第10話
「それよりもあなた、……宇山くんだったかしら? 私に報告することがあるはずじゃないの」
瞬間、体が硬直した。背筋もいくらか伸びたかもしれない。
「ええっと。それって、つまり」
「そう。あなたは私に依頼した。私はその依頼を実行した。どう? 依頼はうまくいったでしょう。ご満足頂けたかしら」
なんだって! それではこの
「でも俺はあんなのは望んでない!」
思わず声が大きくなった。道行く人が2,3人、振り向いたかもしれないけど
「俺はただあの人に会いたくなかっただけだ。だから『今後一切会わずに済むようにしてほしい』って言ったんだ」
「そう。たしかにあなたはそう言った。でもあなたは言わなかった」
「な、何を?」
「会わずに済むようにする方法を、よ」
「あなたは方法を指定しなかった。方法は私に
「それだけよ」、その言葉が頭の中で何度もリフレインした。黒い瞳は相変わらず俺を見つめてる。たしかに俺は方法を指定しなかった。それは事実だ。でも、だからって……。
「でも、でも、何も殺さなくったって」
「あら、
なんだって! それじゃあもしかしたら……。
「えっ、じゃあ富野さんは死んでないんですか。でも社員の人が『多分だめだろう』って」
「あの時点ではね。でも今は違うわ」
「えっ、えっ、それじゃあ……」
「ええ、ターゲットは無事よ。まあ、無事と言えるのは命だけで、他はそう言うには
その言葉に張り詰めてた気が一気に
「よかったぁ」
自分でも思ってもなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます