第254話 戦闘開始
ステラさんがアスカさんを乗せて飛び立った後、バリケードの撤去作業を終えたラウムさんが私達の所に戻って来た。
「なんだか大変な展開になっちまったな...」
「そうですね。でも早目に分かって良かったですよ。態勢を立て直す時間が取れましたから」
「それもこれも全てカリナさんの慧眼のお陰ですよね!」
そう言ってセリカさんは、なんか自分の手柄のように嬉しそうにしている。
「ん!? それはどういうとだ!?」
事情を知らないラウムさんにとっては当然ながらなんのことやらだ。
「実はですね~...」
セリカさんが自慢気に語り出した。私としては手柄を取られたようでなんか釈然としないが、同じ話を繰り返すのも面倒なんで任せることにした。
するとラウムさんは、
「...マジで!?」
「マジです...」
「マ・ジ・で!?」
「マ・ジ・で・す」
またもやアスカさんと同じ反応を返した。このパターンもう何度目だろ?
「お前達...本当に色んな意味で規格外なんだな...ひょっとしたら私、とんでもないパーティーに入っちゃったんじゃ...」
誉め言葉と受け取っておこう。
◇◇◇
ステラさんが飛び立って10分くらい経った頃だろうか。突然、前方に火柱が上がった。あれはアスカさんの火の魔法で間違いない。かなり近付いて来ている。
「来るぞ! 野郎共、用意はいいか! 気合い入れろ!」
アレックスさんの檄が飛ぶ。
『応!』
冒険者達が陣を組む。最初に駆け付けた私達含め、最終的には50人弱の冒険者達が集まった。そこにはギルドマスターの姿もある。
「魔道士隊、前へ!」
グレン騎士団長が冷静に命令を下す。
『ラジャー!』
騎士団も全部で50人弱。その中の魔道士隊は20人弱といったところか。みんな杖を構えて前に出た。その周りを硬そうなフルアーマーに身を包んだ重騎兵が囲んでいる。
これで地竜を向かえ撃つ準備は整った。やがてアスカさんの放つ火柱が段々とハッキリ見えて来るようになった。
「来たぞ!」
その言葉通り、前方の道がボコボコと盛り上がり始めた。
「魔道士隊! 攻撃開始!」
グレン騎士団長の号令の元、魔道士隊員の持つ杖が淡く光る。
『弾け飛べ!』
すると巨大な光の球が飛んで、ボコボコになった地面に激突する。次の瞬間、物凄い爆音が響き渡った。
「爆発魔法...」
私の隣でラウムさんがポツりと呟いた。そうか、あれが爆発魔法か。聞いたことはある。最上級の攻撃魔法だって。初めて見たよ。凄い威力だね。地面に大穴が開いちゃったよ。さすがは王都を守る騎士団ってとこか。
「グオォォォッ!」
その大穴から地竜がのっそりと現れた。
いよいよ戦闘開始だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます