第9話
会社のドアから廊下へ出る。すぐにでもいろいろ聞きたい。でもここの廊下はやたらと声が響くので人に聞かれたくない話はできない。なので一階まで降りてビル玄関外のちょっとしたスペースへ。ここなら会話を聞かれる心配はない。
「なんでここがわかったんですか。
「立て板に水」ってこのことか、って自分で驚くくらいに
「落ち着いて。その質問には一度で答えられるわ。これよ」
その
「これは……、俺の名刺」
「そうよ。一枚
間違いなく俺の名刺だ。表も裏も確認したがおかしなとこない。もちろん渡してなんかない。
名刺はいつも、10枚を札入れに入れてある。営業職じゃないのでそれだけあれば切らすことはまずない。札入れをスーツの内ポケットから取り出す。恐る恐る中の名刺を数える。7、8、9……。一枚足りない。
いつだ、いつ
「他には何も
その声も半分うわの空で聞いてた。「他には何も
念のため、全部のポケットを当たってみる。といっても札入れ以外はハンカチぐらいしか入ってなかったし、もちろん
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