第290話 マジ!?
私達は近くのオープンカフェに席を取った。
その頃にはようやくステラさんの涙も収まり、話が出来る状態になっていた。
「それでステラさん、さっきの話なんですが...」
「はい...本当に申し訳ありません...私は...いや私達は恩人であるカリナさんに対してなんて失礼な真似を...今思い出しても恥ずかしくなります...本当に...本当に...すいませんでした...」
「いえ、もうそのことに関しては謝らないで下さいよ。私もちょっと感情的になってたところがありましたし。お互い様ってことで」
「そ、それじゃあカリナさん...」
「でも私は戻るつもりはありません」
「えっ!? ど、どうして...」
「考え方の違いの溝は埋まらないと思うからです」
「で、ですからそれは...」
「ステラさん、さっき言ってましたよね? もう二度と私に逆らったりしないって?」
「え、えぇ...」
「私はそんな独裁的なリーダーになる気はありません。言いたいことがあったら遠慮なく言って貰って構わない。私の意見に反対したって構わない。その都度話し合いで決めていけば良いって思ってました。でも今回の件に関しては話し合いもなにもなかったですよね? 皆さん、私の意見に反対するばかりで妥協点を見出だそうともしなかった。だから私はパーティーを離れたんです。このパーティーに私は必要ないと思って」
「そ、それは...」
「わざわざ広告まで出して私を探してくれたのはちょっぴり嬉しかったですが、私は戻るつもりはありませんのでどうかお引き取り下さい」
「そ、そんな...」
「じゃあ私達はこれで。フローラさん、行きましょうか」
「えっ!? あ、はい...」
「ままま待って! ちょっと! ちょっと待って下さい!」
席を立った私にステラさんが縋り付いて来た。
「まだなにか?」
「他の人達が、セリカさんにラウムさんにアスカさんがこっちに向かってるんです! せめて! せめて話だけでも聞いてやって下さい! お願いです!」
「話しても無駄だと思いますが...それに私は今、仕事中なんですよね」
「へっ!? 仕事って!?」
「こちらのフローラさんの護衛をしてるんですよ」
そこで初めて見たように、ステラさんの瞳がフローラさんを映した。
「ど、どうも...」
「あ、どうも...」
うん、当然ながら二人共ぎこちなく挨拶を交わしてるね。
「そういう訳ですんで」
「だったら私も一緒に護衛します!」
私の言葉を遮ってステラさんが食い気味に叫んだ。
マジで!? おいおい、勘弁してくれよ...
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