第232話 因果応報
「ギルドマスター、この連中はウチのパーティーメンバーであるラウムを愚弄しました。とても許せるものではありません」
「本当なのか?」
ギルドマスターが連中を厳しい眼光で睨み付けた。
「い、いや、そ、それはその...ち、違うんだ。た、ただ単に挨拶しただけで...そ、そりゃちょっとは調子に乗ったかも知んないけど...」
連中のリーダーらしき男がしどろもどろになっている。
「それだけじゃありません。この連中はウチのラウムがパーティーメンバーだった時、セクハラ、パワハラ、モラハラの限りを尽くしていたそうです。そうでしょう? ラウム?」
すると今まで俯いていたラウムさんがクワッと顔を上げ、ハッキリと自分の口で訴えた。
「ギルドマスター、ウチのリーダーが言った通りです。この連中は私が獣人であるという理由だけで差別し、報酬を減らすわ体を要求するわとやりたい放題のゲス野郎どもでした。私が断ると身一つでパーティーから追い出すような最低な連中です。ギルドマスター、こんなヤツらは冒険者の面汚しだと思います。即刻、冒険者資格を剥奪するべきです」
「ぬなっ!? ら、ラウム! て、てめぇ! な、なんてこと言いやがる!」
連中のリーダーらしき男が大慌てでラウムさんの口を塞ごうとする。その手をギルドマスターがガッシリと掴んだ。
「貴様らぁ! 今の訴えは本当なのかぁ!?」
ギルドマスターの体から禍々しいオーラが溢れ出しているように見える。
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」
そのオーラに当てられたのか、連中のリーダーらしき男が震え上がった。
「ちょっと来い! 詳しい話を聞かせて貰うぞ!」
ギルドマスターに首根っ子を掴まれたリーダーらしき男含め、すっかり怯え切った他の連中は大人しく従って行った。
◇◇◇
「フウ...すいません、アスカさん...私の考えが甘かったみたいでルキノちゃんを怖い目に遭わせてしまいました...」
私はルキノちゃんを亜空間から出した後、アスカさんに謝った。
「いや、それを言うなら私が招いた事態だ。アスカ、それにルキノ、本当に申し訳なかった...」
「頭を上げて下さいな。お二人はなにも悪くないじゃありませんか」
「そうだよ! それにルキノは怖くなかったよ!? カリナお姉ちゃんが守ってくれたもん! カリナお姉ちゃん! カッコ良かったよ!」
ルキノちゃんが目を輝かせている。良かった。変なトラウマとかにならなくて。
「確かにそうだな。リーダーとしてとても頼もしかった。カリナ、ありがとう。庇ってくれて嬉しかったよ」
「本当に。あんなカリナさん初めて見ました。立派なリーダーでしたね」
「カリナさん! 惚れ直しました!」
「いやぁ、それ程でも~」
なんか照れちゃうね~
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