第264話 金貨の山
「それじゃあ別室を用意するからそこで金貨を数えてくれ」
「あ、ありがとうございます」
「いやいや、礼を言うのはこっちの方だよ。なにせ竜種の体は捨てる所が無いと言われるくらい素材の宝庫なんだからな」
「そうなんですか?」
「あぁ、牙や爪なんかは武器の素材になるし、ウロコは鎧の素材になる。角は砕いて粉にすれば精力剤になるし、内臓からは漢方薬が作れる。肉も珍味として有名なんで高く売れるんだ」
食うの!? 竜の肉を!? うへぇ...私は勘弁だな...ゲテモノって苦手なんだよ...
「ハァ...そうなんですね...」
そう聞いてもイマイチ実感が湧かない。取り敢えず、高値で買い取ってくれるもんなんだっていうことだけは分かった。
別室に案内された私達は、金貨の大袋を目の前にしてちょっと戦いていた。
「え~と...じゃあ数えますかね...」
「はわわわ...私、こんな大量の金貨見るの初めてです...」
「私もです....」
「というか、全員漏れなくそうなんじゃ...」
「まぁその...とにかく数えるとしようか...」
しばらく私達は無言で金貨を数えた。
「え~と...一万枚を5で割るんだから一人頭2000枚ですよね...私の取り分はこれでピッタリです...」
「私も数え終わりました...」
「私もです...」
「ちょ、ちょっと待って下さいね...え~と、四の五の...」
「もうちょっと待ってくれ...え~と、ひいふうみい...」
セリカさんとラウムさん以外は全員数え終わって、金貨の山を目の前に呆然としているところだ。
そこで私は不意に思い出したことがあった。
「ねぇ、ステラさん。例の巨大モグラですが、ひょっとしたら解体せずに持ち帰って、丸ごと売った方がもっと高く値が付いたかも知れませんね...」
「あぁ、言われてみれば確かに...」
なにせフロアボスだもんね。どんな部位が金になるのか分からない。もしかしたら私達が捨てて来た部位に、価値有るものがあったかも知れないし。
まぁとはいえ、もしモグラの肉が珍味だったとしても、私は竜と同様食うのだけはご免だけどね...
「次に戦った時はそのまま持ち帰ることにしましょうか?」
「えっ!? また戦うんですか!?」
ステラさんは心底ビックリした顔をしている。なんだろう!? 私なんか変なこと言った!?
「数え終わりました...」
「私もだ...」
その時、セリカさんとラウムさんも数え終わったので、その話は一先ずそれまでになった。
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