第11話 【 メリーさん? 】
メリーさんが来てから数日が経ち、
二人は、何気ない日常を送っていた。
「それじゃ、行ってきますね」
「一緒に行かなくて大丈夫か?」
「大丈夫ですよ、牛乳を買ってくるだけですから」
「そうか、悪ぃな……」
「いえ、これぐらいはやらせてください」
「そう言って貰えると助かるよ」
「では、行ってきますね」
「おう、気をつけてな」
メリーさんはそういって、食材を買いに出ていった。
太狼はいつも通り、最新のゲームサイトを調べていた。
すると、スマホが着信音を上げた。
( ……ん? 非通知? メリーか? )
突然の電話に、何の疑いを持つことも無く、
太狼は通話ボタンを押すと、自分の耳に当てた。
『はい、もしもし……』
『もしもし、あたしメリーさん……』
『おう、どうした?』
『今、ゴミ捨て場にいるの……』
『……は? 今、買い物に行ったんじゃ……』
すると、通話はブチッと切られてしまった。
( なんだ今の、なんか声が幼かったような )
何だかいつもと様子の違うメリーさんの声に、
太狼は不思議に思いつつも、スマホを見つめていた。
すると、再びスマホの着信音が鳴った。
『はい、もしもし……』
『もしもし、あたしメリーさん……』
『お前、買い物に行ったんじゃないのか?』
『今、タバコ屋さんの角にいるの……』
『ちょっと待て、これは何かの遊びか?』
太狼の問に答える間も無く、ブチッと通話は切れた。
( メリーがこんなイタズラするか? でもまぁ、そういう霊だしな )
疑問を抱くも、太狼はスマホの着信音を待った。
すると、予想通りにスマホの着信音が鳴り響いた。
『はい、もしもし……』
『もしもし、あたしメリーさん……』
『あぁ、知ってるよ……』
『今、あなたの家の前にいるの……』
『そんなの連絡しなくても、入ってくりゃいいだろ』
その問いに答える間もなく、通話はブチッと切れた。
( 明らかにおかしいな。まさか、別人? ということは…… )
何者かに襲われる可能性を考慮した太狼は、
玄関の前で、多少の警戒をしながら待っていた。
すると、玄関の扉がガチャガチャと音がした後、
一旦静まり返り、再びスマホの着信音が鳴り響いた。
『はい、もしもし……』
『扉があかないよぉ〜、お兄ちゃあぁんっ!!』
『すり抜けらんねぇのかよッ!!!』
太狼はツッコミを入れながら、玄関を開けると、
扉の前には、人形を抱えた幼女が一人で立っていた。
「どこのガキだか知らねぇが、このクソ寒いのに何してんだ?」
「あたしね、メリーさんなの……」
「メリーさんって、都市伝説のメリーさんか?」
「……うん」
「都市伝説のメリーさんって、一人じゃねぇのか?」
「寒いよぉ、お兄ちゃん……」
「はぁ、ったく。ほら、こっち来い……」
太狼は幼女を抱き上げると、急いで風呂場に走っていった。
そして、泥だらけの体を綺麗に洗うと、リビングのコタツに入れた。
「はぁ、暖かいです……」
「ったく。何してたんだ? あんなところで……」
「あたし、お兄ちゃんの後ろを取らないといけないの……」
「こんなクソ寒い冬に、くだらねぇ事してんじゃねぇよ」
「だって、あたしメリーさんなんだもん」
「メリーさんって、後ろ取らねぇと死ぬのかよ」
太狼は、ツッコミをズバズバ入れながらも、
幼女の髪を乾かし、プリンとジュースを出した。
「うわぁっ! お兄ちゃん、これ食べていいの?」
「あぁ、いいよ。ここまで頑張った褒美だ、遠慮すんな」
「やったぁ〜っ! えへへ、いただきまぁすっ!」
幼女は嬉しそうに、プリンをほうばっていた。
「はぁ、どうすんだよ。これ……」
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