第24話

 日を改めて、私は中谷の婚約者と会うとこになった。

 喫茶店で待っていると、婚約者が来た。


 「名前の方が―—」


 「はい。私の名前は橋本梨沙と申します。あっ。そちらの方の自己紹介は結構です。鈴木専務さん」


 ・・・私は橋本さんを知らないのに、橋本さんは私の事を知っているようだ。


 「私、橋本さんとは、新幹線で会っただけで、面識がないんですが。どうして、私の名前を存じ上げているのでしょうか」


 「先輩と関わってるからです」


 「それって先輩から私の話を聞いたという事でしょうか?」


 「いえ、先輩からあなたの話は聞いてません」


 「なら、どうして?」


 「・・・質問ばかりで、うざいですよ。そんなの決まってるじゃないですか、あなたが先輩に言い寄ろうとするから警戒して調べたんですよ」


 分かった。

 橋本さんはかなりやばい人であると。


 「だから、私の先輩に言い寄るのはやめて頂けませんでしょうか」


 「・・・あなたが婚約者である証拠を見せてください」


 「それは、もうすぐプロポーズを――」


 「私は。何度も、飲みに誘ったりしているのですが、一切あなたの話を聞いたことがありません。もしかして、一方的にあなたが言ってるだけじゃないんですか」

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