第5話(2/2)

 行きつけの居酒屋に橋本さんと来た。

 

 「いらっしゃい・・・あれ?珍しく女連れてきて、彼女さん?」


 「大将、違いますよ。前の職場で一緒に働いた、元後輩です」


 「初めまして。橋本 梨沙と申します」


 居酒屋の大将に橋本さんを紹介した。

 ここの居酒屋は、一人でもよく飲みに来るので、大将は俺の顔を覚えてくれて、かなり親しく仲である。


 「そうかい。お前にはちょっと美人過ぎるからな。ほらよ」


 まだ注文もしてないのに、ビールを二杯、大将は机に置いた。


 「大将。まだなにも注文してな・・・」


 「俺からのサービスだ。上手くやれよ」

 

 ニッカッと親指を立てながら言う大将。

 全くの余計なお世話である。

 橋本さんにはきっと、彼氏がいるであろうから。

 俺が何の根拠もないのにそう思うのは、橋本さんがあまりにも美女過ぎるから。

 こんな美女を世の中の男が 放っている訳がない。


 「・・・先輩、出来れば私はそうなりたいと思ってます」


 「えっ・・・はぃ?!」


 橋本さんが、いきなりとんでもない事を言い出した。


 「もしかして、橋本さん酔ってる?」


 「まだ、お酒に手を付けてません」


 確かに。まだ、橋本さんは机に置かれたグラスに手を付けていな。

 どうやら酔った勢いで言った訳ではないようだ。

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