第233話 懲りないヤツら
「それにしても...ギルドマスターって怒らせたら怖い人なんですね?」
私はさっきのギルドマスターが醸し出していた強者のオーラみたいなものを思い出しながらそう言った。
「そりゃそうだろう。ギルドマスターは現役時代、伝説級の強さを併せ持った冒険者だったんだからな。その伝説は冒険者達の間では語り継がれる程なんだぞ?」
「へぇ~ そんなに強い人なんですね~」
だからあんな圧倒的なオーラを放てるのか。それゃじゃあんなチンピラ冒険者共なんか相手にもならんわな。
「さて、ちょっと遅くなっちゃいましたけど、予定通りアナコンダ討伐完了の報告と皮と肉の換金を行いましょうか?」
私は全員に向き直ってそう告げた。
◇◇◇
「結構いい値段で引き取って貰えましたね?」
「あぁ、皮の状態が良かったのと肉が新鮮だったお陰だろうな」
なるほど。結果的にはセリカさんに収納して貰って良かったね。時間停止するからね。私は生理的に亜空間へと収納したくなかった言い訳としてそう思うことにした。なんか文句ある?
「それじゃあそろそろお食事に行きましょうか。ルキノちゃん、なにが食べたいですか?」
「え~とねぇ.. ハンバーグ!」
「分かりました。ハンバーグが美味しいお店、どなたかご存知ありませんか?」
「肉のことなら任せてくれ。美味い店に案内する」
「ではラウムさん、お願いします」
私達はギルドを出てラウムさんの案内で美味しいお店へと向かった。
◇◇◇
ラウムさんはお店への近道ということで、裏路地の方に入って行った。メインストリートから一本道を外れただけで様相が一変する。なにやら不穏な雰囲気が辺りに漂い始めていた。
「ルキノちゃん、危ないからあんまり一人で先に行っちゃダメですよ?」
「大丈夫だよ~! それより早く行こうよ~!」
みんなしてお出掛けするのが余程楽しいのか、ルキノちゃんはどんどん一人で先に行ってしまう。
ルキノちゃんが裏路地の角を曲がった時だった。
「キャアッ!」
ルキノちゃんの悲鳴が聞こえた。私達は慌てて角を曲がる。
「待ってたぜゴラァ! てめぇらだけは許せねぇ!」
「てめぇらのせいで、こちとら冒険者資格を剥奪されちまったじゃねぇか! どうしてくれんだ!」
「覚悟しやがれ! 身ぐるみ引っ剥がしてやらぁ! ヒッヒッヒッ! その後にたっぷりと楽しませて貰うぜい!」
「おぉっと! 騒ぐなよ!? このガキがどうなってもいいのか!?」
「ま、ママ~! お、お姉ちゃん~!」
そこにはさっきのチンピラ元冒険者連中と、そのリーダーらしき男に羽交い締めされているルキノちゃんが居た。
私は唇を噛み締めた。
ルキノちゃんの手を放すべきではなかった...
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