魔術のLVが上昇しました〉

〈光魔術の新しいアーツを習得しました〉

〈闇魔術のLVが上昇しました〉

〈闇魔術の新しいアーツを習得しました〉

〈INT上昇のLVが上昇しました〉

〈魔力操作のLVが上昇しました〉


 近くにいたホーンラビットを3体倒したらまたアナウンスラッシュがきた。


 それではSPを割り振ろう。

 ちなみにHPとMPはスキルかアーツ、アイテムなどじゃないと戦闘フィールドでは殆ど回復しないようになっている。

 セーフティーエリアに入れば回復するし、このエリアではデスすることはなさそうだが、もし危なくなったらヒールを使うので私の場合は問題なく狩りを続けられる。


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NAME:ゼロ

RACE:デミヒューマン LV3

JOB:神官 LV3

SP:0

JP:15


HP:40/46

MP:36/114

STR:9

VIT:6

INT:30〈+3〉(+2)

MND:13(+2)

AGI:8

DEX:9


オリジナルスキル

〈白黒LV1〉 


スキル

〈光魔術LV3〉

〈闇魔術LV3〉

〈書術LV1〉 

〈INT上昇LV3〉

〈魔力操作LV3〉


称号

〈チュートリアル完全達成者〉


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 内訳はINTに+4でVITに+1だ。これでエンチャント系のアーツが切りよく上昇するはずだ。


〈光魔術〉

LV3・・エンチャント・グリーンアップ


〈闇魔術〉

LV3・・エンチャント・グリーンダウン


 新しいアーツだがこれはエンチャント・レッドアップと同様にAGIを上昇させるものとエンチャント・レッドダウンと同様にAGIを下げる効果のアーツだ。

 私的にはパラメータ上昇バフの中でAGI上昇が一番強力だと思っている。何故なら行動速度そのものが上昇するからだ。

 確かにSTRやINTが高ければその分攻撃力も上がるためダメージ量は多くなる。しかし、私のような神官では攻撃手段など魔術には存在しない。

 なので、ソロで動くことが多い私では手数と回避率を上げられるエンチャント・グリーンアップは正しく神バフなのだ。


「少し人が多くなって来たな」


 新しいバフを習得出来たので早くこの効果を確かめたいが、ゲーマーの登竜門であるホーンラビットを倒しにプレイヤーが続々とやってきた。

 そのせいで門から近いこの場所ではリソースの喰い合いが起こっている。

 まだここでホーンラビットを探しても良いが、初心者の狩場を荒らすほど常識は欠けていないので、ここから離れて狩りをすることにする。


 一応、これでもβテストで上位勢として活動していたのだ。私の容姿からゼロだと気づく者がいるだろう。

 自分で言うのも何だがあの時は畏怖の籠った目で見られていたからな。

 無駄ないざこざがあってはお互いにゲームを楽しむことはできない。

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