第263話 破格のお値段

 翌日、復活した私達は冒険者ギルドに向かっていた。


 地竜がやっとくたばったからだ。念のため、コテンと横倒しになった地竜を剣で軽くチョンチョンと突いてみたが、反応がなかったのでくたばったのは間違いないだろう。


「巨大モグラほどではなかったけど、くたばったのは案外早かったですね」


「そりゃあんな巨体だからな。二、三日メシを食えないだけで死活問題になるだろうよ」


「確かにそうですね」


「しかし幾らぐらいで引き取ってくれるんでしょうね?」


「ギルドマスターが色を付けるって言ってくれたんだから期待しましょうよ」


「そうですね」


 ギルドに着いた私達は早速ギルドマスターを呼び出して貰う。


「やぁ、君達が来てくれたってことは、地竜がくたばったっていうことかな?」


「はい、その通りです」


「そうか。それじゃあこっちに来てくれ」


 私達はギルドの裏手にある魔物の解体場に案内された。


「ここなら出して貰っても大丈夫だ」


「分かりました」


 私は亜空間から地竜の亡骸を引っ張り出した。


「改めて見ると凄まじい大きさだな...」


 横倒しになった地竜の巨体は、生きている時となにも変わらない程の圧倒感を感じさせた。


「君達、ご苦労だった。こちらが報酬になる。受け取ってくれ」


 そう言ってギルドマスターが渡した来たのは、なんとパンパンに詰まった金貨10袋だった。


「ひぇ...」


 誰かがそんなくぐもった声を漏らした。私もビックリして思わず声が掠れた。


「あ、あの...全部で何枚あるんでしょうか...」


「一万枚だ」


「い、いちまん...」


「しょえ...」


「うぽ...」


「ほへ...」


 私達全員の言語機能が一時期に麻痺した。


「これは地竜の買取価格にギルドからの報酬金と国からの賞金を合わせた金額になる。少なくて申し訳ないが、地竜を倒したってことを大々的にアピール出来ない以上、この金額が精一杯なんだ。どうか理解して欲しい」


 なんだかギルドマスターは申し訳無さそうに言ってるんだけど...いやいや! そうじゃないそうじゃない! 


 私達がビックリしているのは、金額が少ないって意味じゃなくて寧ろその逆。こんなに貰っていいんだろうか? っていう驚きの方なんだよ...


 しかもギルドマスターの話だと、本来はもっと高い金額のはずだったとかなんとか...


 なんかもう良く分かんなくなって来ちゃったよ...金銭感覚が狂いっ放しだ...


「え、え~と、その...分かりました...」


 うん、取り敢えずはそう言うしかないよね...

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